循環器内科とは、狭心症や心筋梗塞、弁膜症、心不全、心房細動をはじめとする不整脈など心臓の病気だけでなく、大動脈解離、大動脈瘤などの大動脈の病気、脳卒中の原因となる頚動脈狭窄という首の血管、腎臓の血管のつまりである腎動脈狭窄、そして足の血管の詰まりである閉塞性動脈硬化症など全身の血管の病気を主にみる分野です。これら血管の詰まりの原因は動脈硬化。そして動脈硬化の原因は高血圧、高コレステロールや高中性脂肪など脂質異常症、糖尿病、痛風などの生活習慣病です。つまり、生活習慣病の管理こそ循環器内科で診ていく必要があります。
逆の言い方をすると、生活習慣病、動脈硬化の方は、全身の何処かの血管に詰まりや破裂のリスクがあるということです。ですから、生活習慣病の方は定期的でなおかつ専門的な血管検査が欠かせないと言えます。
心筋梗塞は、循環器内科の病気の中で最も注意が必要な病気の一つです。心筋梗塞とは心臓に栄養を送る冠動脈という血管が突然異常をおこし、詰まってしまう病気です。そのために心臓の筋肉が壊死、その結果一気に心臓のポンプの機能が破壊され、急激に心不全や不整脈などをおこし、運が悪いと命取りになる恐ろしい病気です。
症状は、突然起きる強烈で異常な胸の痛みです。あまりの痛みに冷や汗をかき、嘔吐する方ももいます。症状が起きてから6時間以内に専門病院に到着し、最適な治療を開始することがとても大事です。1分1秒を争う病気ですので、夜中だろうが休日だろうが遠慮せずに病院に行くことが必要です。
胸の痛み以外に、時折肩が痛い、歯が痛い、息が苦しいと訴える方もいます。合併症として心不全、不整脈、などがあります。
治療は大きく分けて3つあります。
一つめが、カテーテル治療(冠動脈ステント留置療法)です。これは、カテーテルと呼ばれる細い器具を心臓の冠動脈の中まで通し、詰まった血管をステントと呼ばれる細い金属の土管で広げる治療です。私も船橋市立医療センターをはじめとした救急病院で、主にこの治療に携わっていました。船橋での20年のステント治療経験で、約1万人を超えるかたの治療経験を持っています。
二つめの治療が、冠動脈バイパス術です。これは冠動脈の詰まりがたくさんあるためにステント治療が困難な場合に選択されます。
三つめの治療が薬物療法です。詰まった血管が心臓の隅っこのように、心筋梗塞のダメージ小さい場合に適応となります。
心筋梗塞を完全に予防する方法は、残念ながらまだ確立されていません。大事なことは日頃の生活習慣の管理と定期的な検査となります。そして異常な症状を感じたらすぐに専門医に相談することもとても大切です。そのためにもかかりつけ医として信頼できる循環器内科の医師を知っておくことは大切なことです。当院では、循環器疾患を網羅する各種検査機器を豊富に準備しています。
船橋市をはじめとして鎌ヶ谷市や習志野市、市川市など近隣市内の地域の皆様の健康維持に少しでもお役立ちできたらと考えております。
狭心症という病気は、心筋梗塞と紙一重の疾患と言えます。心筋梗塞の場合は心臓の動脈(冠動脈)が完全につまってしまうもの。一方で狭心症は、心臓の動脈が狭くなった状態、いわば心筋梗塞の一歩手前の状況です。
狭心症はその診断、見極めがとても重要です。診断を誤ったり見逃したりすると心筋梗塞をおこし、心不全や心筋ダメージ、不整脈、最悪の場合突然死も起こり得るからです。ですから、狭心症の状態で心臓の病気に気づき、早期の検査、早期の診断、早期の治療が必要です。
典型的な症状は、階段や坂道などの軽い体の動きに伴って出現する胸の痛み、締め付け感、圧迫感です。例えば、いままでなんともなかった駅の階段で、途中で胸の締め付け感が出現、一休みすると数分で回復、というような症状でこれは労作性狭心症と呼ばれます。
一方で、朝方胸が苦しくなって目がさめる、というパターンもあります。これは運動と関係なく出現し、安静時狭心症(冠攣縮性狭心症)とよばれるもので、前触れなく急に心臓の血管がけいれんするものです。
いずれの症状も放っておくと心筋梗塞になってしまうものです。
治療は先ほどの心筋梗塞の治療と同じです。心筋梗塞の場合は緊急で治療を行ったのに対し、狭心症の場合は心筋梗塞にならないように予防的に治療を行います。
冠動脈へのステント療法、冠動脈バイパス、薬による薬物療法があります。
狭心症の予防、管理は極めて重要です。狭心症の多くは生活習慣のみだれ、血圧や脂質異常、肥満、運動不足、血糖上昇を伴う糖尿病、などの生活習慣病、ストレス、睡眠不足、疲れ、など多々あります。なにも症状がないから、健康診断で異常を言われていないから、など軽々しく自己判断せずにかならず循環器の専門医のいる医療機関へのご相談、受診をしてください。
また、狭心症や心筋梗塞は再発が非常に高い病気です。そのための再発予防の定期検査、管理も必要です。
当院では心筋梗塞や狭心症の既往のある方全員に6ヶ月ごとの運動負荷心電図検査や心臓エコー検査、また脳梗塞予防の頚動脈エコー検査などをお勧めしています。
心不全とは、なんらかの原因で心臓の働きが悪くなり、全身の循環が悪化する病気をさします。原因としては、心筋梗塞や狭心症による虚血性心不全、高血圧性心不全、糖尿病によるもの、弁膜症(大動脈弁や僧帽弁など)によるもの、心房細動などの不整脈によるもの、心筋の過剰肥大や過剰拡張によるもの、肺高血圧など呼吸器の病気に由来するものなど多岐に渡ります。また、心臓と関係なく、貧血や甲状腺ホルモンなどの代謝異常に由来することもあります。
心不全の症状は息切れやむくみが主な症状です。むくみは足や顔に出ることが多いです。最近足のむくみが取れない、顔がむくんできた、息切れがすることが増えてきた、などの症状が出たら心不全を起こしている可能性があります。
また、高血圧や糖尿病などの生活習慣病のかたは、自覚症状がないままに心臓の機能が落ちていく、いわゆる「かくれ心不全」をおこしているケースが相当数みられます。症状がなくても自分の心臓の動きに問題がないか、定期チェックを行うことをお勧めします。
心臓の病気を抱えているかたは特に心不全を起こすリスクがあります。症状が軽いうちに早めに専門医を受診し、定期的な管理を受けることが必要です。心不全は重症化すると入院、命にかかわります。一方で軽ければ、入院せず外来でコントロールすることが可能です。外来でのコントロールは専門的な知識や経験が必要となりますので、経験豊富な循環器内科専門医のいる施設へのご相談、受診が必要です。
また、心不全の経験がないかたでも、生活習慣病のかたや高齢のかたなど、心不全を起こす可能性は誰にでもあります。定期的な心臓エコー検査などをお勧めします。
不整脈とは、心臓の脈のリズムが不整になっている状態です。慢性的に不整脈が続いている場合と発作的に出現する発作性不整脈の2種類があります。
不整脈の種類はたくさんあります。心房細動、期外収縮、心房粗動、心室頻拍、徐脈、洞不全症候群、房室ブロック、心室細動など治療の必要のないものから死に至る可能性のあるものまで様々です。
主な症状は動悸、息切れです。不整脈が長く続くと、心不全をおこしたり、また心臓内に血栓が出現し、脳梗塞を起こすこともあります。
まずはその不整脈が治療の必要が本当にあるか判断することから始まります。特に多くのかたが経験する期外収縮はほとんどが治療の必要がないものです。やみくもの不整脈を抑える薬(抗不整脈剤)を内服すると、逆に副作用が増えるという学会報告や論文もあるほどなのです。不整脈の薬を飲んでいるかたは、本当にその薬が必要か、一度専門医へ受診し相談することをお勧めします。
一方で、治療が必要な場合は大きく2つに分かれます。
一つ目がカテーテルアブレーションという方法です。これは、カテーテルという細い器具を心臓の中に通し、不整脈の原因箇所を焼き切る治療法で、専門病院での数日間の入院治療となります。
当院からは連携病院である船橋市立医療センターをはじめ、各病院への紹介が可能です。
二つ目は薬による治療法です。カテーテルアブレーションの適応がない場合、患者様が希望されない場合、高齢で積極的治療を必要としない場合、症状が軽い場合などに適用されます。
不整脈は必ずしも自覚症状はありません。動悸症状などなくとも定期的な心電図検査を受けるようにしましょう。
当院では24時間心電図(ホルター心電図)で発作性の不整脈の検査などもおこなえます。
循環器疾患は多岐に渡ります。頚動脈が狭くなり、(頚動脈狭窄)脳卒中を起こす病気。大動脈が動脈効果で膨れてしまう大動脈瘤、大動脈が突然裂けてしまう大動脈解離、足の血管がつまり、足の壊疽や切断に至ることもある閉塞性動脈硬化症など。
循環器疾患のほとんどは前触れなく突然発症します。
症状がないからといって安心せず、専門医のいる施設での定期的な検査をぜひとも受けるようにしてください。