動脈硬化

動脈硬化

動脈硬化とは、文字通り動脈が硬くなっている状態です。いわゆる血管の老化とも呼べます。血管の内側(内皮)には日々たくさんの血液が流れ、その勢いによって血管は傷つけられています。動脈硬化がないと、傷ついた血管は直ちに修復され、しなやかな血管を維持できます。しかし、動脈硬化の状態になり徐々に血管が硬くなっていくと、弾力性を失っていき、傷ついた血管は修復が間に合わず、血管にはプラークと呼ばれるこぶが膨らんできます。プラークが増えることにより、血管の中(内腔)はどんどん狭くなっていったり、場合によっては血栓という血の塊が血管内に付着し、血管を塞いでしまいます。血管が詰まる状態は、或る日突然訪れます。それが頭に起これば脳梗塞、心臓に起これば心筋梗塞です。

動脈硬化の原因

動脈硬化

動脈硬化の原因は一つではありません。悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が動脈硬化の原因として有名かもしれません。しかし、原因はまだまだあります。肥満(内蔵脂肪が蓄積している状態)、高血圧、糖尿病、喫煙、運動不足などです。これらの要素が複合的にかみあって、動脈硬化は進行していきます。
動脈硬化は、そのほとんどで症状が出てくることはありません。ですから、多くの人が、自分が動脈硬化が進んだ状態になっていることに気づいていないのです。動脈硬化の危険因子を持っている人は、積極的に動脈硬化がない角かの定期検査をすることが、脳梗塞や心筋梗塞を予防する上で、極めて大事なことなのです。例えば、血圧が高い高血圧の人は、血圧にだけ目を向けていれば大丈夫なのでしょうか?そんなことはありません。日本人の高血圧患者さんは欧米に比べ、特に脳卒中が多いと言われています。ですから、頚動脈エコー検査などで頭頸部(頭と首)の動脈硬化を見て、自分が脳卒中を起こす気配がないのかを調べなければいけません。

動脈硬化の検査

動脈硬化は全身の血管に起こり得ます。しかし、定期的に、しかも簡単に全身すべての血管を調べ続けるのは困難です。CT検査で細かく血管を撮影することも可能ですが、造影剤や放射線被曝の問題などあり、頻繁に検査するわけにはいきません。そこで当院では、放射線を使わずに、総合病院などでの大掛かりな検査抜きに、気軽に、簡単に、それでいて重要で欠かせない検査をおすすめしています。頭や首の動脈硬化を見るために、当院では頚動脈エコーを行っています。高血圧や脂質異常症などの全ての動脈硬化リスクのある方に受けていただきたい検査です。
また、同様に心臓の動脈硬化検査も必須です。知らない方も多いかもしれませんが、実は日本人の死因は心臓疾患が第2位です。多くの人が、心臓病、特に動脈硬化が原因の心筋梗塞で命を落としています。しかも、なんの前触れもなく突然死という形で世をさる方も少なくありません。当院では心臓の動脈硬化検査として心臓エコー検査と運動負荷心電図検査をおこなっています。健康診断などで通常おこなわれている安静時心電図では、狭心症などの動脈硬化疾患を見落としがちです。表彰台のような階段を上り下りし、その前後で心電図を比較することで、狭心症のような心臓の動脈硬化を気軽に見つけられるのです。頚動脈エコー検査同様、心臓エコー検査と運動負荷心電図も動脈硬化のリスクのある方や心臓病の既往のある方、高齢で動脈硬化が考えられる人などにおすすめしています。
そして、以外と見落としがちなのが、足の動脈硬化です。足の動脈硬化は心筋梗塞や脳梗塞を起こした人の数人に一人が合併していると言われています。閉塞性動脈硬化症(ASO )と呼ばれています。高血圧や糖尿病、そして喫煙者に多く見られる病気です。閉塞性動脈硬化症(ASO)は、放置していると足の血流不足から、足の潰瘍やさらに進むと足の一部が腐る壊死、さらには下肢切断にまで至るケースも決して少なくないのです。当院では、この閉塞性動脈硬化症(ASO)の検出にCAVI検査を行っています。これは、両手両足の血圧を同時に測り、下肢の血圧を見ることで下肢に動脈硬化が内科を簡単に判別できるものです。もちろん当院でもCAVI 検査を定期的に多くの動脈硬化の疑いがあるかたに行っています。