こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日は『緑茶と心筋梗塞・脳卒中』についてお話します。
まずは心筋梗塞について簡単に復習をしてみましょう。心筋梗塞や狭心症という病気は、心臓に栄養を送っている血管、冠動脈が狭窄ないしは閉塞してしまい、十分な栄養が心筋に到達しない状態を指します。
特に、心筋梗塞の場合は冠動脈の突然の閉塞に伴い、心臓の筋肉が壊死してしまうことがあり、それがもとで不整脈は心原性ショック、心不全、そしてそれが致死的になることもあります。ですから如何に心筋梗塞を起こさないか、そして運悪く一度発症したとしても、どうしたら心筋梗塞の再発を防げるのか?そのために普段どんな生活を送るべきなのか?がとても重要になってきます。
心筋梗塞の殆どは動脈硬化、動脈硬化が起こる原因の殆どは生活習慣の問題です。高血圧やコレステロール、血糖、肥満、アルコール、喫煙、に対する注意はもちろんのこと、動脈硬化を抑制する可能性のある食材に目を向けることも大切です。
もちろん体に良いものは摂るけれども、体に悪いものも遠慮なく摂っていては意味がないですけど。
今回、日本の研究者たちが脳卒中や心筋梗塞御の再発に緑茶が有効という研究報告をされました。
この解析はJACC研究のデータを用いて行われました。1988~1990年に参加登録された40~79歳の4万6,213人を約18.5年追跡しています。
その結果、緑茶の摂取量は、脳卒中または心筋梗塞の既往のある方では、緑茶の摂取頻度が死亡率と逆相関することが判明しました。具体的には、脳卒中既往者では緑茶を飲まない群に比較し、1日に3~4杯飲む群の死亡が56%に減少、5~6杯飲む群では52%、7杯以上飲む群では38%(同0.20~0.71)でした。心筋梗塞既往のある方も同様で、1日に7杯以上飲む群は死亡リスクが47%に減少していました。一方、脳卒中や心筋梗塞の既往のない人では、緑茶摂取量と死亡リスクに有意な関連は認められませんでした。
緑茶に含まれているフラボノイドがこの様な結果をもたらしたのかもしれませんが、詳細までは不明です。
緑茶を多く飲む人と、そうでない習慣の人たちでは生活のリズムに大きな違いがある可能性も否定できません。
ただ、この結果を踏まえ、少なくとも普段の生活習慣に緑茶を積極的に取り入れてみることは悪いことではなさそうです。
当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。
動脈硬化を予防したい方、または心臓病を発症したあとの再発予防のかたなどが船橋市、鎌ケ谷市、習志野市,、市川市、千葉市を始め多くの方に来院頂いています。
在籍医師は、院長はじめ循環器専門医資格を多くの医師が有しております。
医師、専門スキルを持った看護師(糖尿病療養指導士、抗加齢学会指導士、心臓リハビリテーション指導士)、専門エコー技師、管理栄養士、経験豊富な医療事務の全員で、チームで患者さんを診療させていただいております。
どうぞ安心してご来院ください
こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日は『GI値と心臓病』の関係について、です。
GI値はグリセミック・インデックスの略で、食後の血糖値の上昇度合い、糖分の吸収度合いを数字化したものです。
グルコースを100とし、、GIが70以上の食品を高GI食品 56~69の間の食品を中GI食品 55以下の食品を低GI食品と定義しています。
低GI食品を積極的に摂取することで、肥満の抑制や糖尿病の予防につながると言われており、多くの食品メーカーも低GI値の商品を作り出しています。
糖尿病を起こす、肥満を続ける、そういった生活習慣病が動脈硬化を惹起し、心筋梗塞や脳卒中などの引き金になる可能性は高いと思われます。
ただ、GI値と心臓病や心臓血管死などに関連があるのかどうか?この点に関しては科学的なエビデンス、証明されていることが少なく、不明な点がたくさんありました。
今回、カナダ・トロント大学のDavid J.A. Jenkins氏らがGI値の高い食品と心臓血管病の関係について大規模な研究報告をしました。
対象者は20カ国の35~70歳の13万7,851人で、追跡期間の中央値は9.5年でした。
7つに分類された炭水化物食品(豆類、でんぷん質食品、野菜、果物、果実飲料、乳製品、砂糖入り飲料)に基づいて、GI値を調査しています。
その結果、GI値が最も高かったグループと最も低かったグループ比較したところ、心臓血管病の既往があった場合、GI値が高いと心臓血管病のリスクは1.51倍、心臓血管病の既往がない場合、リスクは1.21倍でした。
ということは、高いGI値食品を食べ続けると心臓血管病を起こしたことがない人でもリスクが20%増加、既往がある人はなんと50%以上もリスクが増えるという結果なのです。
今回の研究では、同じ糖質でも内容をかなり考えることで将来の病気のリスクがかなり変わるということです。ただやみくもに全ての糖質を否定する意見もあるようですが、上手な炭水化物の選び方が心臓血管病の危険性を減らしてくれるとも言えます。つまり、日常的に高GI食品を食べていたひとは、低GI食品を食べるように意識するだけで、心臓血管病の危険性を減らせることも予想できます。
当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。
動脈硬化を予防したい方、または心臓病を発症したあとの再発予防のかたなどが船橋市、鎌ケ谷市、習志野市,、市川市、千葉市を始め多くの方に来院頂いています。
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医師、専門スキルを持った看護師(糖尿病療養指導士、抗加齢学会指導士、心臓リハビリテーション指導士)、専門エコー技師、管理栄養士、経験豊富な医療事務の全員で、チームで患者さんを診療させていただいております。
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こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日は、『性別と夜間心停止』の話です。
突然の心停止、とても恐ろしいことですが、誰にでも起こりうるものです。
病院外で心停止をおこすと、生存率は10%程度ともいわれており、どんなひとが起こしやすいのか?どう予防していけばよいのか?このことをかんがえるのはとても大切です。
心停止の多くは心筋梗塞と言われています。
ですから、まずは心筋梗塞を起こさないように予防するということが前提です。
御存知の通り、心筋梗塞は心臓の血管である冠動脈が動脈硬化を起こし、突然閉塞してしまうことがその原因と言われています。
では、動脈硬化を起こす原因は、何でしょう?
それはまさに生活習慣の乱れ、でしたよね。
高血圧、糖尿病、脂質異常、肥満や運動不足、喫煙などが挙げられます。
まずやること、それは心筋梗塞をおこさないために生活習慣を見直すということです。
また、心停止に関しては心筋梗塞だけではなく致死性の不整脈が突然起こることもあり、
どの原因で心停止を起こしたのかはなかなか判別が難しいところもあります。
今回、心停止に関して女性に多いという驚くべき論文が報告されました。
今日は、その論文をご紹介したいと思います。
米シダーズ・サイナイ医療センター心臓研究所のSumeet Chugh氏らによって「Heart Rhythm」に報告、掲載されました。
今回、4216例の心停止例を調べ、その中の918例が夜間(午後10時から翌朝6時)に出現していました。
結果としては、女性の性別であることで夜間心停止のリスクは1.3倍、鎮痛剤や鎮静剤など傾眠や呼吸抑制に関わる薬剤の使用でリスクは1.2倍、慢性閉塞性肺疾患/喘息の存在で1.4倍のリスク増加でした。
このことからいえることは、女性で肺疾患の持病や喫煙歴があるか、鎮痛剤や鎮静剤の服用をされている方は特にハイリスクと考えて良いのかもしれません。
当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。
恐れ入りますが、当院では新型コロナウイルスに対するPCR検査や抗原検査は施行しておりません。
また、クリニックの構造上、発熱の患者さんを十分に受け入れる体制ではなく、直接のご来院をお控えいただくことがあります。
動脈硬化を予防したい方、または心臓病を発症したあとの再発予防のかたなどが船橋市、鎌ケ谷市、習志野市,、市川市、千葉市を始め多くの方に来院頂いています。
在籍医師は、院長はじめ循環器専門医資格を多くの医師が有しております。
医師、専門スキルを持った看護師(糖尿病療養指導士、抗加齢学会指導士、心臓リハビリテーション指導士)、専門エコー技師、管理栄養士、経験豊富な医療事務の全員で、チームで患者さんを診療させていただいております。
どうぞ安心してご来院ください
こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日は、『揚げ物と心臓病の関係』についてお話します。
みなさんも、揚げ物をたくさん食べると健康を害するだろうことはなんとなくイメージが湧くと思います。
でも今までなかなかそのことを科学的に実証した論文は見当たりませんでした。
今回、深圳大学健康科学センター(中国)のPei Qin氏らにより、揚げ物の摂取量と心臓血管病のリスクに関する研究が示されました。この報告は、「Heart」誌に掲載されています。
対象者は約75万人。追跡期間が約9.5年。その間に生じた心筋梗塞や脳卒中などの主要心血管イベントの数、心臓血管死および全死亡との関連を、揚げ物の摂取と検討したのです。
その結果、1週間当たりの揚げ物摂取量が最も多かったグループでは、最も摂取量が少なかったグループと比べて心臓血管イベントのリスクが28%、冠動脈疾患リスクが22%、心不全リスクが37%高いことが判明しました。さらに細かく検討すると、週当たりの揚げ物摂取量が114g増加するごとに、心血管イベントリスクで3%、冠動脈疾患リスクで2%、心不全リスクで12%増加していました。
一方で、心臓血管死亡や全死亡と揚げ物摂取の量には関連は見られなかったとのことです。
この研究からは、なぜ揚げ物をとりすぎると心臓血管病にかかりやすくなるのか?のメカニズムまでは解明できていません。
しかし、報告者らは揚げ物の中に多く含まれるトランス脂肪酸の存在や、揚げることによる炎症性物質の増大、そして揚げ物に多く添えられやすい塩分や糖分の同時過剰摂取などを考察としてあげています。
揚げ物の場合、どんな油で揚げるのか?揚げる時間はどれくらいか?油を使いまわしていないか?油が酸化していないか?など、油だけ考えてもかなり身体に悪い影響を与えかねないと思われます。
揚げ物の肉など、カロリー過多にもなりがちです。みなさんも適度な摂取に止め、過剰摂取は避けましょうね。
当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。
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こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日は、『心臓血管病と生活環境』についてです。
心臓病と一口に言ってもいろいろあります。狭心症や心筋梗塞、不整脈や心不全、弁膜症などなど。
心臓病の中には、拡張型心筋症に代表されるような原因不明の疾患もありますが、おおむね生活習慣の乱れが引き金になっています。生活習慣の乱れとは、例えば高血圧や脂質異常症、糖尿があります。これらは塩分や糖分のとりすぎ、偏食や過食で発症することが多いです。
そして、運動不足、飲酒、喫煙、そしてストレスなども心臓病の原因となってきます。
今、あげた心臓病の原因の中で、結構ストレスが絡むケースは非常に多く、以前こちらのブログでも書きましたが、怒りやすい人には心筋梗塞が多い、という論文もでているほどです。
しかしながら、ストレスが簡単にコントロールできればよいのですが、なかなか難しいことも多いですよね。
ストレスのコントロールを考えたときに、内的コントロールと外的コントロールという考え方があります。
内的コントロールとは、ストレスに対する自分の受け止め方や考え方、対処方法を変えていこうというもの。一方で外的コントロールは、自分の外面、周りの何かを変えることでストレスを減らしていこうというもの。
外的コントロールの中で、よく扱わるれるのが自分の周りの環境です。環境を変えることで人はストレスが増えることもあれば、軽減することもあります。
その環境を上手に変えていくことでストレスを減らし、結果的に心臓血管病になりにくくなっていくというわけです。
では、どんな環境が心臓病の確率を減らしてくれるのでしょうか?
今日はそんな環境と心臓病に関する論文をご紹介します。
緑のある空間が増えると、心血管病による死亡リスクが低下する可能性があるとする研究結果を、米マイアミ大学の研究チームが、今年の米国心臓協会学術集会(AHA Scientific Sessions 2020)で発表しました。
今回の発表は、緑の空間が大気の質を改善させることで、心血管病に良い影響を与えているのではないか?というものです。
大気中のPM2.5濃度や、正規化植生指数(NDVI)と心臓血管病による死亡リスクとの関連を検討しています。NDVIとは、衛星などから見た植物による光の反射の状態を指数化したもので、植物がどれくらい活性化しているかを示ものだそうです。そして緑が濃い場合、NDVIの値は大きくなるとのこと。
この研究の結果は、PM2.5濃度が増えるごとに心臓血管病による死亡率が上がり、一方でNDVIが増えるごとに、逆に心臓血管病による死亡率が減少していたのです。
つまり、緑が豊かな地域ほど大気の質がよく、結果的に心臓血管病に良い影響を及ぼしていたのです。
心臓発作の予防、そして再発を防ぐために有酸素運動が非常によいということは多くの研究結果から明らかになっており、一方で今回のように緑に触れることがさらに狭心症や心筋梗塞、心不全などの心臓発作を減らしてくれるかもしれないと期待できます。
ということは、私達は心臓病予防のために、そしてそもそも健康のために緑に触れている環境で運動をするということがベストなのではないか?と推測できます。
みなさんは、定期的に外に出て運動をしていますか?運動をしてないとしても、散歩がてら近くの緑を見に行っていますか?
ちなみに、心臓を鍛えるための有酸素運動の強さは心拍数(脈拍)でコントロール可能です。
(220-年齢)×0.65~0.70を目安に運動してみてくださいね。
詳しくは、以前の院長ブログのこの記事を御覧ください
当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。
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こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日のテーマは『糖尿と腎臓、血圧の関係』です。
今、糖尿病は世界中で爆発的に増えており、今もまだ増加の一途をたどっています。
アメリカでは全人口の約10%を超える3400万人以上が糖尿病に罹患しているとさえ言われています。
糖尿病の恐ろしいところの一つ、それは糖尿病になっても、そして病気が進行してもほとんどの人がなんの症状もないところです。
糖尿病には様々な合併症があるにも関わらず、症状がまったくないのです。
糖尿病には3大合併症と呼ばれるものが存在します。
それは、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、そして糖尿病性腎症です。
神経障害が進むと、特に下肢のしびれが出現し、感覚が鈍くなり、そのうち怪我をしても痛みを感じなくなってきます。そんな状態でいると、足先に小さなキズを作っても気づかずに、感染が広がってしまうことがよくあります。そして運が悪いと、下肢の糖尿病性の壊疽になってしまうことも。
網膜症が進むと、目の奥の眼底にある血管が固くなり、出血してしまうことになります。
その結果、視力が落ちたりうんが悪いと失明してしまう人もいます。
そして、糖尿病性腎症です。腎症も全く症状がありません。かなり末期の状態になってむくみやだるさなどの症状がでてきますが、最終的には腎機能が崩壊し、透析に至ってしまいます。
アメリカでは糖尿病患者の37%が腎臓病を合併していると言われています。
実は糖尿病によって腎臓の血液濾過効率が減少していくと、高血圧を発症してしまいます。
そして高血圧になると、腎臓の動脈硬化が進み、さらに腎臓の機能が低下してしまいます。
そしてさらにその影響が心臓にまで及び、心不全や心筋梗塞などを発症することになるのです。
心臓と腎臓は密接なつながりがあり、『心腎連関』と呼ばれています。
糖尿病も腎臓病も、そして高血圧も、この3つに共通することがあります。
それは、症状が非常にでにくい、病状が進行するまで自覚症状がはっきりしないということ。いわゆる『サイレントキラー』になるということです。
そんな中、今はSGLT2阻害薬という薬が注目されています。
これは、糖尿病薬の一つですが、腎臓機能の保護効果にとどまらず、心不全の発症率を下げてくれるなど、多くの効果が期待されています。
つまり、糖尿病薬による新しい心腎保護というわけです。
そんな内容の声明が先日Circulationという一流の医学雑誌に載っていました。
『Cardiorenal Protection With the Newer Antidiabetic Agents in Patients With Diabetes and Chronic Kidney Disease: A Scientific Statement From the American Heart Association』
『糖尿病および慢性腎臓病の患者における新しい抗糖尿病薬による心腎保護:米国心臓協会からの科学的声明』
糖尿病に関する様々な薬がでています。今回のように心臓や腎臓に素晴らしい効果が期待できる可能性の高きものもでてきています。
しかしながら、私達がまず考えなくてはいけないものはおわかりですよね。
そうです、普段の生活習慣です。甘い物など偏った食事をしすぎない。しっかり野菜をとってビタミンやミネラルを補充する。塩分を控え血圧の上昇を抑える。そして定期的にカラダを動かす。
サイレントキラーである糖尿や高血圧、腎臓病を防ぐために、改めて自己の生活を見直してみてくださいね。
当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。
動脈硬化を予防したい方、または心臓病を発症したあとの再発予防のかたなどが船橋市、鎌ケ谷市、習志野市,、市川市、千葉市を始め多くの方に来院頂いています。
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こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日は、高血圧と大気汚染の関係についてお話します。
高血圧は、御存知の通り、生活習慣病の一つです。
多くの人は、高血圧に対して注意をしているものの、そもそも高血圧が続くことでどんなことが起こり得るのか?本当の高血圧の怖さについてご存知ありません。
高血圧がおこるとどんな事が起こるのでしょうか?
高血圧は、血管の中の圧力が高い状態です。血管はホースのようなものなので、その中を高圧で水が流れ続けている状況を想像していただくと良いかもしれません。
パンパンに張った水道ホース、この状態が長く続くとホーズはどうなると思いますか?
ホースに亀裂が入ってきたり、ガタが来ますよね?
血管でいうと、固くなると同時にもろくなってきます。
この状態を動脈硬化と呼びます。
動脈硬化の血管は固くて脆いのです。そして詰まりやすく、切れやすく、破裂しやすくなるのです。
固くなり、動脈硬化を起こした血管には、内側の壁にプラークと呼ばれるコレステロールを始めとした物資圧が沈着していきます。沈着量が多くなると、血管の中が狭くなってしまい、最終的に詰まってしまうわけです。
血管が細くなっても症状がまったくないことが殆どで、そのために突然心臓の血管がつまる心筋梗塞や頭頸部の血管が詰まる脳梗塞を発症し、話を聞いてみると高血圧をしっかり治療していなかったケースがあります。
つまり、高血圧をコントロールするということは、その先の動脈硬化を予防する、更に先の血管のつまりなどの命に関わる病気を予防することにつながるのです。
高血圧が原因でおこる病気はたくさんあります。今日はそのうちの一つをお話します。
それは、大動脈解離という病気です。
大動脈とは、心臓から全身に血液を送る幹のような血管で、背骨の脇を走行しています。
大動脈から多くの枝が分岐して、脳血管や肝臓・腎臓などの腹部臓器、手足へと血液が運ばれます。
そのおおもとの血管を考えてください。
高血圧があると、このおおもとの血管。大動脈が常に高圧にさらされた状態になります。
大動脈は固くなり、もろくなっていきます。
その状態が長く続くいても実は全く症状がありません。ですから血圧が高くても調子が良いから大丈夫、などとたかをくくる人が大勢います。
しかし、その浦では着々と大動脈の動脈硬化がすすんでいるのです。
そしてある日・・・・
突然大動脈が『ビリビリ!!』と裂けてしまうのです。
大動脈が裂けると、脳への血管が裂けて脳卒中、心臓への血管が裂けて心筋梗塞、脊髄への血管が裂けて下半身麻痺、腸への血管が裂けて腸管壊死、足の血管が裂けて下肢の壊疽・・・など大変多くの合併症が起こり、運が悪いと病院にたどり着くことさえできず、いわば突然死を起こしてしまうわけです。
こんな病気をおこしてから、『ああ、高血圧にもっと気をつけていれば。。。』といったところで後の祭りなわけです。
では、どうすれは高血圧を予防できるのか?
これは生活習慣をみなおすことにつきます。
塩分を控える、カロリー過多の食事を控える、有酸素運動のような運動を定期的に取り入れる、睡眠を十分にとり、ストレスを溜めない生活をおくる。
大変かもしれませんが、やればやるだけあなたの健康度はどんどん上がっていき、結果的に病気に負けない強い体をつくれます。
そんな中、最近高血圧と大気汚染の関係についての論文が発表されました。
これまで、黄砂と喘息発作や急性心筋梗塞の発症との間に関係があることは知られていたものの、黄砂飛来の血圧への影響は不明でした。
最近、京都大学を中心としたチームが約10年追跡調査をし、血圧上昇と黄砂についての関係を調査した研究が報告されました。対象はおよそ30万人にものぼります。
『Association of short term exposure to Asian dust with increased blood pressure』
その結果、黄砂飛来日には血圧が上昇するという結果が得られたのです。
また、非喫煙者に比べて喫煙者において黄砂飛来日での血圧上昇幅が多かったとのことでした。
著者らは、黄砂への曝露を避けることは、健康な成人の高血圧発症の予防に有用な可能性がある、と考察されています。
高血圧を患っている方は、ただ血圧を管理するだけで満足していてはいけません。
大切なことは、動脈硬化が進行していないか?血管が詰まりかけいるところはないか?
そういった観点からの定期チェックが欠かせないのです。
頸の血管エコー検査をすれば、血管の壁に動脈硬化のプラークが形成されていないか、すぐわかります。
運動負荷心電図で、心臓の虚血状態が簡便に予測できます。
ABI検査で下肢の血流が把握できます。
ぜひ、定期チェックに目を向けてみてくださいね
当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。
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こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日は、『高齢者へのコレステロール低下薬投与の有効性』についてお話します。
健康診断などで、コレステロールが高い指摘されたことがある方は多くいらっしゃると思います。
コレステロールは動脈硬化のプラーク形成の要因として槍玉に挙げられる一方、ホルモンの合成の原材料になるなど生命維持に欠かせないものでもあります。
御存知の通り、コレステロールには善玉のHDLコレステロールと、悪玉のLDLコレステロールが存在します。特に騒がれるのが、悪玉と呼ばれるLDLコレステロールです。
多くの研究からLDLコレステロールが高値を示すことが、心血管疾患の危険性が増加させると報告されています。
LDLコレステロール値にはある目標値が存在します。
以下は、日本動脈硬化学会のホームページに載っている脂質の表です。
これによると、LDLコレステロールが140mg/dlを超えると脂質異常と記載されています。
では次に、どんな人がどんなタイミングで脂質低下薬を使う必要があるのでしょうか?
ここで、1次予防と2次予防という考え方が必要になってきます。
1次予防とは、まだ狭心症や心筋梗塞などの心臓血管病に罹患したことがない人が心臓血管病と予防すること。
2次予防とは、心臓血管病に罹患したことがある人が再び心臓血管病にかからないように予防すること。
想像できると思いますが、1次予防よりも2次予防のほうがLDLコレステロールをしっかり下げておかないといけません。なぜならば心臓血管病の既往があるということは、LDLコレステロールが血管をつまらせた原因の一つと考えられる、だからこそしっかりとLDLコレステロールを下げないといけないと考えられるからです。
では、心臓血管病の既往がない人に、脂質低下薬は効果があるのでしょうか?LDLコレステロールがどこまで上昇したら飲み始める必要があるのか?
そして、特に高齢者への脂質低下薬内服による1次予防の効果はまだはっきりしていない部分があります。
最近、75歳以上のアメリカ退役軍人を対象に、スタチンと呼ばれる代表的なコレステロール低下薬が、心臓血管病の1次予防に有効かどうかの研究報告がなされ、研究の成果は、JAMA誌2020年7月7日号に掲載されました。
『Association of Statin Use With All-Cause and Cardiovascular Mortality in US Veterans 75 Years and Older.』
『75歳以上の米国退役軍人におけるスタチン使用と全死因および心血管死亡率との関連性』
32万6,981例(平均年齢81.1歳)が解析に含まれ、このうち試験期間中に5万7,178例(17.5%)が新たにスタチン治療を開始しています。平均フォローアップ期間は6.8年でした。
その結果、全死亡率がスタチン投与群で25%低下し、心血管死亡率も20%低下したことが判明しました。
一方で心筋梗塞や虚血性脳卒中の発生率には2群間で差を認めなかったものの、冠動脈バイパス術や冠動脈ステント術の血行再建治療を受けた数は、スタチン内服群で有意に減少していたとのことでした。
改めて研究結果から高齢者にスタチン投与は本当に必要と言えるか考えてみたいと思います。
多くの研究にいえることがありますが、研究には対象患者さんの背景の違いがあります。
今回の場合だと、アメリカ人へ効果が出たと言えることが、日本人にそのままあてはまるのか?
そして、生活習慣の背景も違います。
おそらく、今回の対象には多くの肥満者が含まれていることが容易に想像されますし、食生活もファーストフードなどの摂取頻度も多そうです。
ということは、高齢者の心臓血管病1次予防にスタチンが効果がある人はいる。しかし、あらゆる75歳以上の方にスタチンが必要なのか?に関しては今回の研究からは残念ながら読み取れないと思います。
基本的な生活習慣をしっかりとさせ、運動も定期的に行い、LDLコレステロールも定期的にチェックしながら動脈硬化が進行していないか?を医療機関などで定期的に検査する、ことが必要ですね。
動脈硬化の有無を見る上で、頸動脈エコー検査とABI(上肢下肢血圧測定)検査はとても有用ですので、受けられたことがない方は是非受けることをおすすめします。
当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。
動脈硬化を予防したい方、または心臓病を発症したあとの再発予防のかたなどが船橋市、鎌ケ谷市、習志野市,、市川市、千葉市を始め多くの方に来院頂いています。
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こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日は、『心不全』についてのお話をしようと思います。
心不全とは、心臓の機能が何らかの原因で低下してしまい、全身に十分な血液を送れなくなる状態です。
心臓の機能が低下する原因はたくさんあります。
例えば虚血性心疾患と呼ばれる病気。これは、冠動脈という心臓に栄養を送る血管が、動脈硬化などが原因で狭窄もしくは閉塞してしまい、心臓の筋肉が栄養不良(虚血)状態になっている病気です。
また、弁膜症も心不全の原因となります。
心臓には4つの弁がついており、心臓内の血流を潤滑にする役割があります。
しかし、弁が固くなったり、一部が断裂したり、などなどで弁の狭窄もしくは逆流が生じることがあります。
弁疾患が高度だと、心機能に影響を及ぼしてしまいます。
高血圧が原因で心不全を起こすこともあります。
肥大型心筋症や拡張型心筋症のような、心臓の筋肉に問題があって心臓機能が低下することもあります。
これ以外にも心不全の原因はたくさんあるのですが、専門的な話になってしまいますので、この話は別の機会に話したいと思います。
今は、心不全に対する治療法がどんどん進化しています。
薬剤の進化、心臓付近に埋め込む心臓補助の機械の進歩(デバイス)、これらはペースメーカー、ICD、CRTDがそれに当たります。心臓手術も格段に発展し、開胸しなくてもすむカテーテル治療もどんどん進んでいます。ステント留置にはじまり、TAVI、Mitral Clipなど・・・・。
言いたいことは、心不全の治療がどんどん進んだことにより、患者さんの高齢化が進んでいるということです。
年々、心不全の患者さんは増え続け、その状態はもはやパンデミックといわれ、『心不全パンデミック』という言葉さえ生まれています。
心不全パンデミックの状態になると、入院医療が必要な高齢心不全患者さんがどんどん増え、病院が患者さんを受け止めきれなくなる事態、つまり入院が必要でも入院できない状態が想定されること、また医療費が莫大にかかることなど、社会的な問題が起こる可能性も考えられます。
心不全パンデミックを防ぐ上で、いちばん大切なこと、それは心不全の兆候がでたらいかに早めに対処できるか?です。心不全はある日突然心不全を起こす人もいますが、徐々に徐々に心不全の状態にゆっくり悪化していく人も大勢います。この悪化の初期サインを見抜くことができれば心不全に伴う入院を回避することが可能となります。
心不全の初期サインにはどんなものがあるでしょうか?
典型的症状の一つに息切れ、があります。
しかし、息切れと言っても心不全の初期症状のみで出るわけではなく、肺疾患の場合、または高齢の場合、体力や筋力低下の場合、などプロの目からみた鑑別診断も必要となります。
また、むくみも心不全の初期症状の一つです。
心不全が悪化してくると、全身の水分を上手に腎臓から排出できなくなってくるため、体内に水分が蓄積してきます。その水分が下肢のたまったときに下肢のむくみとなります。そして、むくみと同時に体重も増加することが多く見られますので、むくみとともに体重増加があるか、をチェックする必要があります。
そして、むくみも同様に鑑別診断が必要です。
むくみを呈する疾患には、肝臓病、腎臓病、心臓病などの内臓障害以外に、貧血や甲状腺機能異常などでもでてくることがあります。
もう一つ、欠かせないこと、それは定期的に検査を行うことです。
心不全は、息切れなどの心不全症状が出現する前に、検査上で異常が見つかることがあります。
例えば心電図で不整脈が始まった、心臓エコー検査で心臓が以前より張ってきている、血液検査で心不全を示す数字(NTProBNP)が上昇してきている、などです。特に、心不全の既往がある方は定期的なこれらのチェックが絶対に必要となってきます。
最後に、心臓のリハビリ(心臓リハビリテーション)です。
狭心症や心筋梗塞、心臓手術、心不全などの心臓病を起こした方の多くが日常生活に不安を抱えています。
どれくらいの活動をしていいのか?どれくらいの活動をするべきなのか?心臓に無理をかけすぎて心不全がおきないか?などです。
心臓リハビリテーションは、心臓に一定の無理のない負荷、運動をして心臓を鍛えていくリハビリです。
特に、心不全の再発予防に心臓リハビリテーションは絶大な効果を発揮します。
心臓リハビリテーションとは、医療スタッフが付きそう監視型リハビリテーションです。個々人に合った運動量や心拍数を見ながら、その人の運動能力や心臓能力に最適な運動を病院内で行っていくタイプのもので、患者さんも医療者に見守られながら適切な運動ができるので、安心してリハビリが行なえます。
当院では、上述したエコー検査、心電図、心不全チェックの血液検査などがすべて揃っています。
ご希望のかたには心臓リハビリテーションも提供しています。
医師は循環器専門医が複数在籍していますので、心不全に限らず、循環器疾患でご相談事があればお気軽にご来院ください。
当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。
動脈硬化を予防したい方、または心臓病を発症したあとの再発予防のかたなどが船橋市、鎌ケ谷市、習志野市,、市川市、千葉市を始め多くの方に来院頂いています。
在籍医師は、院長はじめ全員が循環器専門医資格を有しております。
医師、専門スキルを持った看護師(糖尿病療養指導士、抗加齢学会指導士、心臓リハビリテーション指導士)、専門エコー技師、経験豊富な医療事務の全員で、チームで患者さんを診療させていただいております。
どうぞ安心してご来院ください