タグ:心臓血管病

寒いところで運動したほうが脂質は燃える

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマは『寒いところでの運動と脂質改善効果』の話です。

脂質異常症

脂質異常症は、動脈硬化や心臓血管病の危険因子の一つです。脂質の中のLDL コレステロールが極めて高値になると、心筋梗塞のリスクが高くなるのはもはや多くの人が知っていることと思います。

特に、酸化した脂質は非常に毒性が高く、容易に動脈硬化を形成していきます。そのためには脂質を酸化させない、そしてそのためには酸化している食材を控える、抗酸化食材を摂る、などが大切です。

しかし、血液中の脂質の数字をみても、どれくらい酸化しているのか判断できませんし、体内に蓄積している脂肪組織のどれくらいの割合が悪さをしているのか?もわかりません。そう考えると、そもそも私達は体内の脂肪組織をへらすことは必要なの?という疑問も湧いてしまいます。

しかし、体内の脂肪組織量をへらすことには別の面から違った意義があります。

それは、脂肪組織から分泌される生理活性物質です。脂肪組織には本当にたくさんの役割があり、体温維持や栄養の貯蔵庫だけではありません。脂肪組織はアディポネクチンと呼ばれる、動脈硬化の抑制に非常に効果を示す物質を分泌します。しかしながらややこしいことに、アディポネクチンは小型化した脂肪細胞から分泌されます。つまり、肥満体型のような方の脂肪細胞からはアディポネクチンは分泌されづらいのです。

そういったことからも、体内の脂肪組織は増やしすぎない、燃焼させることが極めて大事になります。

では、どうしたら脂肪組織は燃焼しやすくなるのでしょうか?そしてどうやったらより効率的に燃焼できるのでしょうか?

今回、そんな研究が報告されました。

それは、寒いところで短時間の高強度のインターバルトレーニングを行うと、脂肪燃焼の効率が高かったというのです。

脂肪燃焼と寒冷

これは、ローレンシャン大学(カナダ)のStephanie Munten氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Applied Physiology」に掲載されています。

今まで、数々の研究で、中等度のトレーニングを長時間行ったときと、高強度のトレーニングを短時間行った場合、高強度短時間トレーニングの方が脂肪燃焼効率が高かったという報告が見られています。

しかし、運動をしているときの周辺温度の違いが脂質の燃焼効率をどの程度変化させるのか?に関しては不明でした。

そこで今回の研究では、11人(男性7人)の方を対象に(平均年齢23±3歳)、こんな環境下で運動をしてもらいました。

それは、参加者全員に対して21℃の通常室温の条件と、0℃に設定した寒冷条件で、同一の高強度インターバル運動を、それぞれ別の日に行ってもらうというものでした。

高強度インターバル運動の内容は、高負荷設定された自転車エルゴメーターを60秒間できるだけ速くこぎ、続く90秒間はインターバルとして低負荷でゆっくりこぐ。これを10回行うというもの。

内容見ると結構な高負荷ですけどね(汗)

その結果、同じ運動でも、寒い環境で運動を行った方が温かい環境で行うよりも脂肪燃焼量が多いことがH示され、その差は約4倍に上ったのです。

この研究から言えること

今回の研究から、有酸素運動などの中強度負荷の運動も、寒冷環境で行ったほうが効果的なのか?まではわかりません。これを闇雲に信じて、朝一番の寒い朝などにいきなり外に出て運動を始めると逆に心臓発作を起こしかねません。心臓発作は朝の寒いときに一番起こりやすいのです。また、寒冷環境はどの程度の寒冷下で硬化がでてくるのかも不明で、今後の研究が待たれるところです。

でも、温かい環境下でのんびりと運動に甘んじるのではなく、ある程度温度を低い環境での運動を意識することも必要なのかもしれません。

脂肪を燃焼させ、肥満を改善し、運動で心肺機能を高めることは、動脈硬化、心筋梗塞、狭心症、脳卒中などの予防に極めて高い効果を示すわけですからね。

 

 

当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。

動脈硬化を予防したい方、または心臓病を発症したあとの再発予防のかたなどが船橋市、鎌ケ谷市、習志野市,、市川市、千葉市を始め多くの方に来院頂いています。

在籍医師は、院長はじめ循環器専門医資格を多くの医師が有しております。

医師、専門スキルを持った看護師(糖尿病療養指導士、抗加齢学会指導士、心臓リハビリテーション指導士)、専門エコー技師、管理栄養士、経験豊富な医療事務の全員で、チームで患者さんを診療させていただいております。

どうぞ安心してご来院ください

 

 

 

 

 

 

高齢者の認知症リスクと趣味の関係

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日は、『認知症と趣味の関係」についてお話します。

認知症と動脈硬化

認知症ときくと、アルツハイマーを一般的には思い浮かべがちです。しかし、実際には動脈硬化を基礎とする「脳血管性認知症」の方が、数多く存在します。

脳血管認知症は、脳梗塞や脳出血により血管が詰まったり破れたりすることで脳の組織の一部が破壊されたり、働きが低下していくことで進行します。手足の麻痺、しびれのような脳卒中様の症状を呈することもよくあります。

そして、これらの原因は高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病に伴う動脈硬化となります。

ですから、認知症を起こさないために、そして動脈硬化を進ませないために、普段からの生活習慣に留意することはとても大事です。

よく言われるのが、適切な食事バランス、有酸素運動、禁煙、節酒、肥満の回避、十分な睡眠、ストレス回避、などです。

でも、どうやらそれだけではないようです。

今回、認知症と趣味の関連性についての研究が報告されました。

認知症と趣味の数

千葉大学のLing Ling氏らは、趣味の種類および数と認知症発症との関連を調査し、日本公衆衛生雑誌2020年号に報告しました。

65歳以上の要介護認定を受けていない高齢者5万6,624人のうち、365日以上フォローアップできた4万9,705人について分析をしています。

フォローアップ期間中に発症した認知症は9.6%。

そして、ある趣味が認知症発症リスクの低下と関連していたことが判明しました。

男女ともに当てはまった認知症低下リスクとして、グラウンドゴルフと旅行が挙げられました。認知症リスクは約20%低下したそうです。

また、男性ではゴルフやパソコンでリスクが40%程度低下。釣りや写真で20%低下が見られました。

一方女性では、手芸やガーデニングで20%程度の認知症リスクの低下が見られています。

そして、趣味の内容に関わらず、趣味の数が増えることで男女ともに認知症のリスク低減が見られたのです。(男性16% 女性22%)

動脈硬化と血管のつまり

今回は、認知症と趣味の関係についてお話し、同時に認知症には脳血管性とよばれる血管のつまり等によっておきる認知症が多いこともお伝えしました。

生活習慣に伴う動脈硬化にはほとんど症状がでません。症状が出たときには完全に血管が詰まった時、またはつまりかけた時、そして驚くべきことに血管が詰まっても症状すらでないケースも存在します。

そして認知症自体が動脈硬化に関連しているという認識も周知されていません。

動脈硬化は、認知症などの脳血管障害だけではなく、狭心症や心筋梗塞、心不全などの心臓障害や、閉塞性動脈硬化症と呼ばれる足の血管のつまりなどそれこそ全身に起こります。

血圧が高い方、糖尿の気があるかた、コレステロールや中性脂肪が気になるかた、肥満気味の方など、改めて生活習慣を振り返り、自分の動脈硬化がどんな状態なのかを定期的に調べてみて下さい。

そして、趣味をたくさん持ちましょうね

 

当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。

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血管の機能と座りすぎの関係

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日は、「座り過ぎは血管の機能にどんな影響を及ぼすのか?」についてお話します。

血管の老化

血管はもちろん年齢を重ねるに連れ、機能が落ちていきます。いわゆる老化です。

血管の老化、機能低下といえばまずは動脈硬化が思いつきます。

動脈硬化とは、血管の壁にプラークと呼ばれる塊が増えている状態で血管は硬化し、狭窄し、プラークが増大するとやがて閉塞に至ります。

血管が閉塞すると、心筋梗塞や脳梗塞、閉塞性動脈硬化症など様々な疾患を合併していきます。

それぞれの疾患に関するお話は別のブログでもかいていますので、参考にして下さい。

動脈硬化による血管壁プラークは、頸動脈エコーという検査を行うと、一目瞭然でわかりますし、血管の硬さはABIという検査で簡単にわかります。

高血圧や脂質異常症、糖尿病、肥満、喫煙などのかたは動脈硬化を起こしやすいので、こういった検査を定期的に行う必要があります。

このように、動脈硬化を起こしているとある程度の検査で血管の状態を把握できますが、実は血管は動脈硬化で実際に血管が固くなる前からじわじわと血管の機能が低下していきます。

血管の機能とは、血管が正しく収縮し正しく拡張する能力のことです。

そして、正しく血管が収縮拡張を繰り返すために、血管の壁の内側にある血管内皮細胞が重要な役割を果たしています。詳しく言うと、この細胞からNOという物質が分泌されて血管が拡張しています。

ですから、私達は普段から血管の機能を落とさないためにNOを出しやすくする生活に心がける必要があるわけです。

そんな中、血管機能に関するある論文が報告されました。

座り過ぎと血管機能に関する研究論文です。

座り過ぎと血管機能の関係

これは、オーストラリアン・カトリック大学のFrances Taylor氏らが、糖尿病患者を対象に行った研究で、詳細は「American Journal of Physiology. Heart and Circulatory Physiology」に掲載されています。

対象は、35~70歳の肥満2型糖尿病患者24人。対象者全員に、7時間にわたって座位を維持する試験を行いました。

3つのグループにわけ、1グループ目では7時間中断なく座位を保つ。2グループでは30分ごとに3分間の簡単な筋力運動を行い、3グループでは1時間ごとに6分間という2グループよりも長めのの筋力運動を行いました。

血管機能は、血流依存性血管拡張反応(flow-mediated dilation;FMD)とよばれる血管内皮細胞の機能を評価する検査を行っています。

その結果、30分ごとに座位を中断し、簡単な筋力運動を行うと、座位持続グループと比較して、血管機能が改善されることが判明しました。そして、1時間毎に座位を中断し筋力運動を行っっても、座位持続グループと比較しても血管機能の改善は見られなかったのです。

この研究から言えること

ということは、座位による血管機能の低下を防ぐためには、座位を中断する頻度のほうが、中断中に行う運動の時間の長さよりも重要だといえるのかもしれないのです。

長い時間をとってまとめて運動しなくても、短時間の運動をちょこちょこ行うと、逆に血管には良いのかもしれませんね。

普段、運動に多くの時間を割けないという理由で全く運動をしない人もいます。今回の論文では、短い運動の効果を示してくれました。時間がなくてもこまめに身体を動かして行きましょう。

そういったことが動脈硬化を防ぎ、心臓病・脳卒中を防ぐことにつながっていくと思います。

 

当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。

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糖尿病は地中海式食事法で良くなる

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日は、『糖尿病と地中海食』についてです。

地中海式食事法

地集会式食事法とは、地中海地方に住む人たちの代表的な食事法で、健康長寿につながる、心臓病予防に良い、など非常に効果が高いと言われています。

その内訳は、オリーブオイル、果物、野菜、全粒穀物、豆類、ナッツなどが豊富なことが特徴です。

具体的には以下のとおりです。

  • パンやパスタなどの穀類を多く取る。
  • 野菜や果物を毎日食べる。
  • ナチュラルチーズとヨーグルトも毎日。
  • 毎週、豆やナッツとイモを取る。
  • 油はオリーブオイルを使用する。
  • 食事と一緒に適量の赤ワインを飲む。
  • 赤身の肉(牛と豚)は月に数回まで。
  • 鶏肉、卵、魚介類は週に数回まで

ただ、パンやパスタが多いのは、西洋の特徴であり、ここらへんは日本人には当てはまらないかもしれません。

大切なことは、これら炭水化物を摂るときに精製度の低いもの、全粒穀物をとる工夫が必要と言われています。

全粒穀物とは、精白などの処理を行わず、糠となる種皮や胚といった部位を除去していない穀物で、その製品としては、具体的には玄米、全麦パン、オートミールなどが挙げられます。

そして脂質としてオリーブオイルをたくさん摂っているのがこの食事法の中心的存在とも言えます。

オリーブオイルには、動脈硬化の抑制効果、心臓病予防効果等があると言われています。

また、摂取量ですが、ギリシャの人々は1年間に17.9キロものオリーブオイルも消費するそうで、これは毎食ごとに15mlのオリーブオイルを摂っている計算になります。

地中海式食事法と糖尿病

今回、地中海式食事法をとることで、糖尿病の発症を抑えることが期待できる、という報告がなされました。

『Association of the Mediterranean Diet with Onset of Diabetes in the Women’s Health Study』

対象者は薬2万人、追跡期間は約20年。その結果、地中海式食事法を続けることで糖尿病の発症が3割低減したとのことでした。ただし、これはBMI25以上の肥満気味の方にのみ当てはまるものでした。

また、インスリン抵抗性が低いことがこの結果に寄与していることも判明した。

インスリン抵抗性は糖尿病に関わらず、心血管病の原因とも深い関わりがあり、長期間にわたる健康的な食事法の重要性が改めて認識できたのではないかとおもいます。

 

当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。

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心臓血管病は緑の多い環境で減らすことができる?!

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日は、『心臓血管病と生活環境』についてです。

心臓病を起こす原因

心臓病と一口に言ってもいろいろあります。狭心症や心筋梗塞、不整脈や心不全、弁膜症などなど。

心臓病の中には、拡張型心筋症に代表されるような原因不明の疾患もありますが、おおむね生活習慣の乱れが引き金になっています。生活習慣の乱れとは、例えば高血圧や脂質異常症、糖尿があります。これらは塩分や糖分のとりすぎ、偏食や過食で発症することが多いです。

そして、運動不足、飲酒、喫煙、そしてストレスなども心臓病の原因となってきます。

今、あげた心臓病の原因の中で、結構ストレスが絡むケースは非常に多く、以前こちらのブログでも書きましたが、怒りやすい人には心筋梗塞が多い、という論文もでているほどです。

しかしながら、ストレスが簡単にコントロールできればよいのですが、なかなか難しいことも多いですよね。

ストレスのコントロールを考えたときに、内的コントロールと外的コントロールという考え方があります。

内的コントロールとは、ストレスに対する自分の受け止め方や考え方、対処方法を変えていこうというもの。一方で外的コントロールは、自分の外面、周りの何かを変えることでストレスを減らしていこうというもの。

外的コントロールの中で、よく扱わるれるのが自分の周りの環境です。環境を変えることで人はストレスが増えることもあれば、軽減することもあります。

その環境を上手に変えていくことでストレスを減らし、結果的に心臓血管病になりにくくなっていくというわけです。

では、どんな環境が心臓病の確率を減らしてくれるのでしょうか?

今日はそんな環境と心臓病に関する論文をご紹介します。

緑の環境が心臓病をへらす

緑のある空間が増えると、心血管病による死亡リスクが低下する可能性があるとする研究結果を、米マイアミ大学の研究チームが、今年の米国心臓協会学術集会(AHA Scientific Sessions 2020)で発表しました。

今回の発表は、緑の空間が大気の質を改善させることで、心血管病に良い影響を与えているのではないか?というものです。

大気中のPM2.5濃度や、正規化植生指数(NDVI)と心臓血管病による死亡リスクとの関連を検討しています。NDVIとは、衛星などから見た植物による光の反射の状態を指数化したもので、植物がどれくらい活性化しているかを示ものだそうです。そして緑が濃い場合、NDVIの値は大きくなるとのこと。

この研究の結果は、PM2.5濃度が増えるごとに心臓血管病による死亡率が上がり、一方でNDVIが増えるごとに、逆に心臓血管病による死亡率が減少していたのです。

つまり、緑が豊かな地域ほど大気の質がよく、結果的に心臓血管病に良い影響を及ぼしていたのです。

心臓病の予防のために

心臓発作の予防、そして再発を防ぐために有酸素運動が非常によいということは多くの研究結果から明らかになっており、一方で今回のように緑に触れることがさらに狭心症や心筋梗塞、心不全などの心臓発作を減らしてくれるかもしれないと期待できます。

ということは、私達は心臓病予防のために、そしてそもそも健康のために緑に触れている環境で運動をするということがベストなのではないか?と推測できます。

みなさんは、定期的に外に出て運動をしていますか?運動をしてないとしても、散歩がてら近くの緑を見に行っていますか?

ちなみに、心臓を鍛えるための有酸素運動の強さは心拍数(脈拍)でコントロール可能です。

(220-年齢)×0.65~0.70を目安に運動してみてくださいね。

詳しくは、以前の院長ブログのこの記事を御覧ください

 

 

当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。

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血圧と大気汚染の関係

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日は、高血圧と大気汚染の関係についてお話します。

高血圧

高血圧は、御存知の通り、生活習慣病の一つです。

多くの人は、高血圧に対して注意をしているものの、そもそも高血圧が続くことでどんなことが起こり得るのか?本当の高血圧の怖さについてご存知ありません。

高血圧がおこるとどんな事が起こるのでしょうか?

高血圧は、血管の中の圧力が高い状態です。血管はホースのようなものなので、その中を高圧で水が流れ続けている状況を想像していただくと良いかもしれません。

パンパンに張った水道ホース、この状態が長く続くとホーズはどうなると思いますか?

ホースに亀裂が入ってきたり、ガタが来ますよね?

血管でいうと、固くなると同時にもろくなってきます。

この状態を動脈硬化と呼びます。

動脈硬化の血管は固くて脆いのです。そして詰まりやすく、切れやすく、破裂しやすくなるのです。

固くなり、動脈硬化を起こした血管には、内側の壁にプラークと呼ばれるコレステロールを始めとした物資圧が沈着していきます。沈着量が多くなると、血管の中が狭くなってしまい、最終的に詰まってしまうわけです。

血管が細くなっても症状がまったくないことが殆どで、そのために突然心臓の血管がつまる心筋梗塞や頭頸部の血管が詰まる脳梗塞を発症し、話を聞いてみると高血圧をしっかり治療していなかったケースがあります。

つまり、高血圧をコントロールするということは、その先の動脈硬化を予防する、更に先の血管のつまりなどの命に関わる病気を予防することにつながるのです。

高血圧が原因でおこる病気・・例えば。。。

高血圧が原因でおこる病気はたくさんあります。今日はそのうちの一つをお話します。

それは、大動脈解離という病気です。

大動脈とは、心臓から全身に血液を送る幹のような血管で、背骨の脇を走行しています。

大動脈から多くの枝が分岐して、脳血管や肝臓・腎臓などの腹部臓器、手足へと血液が運ばれます。

そのおおもとの血管を考えてください。

高血圧があると、このおおもとの血管。大動脈が常に高圧にさらされた状態になります。

大動脈は固くなり、もろくなっていきます。

その状態が長く続くいても実は全く症状がありません。ですから血圧が高くても調子が良いから大丈夫、などとたかをくくる人が大勢います。

しかし、その浦では着々と大動脈の動脈硬化がすすんでいるのです。

そしてある日・・・・

突然大動脈が『ビリビリ!!』と裂けてしまうのです。

大動脈が裂けると、脳への血管が裂けて脳卒中、心臓への血管が裂けて心筋梗塞、脊髄への血管が裂けて下半身麻痺、腸への血管が裂けて腸管壊死、足の血管が裂けて下肢の壊疽・・・など大変多くの合併症が起こり、運が悪いと病院にたどり着くことさえできず、いわば突然死を起こしてしまうわけです。

こんな病気をおこしてから、『ああ、高血圧にもっと気をつけていれば。。。』といったところで後の祭りなわけです。

高血圧の予防

では、どうすれは高血圧を予防できるのか?

これは生活習慣をみなおすことにつきます。

塩分を控える、カロリー過多の食事を控える、有酸素運動のような運動を定期的に取り入れる、睡眠を十分にとり、ストレスを溜めない生活をおくる。

大変かもしれませんが、やればやるだけあなたの健康度はどんどん上がっていき、結果的に病気に負けない強い体をつくれます。

そんな中、最近高血圧と大気汚染の関係についての論文が発表されました。

高血圧と黄砂の関係

これまで、黄砂と喘息発作や急性心筋梗塞の発症との間に関係があることは知られていたものの、黄砂飛来の血圧への影響は不明でした。

最近、京都大学を中心としたチームが約10年追跡調査をし、血圧上昇と黄砂についての関係を調査した研究が報告されました。対象はおよそ30万人にものぼります。

『Association of short term exposure to Asian dust with increased blood pressure』

その結果、黄砂飛来日には血圧が上昇するという結果が得られたのです。

また、非喫煙者に比べて喫煙者において黄砂飛来日での血圧上昇幅が多かったとのことでした。

著者らは、黄砂への曝露を避けることは、健康な成人の高血圧発症の予防に有用な可能性がある、と考察されています。

高血圧と動脈硬化のフォロー

高血圧を患っている方は、ただ血圧を管理するだけで満足していてはいけません。

大切なことは、動脈硬化が進行していないか?血管が詰まりかけいるところはないか?

そういった観点からの定期チェックが欠かせないのです。

頸の血管エコー検査をすれば、血管の壁に動脈硬化のプラークが形成されていないか、すぐわかります。

運動負荷心電図で、心臓の虚血状態が簡便に予測できます。

ABI検査で下肢の血流が把握できます。

ぜひ、定期チェックに目を向けてみてくださいね

 

 

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コレステロールの薬は高齢者に有効か?

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日は、『高齢者へのコレステロール低下薬投与の有効性』についてお話します。

コレステロールが高い

健康診断などで、コレステロールが高い指摘されたことがある方は多くいらっしゃると思います。

コレステロールは動脈硬化のプラーク形成の要因として槍玉に挙げられる一方、ホルモンの合成の原材料になるなど生命維持に欠かせないものでもあります。

御存知の通り、コレステロールには善玉のHDLコレステロールと、悪玉のLDLコレステロールが存在します。特に騒がれるのが、悪玉と呼ばれるLDLコレステロールです。

多くの研究からLDLコレステロールが高値を示すことが、心血管疾患の危険性が増加させると報告されています。

LDLコレステロール値にはある目標値が存在します。

以下は、日本動脈硬化学会のホームページに載っている脂質の表です。

これによると、LDLコレステロールが140mg/dlを超えると脂質異常と記載されています。

では次に、どんな人がどんなタイミングで脂質低下薬を使う必要があるのでしょうか?

心血管病の1次予防と2次予防

ここで、1次予防と2次予防という考え方が必要になってきます。

1次予防とは、まだ狭心症や心筋梗塞などの心臓血管病に罹患したことがない人が心臓血管病と予防すること。

2次予防とは、心臓血管病に罹患したことがある人が再び心臓血管病にかからないように予防すること。

想像できると思いますが、1次予防よりも2次予防のほうがLDLコレステロールをしっかり下げておかないといけません。なぜならば心臓血管病の既往があるということは、LDLコレステロールが血管をつまらせた原因の一つと考えられる、だからこそしっかりとLDLコレステロールを下げないといけないと考えられるからです。

では、心臓血管病の既往がない人に、脂質低下薬は効果があるのでしょうか?LDLコレステロールがどこまで上昇したら飲み始める必要があるのか?

そして、特に高齢者への脂質低下薬内服による1次予防の効果はまだはっきりしていない部分があります。

高齢者の心臓血管病の1次予防と脂質低下薬の効果

最近、75歳以上のアメリカ退役軍人を対象に、スタチンと呼ばれる代表的なコレステロール低下薬が、心臓血管病の1次予防に有効かどうかの研究報告がなされ、研究の成果は、JAMA誌2020年7月7日号に掲載されました。

『Association of Statin Use With All-Cause and Cardiovascular Mortality in US Veterans 75 Years and Older.』

『75歳以上の米国退役軍人におけるスタチン使用と全死因および心血管死亡率との関連性』

32万6,981例(平均年齢81.1歳)が解析に含まれ、このうち試験期間中に5万7,178例(17.5%)が新たにスタチン治療を開始しています。平均フォローアップ期間は6.8年でした。

その結果、全死亡率がスタチン投与群で25%低下し、心血管死亡率も20%低下したことが判明しました。

一方で心筋梗塞や虚血性脳卒中の発生率には2群間で差を認めなかったものの、冠動脈バイパス術や冠動脈ステント術の血行再建治療を受けた数は、スタチン内服群で有意に減少していたとのことでした。

研究から言えること

改めて研究結果から高齢者にスタチン投与は本当に必要と言えるか考えてみたいと思います。

多くの研究にいえることがありますが、研究には対象患者さんの背景の違いがあります。

今回の場合だと、アメリカ人へ効果が出たと言えることが、日本人にそのままあてはまるのか?

そして、生活習慣の背景も違います。

おそらく、今回の対象には多くの肥満者が含まれていることが容易に想像されますし、食生活もファーストフードなどの摂取頻度も多そうです。

ということは、高齢者の心臓血管病1次予防にスタチンが効果がある人はいる。しかし、あらゆる75歳以上の方にスタチンが必要なのか?に関しては今回の研究からは残念ながら読み取れないと思います。

基本的な生活習慣をしっかりとさせ、運動も定期的に行い、LDLコレステロールも定期的にチェックしながら動脈硬化が進行していないか?を医療機関などで定期的に検査する、ことが必要ですね。

動脈硬化の有無を見る上で、頸動脈エコー検査とABI(上肢下肢血圧測定)検査はとても有用ですので、受けられたことがない方は是非受けることをおすすめします。

 

当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。

動脈硬化を予防したい方、または心臓病を発症したあとの再発予防のかたなどが船橋市、鎌ケ谷市、習志野市,、市川市、千葉市を始め多くの方に来院頂いています。

在籍医師は、院長はじめ循環器専門医資格を複数の医師が有しております。

医師、専門スキルを持った看護師(糖尿病療養指導士、抗加齢学会指導士、心臓リハビリテーション指導士)、専門エコー技師、経験豊富な医療事務の全員で、チームで患者さんを診療させていただいております。

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糖尿病と緑茶とコーヒー

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマは、『糖尿病と緑茶とコーヒー』についてです。

緑茶の効用

緑茶には様々な健康効果があることが多くの研究からすでにわかっています。

例えば、東北大大学からの調査では、緑茶と認知機能障害の関係について報告しています。

その報告によると、「緑茶を1日2杯以上飲む人は、週3杯以下の人に比べて認知障害になりにくい」というものでした。記憶力の衰えは脳の神経細胞が活性酸素で傷つくことが原因の一つだと考えられており、緑茶に含まれるカテキンは活性酸素の働きを抑えたり、神経細胞が傷つくのを防いだりする効果があると言われています。

同様に、緑茶を1日5杯以上飲むと、1日1杯未満の人に比べて脳梗塞の死亡リスクが低下するという報告もあります。

緑茶とがんに関わる報告も多々あります。一部を紹介すると・・・

  • 緑茶と前立腺がんの関係:緑茶を1日5杯以上飲む男性は、1日に1杯未満の男性に比べて進行性の前立腺がんリスクが約50%低い(Am J Epidemiol.;167,71-77.2008 )
  • 緑茶と胃がんの関係:緑茶を1日5杯以上飲む女性は、1日に1杯未満の女性に比べて胃がん発症リスクが21%低い(Gut.;58,1323-1332.2009)
  • 緑茶と全がんの関係:緑茶を1日10杯以上飲む人は、3杯未満の人に比べてすべてのがんに対してリスクが約2分の1に減少。(J Cancer Prev.;20,1-4.2015)

緑茶と心臓病や脳卒中への効果ももちろん謳われています。

国立がん研究センターなどが実施している「JPHC研究」では、緑茶を1日1杯未満飲むグループと、1日3〜4杯摂取したグループと1日5杯以上摂取したグループを比べたところ、心疾患の死亡リスクは、それぞれ男性で26%、女性で26%低下し、脳血管疾患の死亡リスクは、男性で29%、14%低下したと報告しています。緑茶に含まれるカテキンが血圧などの生活習慣病リスクを改善する効果をもち、緑茶に含まれるカフェインが血管内皮の修復を促すのではないかと考察しています。

もちろん、緑茶と糖尿病の関係も研究されています。

1日に緑茶を6杯以上飲む人は2型糖尿病の発症率が大幅に低下することが、「JACC研究」で明らかになっています。この研究では、緑茶を1日6杯以上飲む人では、週1杯以下の人と比べ、糖尿病の発症率が33%少なかったというものでした。 緑茶に含まれるカフェインや、またEGCGなどのカテキンの抗酸化作用により、インスリン抵抗性の改善を起こした可能性があると言われています。

このように、緑茶の健康効果は素晴らしいものです。

コーヒーの効用

コーヒーに関しては、その是非が様々なところで論議されています。

ここでは、いくつかの健康効果についてお話します。

コーヒーの心臓病・脳卒中低減効果を研究した報告があります。

国立がん研究センターのグループは習慣的にコーヒーを飲む人は、心臓病、脳卒中、による死亡リスクが低下するという報告をしました炎症を予防する効果のあるカフェインと、酸化を防ぐ効果のあるポリフェノールの相乗効果によると考えられています。コーヒーに含まれるクロロゲン酸が体内でフェルラ酸という成分に代謝されるのですが、このフェルラ酸が血小板が固まるのを防ぎ、血液をサラサラにしてくれ、脳梗塞や心筋梗塞を防いでくれる可能性があると考えられています。

海外からの報告では、1日に2〜4杯飲んだ人は、コーヒーを飲まなかった人と比較して、死亡のリスクが18%低くなったというものもあります。

日本人でコーヒーを1日3杯以上飲む人は、脳腫瘍を発症するリスクが低いという研究報告もあります。

一方でコーヒーのデメリットもあります。

例えばカフェインの過剰摂取。カフェインの興奮作用によって、不眠や精神不安定などの可能性が言われています。また、タンニンが鉄分と結びついて貧血を起こす可能性もありえます。

糖尿と緑茶とコーヒー

今回、緑茶とコーヒーを適度に摂取することが糖尿病患者さんにとっていいかもしれない、という報告がなされました。

『Additive effects of green tea and coffee on all-cause mortality in patients with type 2 diabetes mellitus: the Fukuoka Diabetes Registry』

対象者は、日本人の成人2型糖尿病患者4,923人。平均年齢は66歳で、男性が2,790人、女性が2,133人。平均5.3年間追跡し、死亡リスクが緑茶やコーヒーの摂取でどの程度軽減するかを検討しています。

その結果が以下のようになりました。

緑茶を飲まない人に対し、1杯/日以下の緑茶摂取で死亡リスクは15%低下、2~3杯/日で27%低下、4杯/日以上で40%低下しました。

コーヒーに関しては、飲まない人に対し、1杯/日未満のコーヒー摂取で死亡リスク12%低下、2杯/日で19%低下、2杯/日以上で41%低下しました。

そして、緑茶とコーヒーの相乗効果に関しては、緑茶とコーヒーをともに飲まない人に対し、2~3杯/日の緑茶+2杯/日以上のコーヒーで死亡リスクは51%低下、4杯/日以上の緑茶+1杯/日のコーヒーで58%低下しました。また、4杯/日以上の緑茶+2杯/日以上のコーヒーでなんと死亡リスクは63%も低下したのです。

そしてこの研究チームは、今回の研究の限界としてこの研究が観察研究であり因果関係には言及できないこと、および家族歴など、結果に影響を与える可能性のある因子が全て調整されているわけではないことを挙げています。

糖尿病の合併症

糖尿病は、ありとあらゆる合併症を起こしうる病気です。

心筋梗塞や脳卒中、閉塞性動脈硬化症などの心臓血管病、3大合併症といわれる糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、など。

糖尿病の管理は血糖の管理だけではありません。糖尿病の管理はむしろ血管の管理と言えるかもしれません。循環器専門医のもと、頸動脈エコーや心臓エコー、運動負荷心電図、ABIなどの専門的な血管検査を定期的にうけることが糖尿病の合併症を減らす上で、非常に大切な要素だと思います。

 

 

当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。

動脈硬化を予防したい方、または心臓病を発症したあとの再発予防のかたなどが船橋市、鎌ケ谷市、習志野市,、市川市、千葉市を始め多くの方に来院頂いています。

在籍医師は、院長はじめ循環器専門医資格を多くの医師が有しております。

医師、専門スキルを持った看護師(糖尿病療養指導士、抗加齢学会指導士、心臓リハビリテーション指導士)、専門エコー技師、管理栄養士、経験豊富な医療事務の全員で、チームで患者さんを診療させていただいております。

どうぞ安心してご来院ください

 

 

 

 

 

心房細動の治療と認知症リスク低下

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

きょうは、『心房細動と認知症』に関する話です。

心房細動

心房細動とは不整脈の一つです。不整脈にもいろいろな種類がありますが、心房細動は、心房が電気的に細かく痙攣を続けているような状態で、その影響で十分な血液を全身に送りづらくなります。

日本人の1~2%(100~200万人)が心房細動だと推定されており、

また加齢に伴い、心房細動の頻度は増えていき、症状も様々です。

動悸や息切れを生じる人がいる一方で、全く無症状のままで健康診断などでたまたま見つかるケースも少なくありません。

そして心房細動において一番注意しなければいけないことが「血栓」です。

心房細動においては心房が不規則に収縮するために、心房内の血流が円滑に進まず、心房内に血栓ができることがあります。

血栓が心房内にとどまっていればなんのもんだいもありません。しかし、一度血栓が心房から剥がれ、飛んでいってしまうことがあります。これを「血栓塞栓」と呼びます。

もし血栓が脳に飛べば脳梗塞ということになるわけです。

つまり脳梗塞の原因の一つに『心房細動』があるというわけです。

また、心房細動は大きく2種類存在します。

一つは、心房細動が短時間にのみ発作的におこるタイプで『発作性心房細動』と呼ばれます。

もう一つは、心房細動が持続的に継続しているタイプで『持続性心房細動』と呼ばれます。

心房細動になりやすい人

では、どんな人が心房細動を起こしやすいのでしょうか?

1つ目は「加齢」です。高齢者には比較的多く見られる不整脈です。

また、心筋梗塞や弁膜症、心筋症、心不全、心機能低下などの心臓の基礎疾患がある方や、

糖尿病や高血圧などの生活習慣病のある方、

そしてメタボリックシンドロームなどに代表されるような肥満のある方、

なども心房細動を起こしやすいと言われています。

心房細動と血栓塞栓症

心房細動で一番怖いもの、それが血栓塞栓症です。

心房細動で生じた心房内の血栓が、心臓から剥がれ、どこかに飛んでいってしまうのです。

最も重篤なものが脳塞栓、いわゆる脳梗塞となります。

心房細動による血栓が原因となる脳梗塞は広範囲に及ぶこともあり、命の危険に関わる事態になることも珍しくありません。

では、心房細動の中でもどんな人が血栓を作りやすいのでしょうか?

脳梗塞の起こしやすさを推測する指標があり、CHADS2スコアと呼ばれています。

これは、医療現場でもつかわれているもので我々もこのスコアを参考に治療法を提案しています。

では、具体的に血栓塞栓を起こしやすい人はどんな人かというと、以下の人がそれに当てはまります。

・心不全の既往のある方

・高血圧のある方

・高齢者(75歳以上)のかた

・糖尿病の方

・脳梗塞を起こしたことがある方

これらに一つでも当てはまる場合、脳梗塞予防の治療が必要になる可能性が高くなります。

心房細動の治療法

1つ目は薬物療法。これは、心房細動そのものを抑え込む薬剤、脈拍をコントロールする薬剤、血栓ができにくくなるような血液サラサラの薬剤、などがそれに当たります。

2つ目は何もしない。若年者で、しかも心房細動の症状がまったくない、血栓塞栓の危険性も少ない、など条件が当てはまる場合は無投薬も可能です。

3つ目が根治療法と呼ばれるもので、カテーテルアブレーションといいます。

これは、カテーテルと呼ばれる細い管を使って、不整脈を高周波電流で焼く、冷凍凝固バルーンやホットバルーンを使う、などいくつかの方法で心房内の不整脈の回路を断ち切る方法です。

自分がどの治療法を選択するのが適切なのか?はぜひ一度循環器専門医に相談するのが良いと思います。

カテーテルアブレーションと認知症リスク低下

一つ、最近の研究論文をご紹介します。

心房細動の治療法に、薬物療法よりも、カテーテルアブレーションの方が、認知症の発症リスクが低下する可能性が高いという研究結果が「European Heart Journal」に発表されました。

『Less dementia after catheter ablation for atrial fibrillation: a nationwide cohort study』

『心房細動に対するカテーテルアブレーション後の認知症の減少:全国的なコホート研究』

韓国の研究グループからの報告です。

52ヶ月の追跡調査からの解析の結果、カテーテルアブレーション群では薬物療法群に比べて、認知症の発生リスクが27%低いことが明らかになりました。

今回の研究の結果、心房細動に対するカテーテルアブレーションによる治療法が本当に認知症リスクの低減につながるのか、今後はさらなる検証が必要だ、と研究チームは話しています。

 

 

当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。

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どうぞ安心してご来院ください