こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日のテーマは『糖尿と腎臓、血圧の関係』です。
今、糖尿病は世界中で爆発的に増えており、今もまだ増加の一途をたどっています。
アメリカでは全人口の約10%を超える3400万人以上が糖尿病に罹患しているとさえ言われています。
糖尿病の恐ろしいところの一つ、それは糖尿病になっても、そして病気が進行してもほとんどの人がなんの症状もないところです。
糖尿病には様々な合併症があるにも関わらず、症状がまったくないのです。
糖尿病には3大合併症と呼ばれるものが存在します。
それは、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、そして糖尿病性腎症です。
神経障害が進むと、特に下肢のしびれが出現し、感覚が鈍くなり、そのうち怪我をしても痛みを感じなくなってきます。そんな状態でいると、足先に小さなキズを作っても気づかずに、感染が広がってしまうことがよくあります。そして運が悪いと、下肢の糖尿病性の壊疽になってしまうことも。
網膜症が進むと、目の奥の眼底にある血管が固くなり、出血してしまうことになります。
その結果、視力が落ちたりうんが悪いと失明してしまう人もいます。
そして、糖尿病性腎症です。腎症も全く症状がありません。かなり末期の状態になってむくみやだるさなどの症状がでてきますが、最終的には腎機能が崩壊し、透析に至ってしまいます。
アメリカでは糖尿病患者の37%が腎臓病を合併していると言われています。
実は糖尿病によって腎臓の血液濾過効率が減少していくと、高血圧を発症してしまいます。
そして高血圧になると、腎臓の動脈硬化が進み、さらに腎臓の機能が低下してしまいます。
そしてさらにその影響が心臓にまで及び、心不全や心筋梗塞などを発症することになるのです。
心臓と腎臓は密接なつながりがあり、『心腎連関』と呼ばれています。
糖尿病も腎臓病も、そして高血圧も、この3つに共通することがあります。
それは、症状が非常にでにくい、病状が進行するまで自覚症状がはっきりしないということ。いわゆる『サイレントキラー』になるということです。
そんな中、今はSGLT2阻害薬という薬が注目されています。
これは、糖尿病薬の一つですが、腎臓機能の保護効果にとどまらず、心不全の発症率を下げてくれるなど、多くの効果が期待されています。
つまり、糖尿病薬による新しい心腎保護というわけです。
そんな内容の声明が先日Circulationという一流の医学雑誌に載っていました。
『Cardiorenal Protection With the Newer Antidiabetic Agents in Patients With Diabetes and Chronic Kidney Disease: A Scientific Statement From the American Heart Association』
『糖尿病および慢性腎臓病の患者における新しい抗糖尿病薬による心腎保護:米国心臓協会からの科学的声明』
糖尿病に関する様々な薬がでています。今回のように心臓や腎臓に素晴らしい効果が期待できる可能性の高きものもでてきています。
しかしながら、私達がまず考えなくてはいけないものはおわかりですよね。
そうです、普段の生活習慣です。甘い物など偏った食事をしすぎない。しっかり野菜をとってビタミンやミネラルを補充する。塩分を控え血圧の上昇を抑える。そして定期的にカラダを動かす。
サイレントキラーである糖尿や高血圧、腎臓病を防ぐために、改めて自己の生活を見直してみてくださいね。
当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。
動脈硬化を予防したい方、または心臓病を発症したあとの再発予防のかたなどが船橋市、鎌ケ谷市、習志野市,、市川市、千葉市を始め多くの方に来院頂いています。
在籍医師は、院長はじめ循環器専門医資格を多くの医師が有しております。
医師、専門スキルを持った看護師(糖尿病療養指導士、抗加齢学会指導士、心臓リハビリテーション指導士)、専門エコー技師、管理栄養士、経験豊富な医療事務の全員で、チームで患者さんを診療させていただいております。
どうぞ安心してご来院ください
こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日は、糖尿病で起こりやすい病気、腎臓病とその対策法について話します。
「New England Journal of Medicine」に最近掲載されたCREDENCE試験からの結果にもとづき、米国糖尿病学会(ADA)は6月3日に2019年版「Standards of Medical Care in Diabetes」のなかで変更を加えました。
そのなかで、糖尿病性腎症のかたに対して、新たにSGLT2阻害薬という薬が推奨されることとなりました。
SGLT2阻害薬とは、血液中に余分に溜まっている糖分を腎臓から尿として排出させるという薬です。
この薬に対する最近の研究発表は著しく、心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化による病気の発症を減らしただけでなく、尿タンパクの減少や腎機能の悪化を防ぐなど、糖尿病性腎症の進行を予防する効果も認められています。
アメリカ糖尿病学会は、eGFRが30mL以上で、アルブミン尿が300mgを超える糖尿病腎症の患者では、SGLT2阻害薬を使用することを検討するように提唱しています。
糖尿病はあらゆる病気の原因となります。動脈硬化を進行させ、狭心症や脳卒中などの心臓病をひきおこすだけでなく、脳梗塞、失明、認知症、閉塞性動脈硬化症など数多くの病気を悪化させます。
日頃からの糖尿病に対する意識も必要になってきますね。
また、糖尿病に関してはより効果的な薬剤もつくられています。生活習慣をみなおし、必要な場合は薬に助けてもらう。薬だけに頼らず、薬をうまく使いこなす生活を心がけましょう。
こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日のテーマは『受動喫煙で腎臓が悪くなる!?』についてです。
受動喫煙が様々な病気の原因になることは、今までに多くの報告がされています。
いわゆる、喫煙者が吸い込む主流煙に比べ、周りの人が吸ってしまう副流煙には、
より多くの有害物質が含まれているといわれています。
たとえば、タバコの3大有害物質を比較すると、主流煙を1とした場合、副流煙にはニコチンが2.8倍、タールが3.4倍、一酸化炭素が4.7倍も多くみられているのです。
例えばニコチンによって、血管が収縮し血圧が上がります。
タールには多くの発がん性物質が含まれているといわれています。
一酸化炭素は体内の酸素を低下させてしまいます。
その結果、タバコの影響で様々な病気のリスクが上がってしまいます。
気管支喘息、心筋梗塞、肺がん、糖尿病など・・・・・・。
最近、受動喫煙が腎臓にも良くないという報告が出てきました。
『Secondhand smoke linked with higher kidney disease risk』
受動喫煙で上昇する腎臓病の危険性
という意味になります。
韓国からの研究になりますが、約13万人(平均年齢53歳)を対象に、受動喫煙と腎臓病の関連について調査。
その結果、受動喫煙を週に3回以上経験しているかたで腎臓病のリスクが1.72倍。
週に3回未満経験しているかたで、そのリスクは1.44倍でした。
つまり、受動喫煙しているだけで、腎臓病のリスクが40~70%以上も上昇したということなのです。
喫煙は、本人はもちろんのこと、周りの人へも多大な健康被害を及ぼします。
マナーのある喫煙、またはタバコをやめるなど考えなくてはいけませんね。
自分で禁煙することが難しいと考える方へは、禁煙外来がお勧めです。
約3か月間禁煙の薬を服用していただくもので、とても手軽です。
当院でももちろん禁煙外来を行い、禁煙されたい方のサポートをスタッフ全員で行っています。
地元船橋の大穴北小学校第一回卒業生です
大穴中学校、県立千葉高校卒業
平成3年千葉大学医学部卒業
平成6年より2年間船橋市立医療センター勤務
平成8年 倉敷中央病院で循環器の専門トレーニング
平成9年より平成26年3月まで船橋市立医療センター心血管センター循環器内科副部長として勤務
平成26年5月すぎおかクリニック開院
<取得資格>
医学博士、日本内科学会認定医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定健康スポーツ医など
こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日のテーマは『心筋梗塞後の腎臓機能と運動との関連について』です。
そもそも、心筋梗塞を起こした人の中には、腎臓の動脈硬化も進んでいて腎臓機能が低下している人が非常に多いです。
しかも、心筋梗塞後の腎臓機能低下は死亡率を高める要因と言われています。
そのために、心筋梗塞のあとは、いかにして腎臓機能を維持するかが大事になってきます。
しかし、腎臓機能を改善させるために何をすればいいか、はっきりした結論は出ていませんでした。
2019年2月にある研究論文が発表されました。
これは、心筋梗塞を起こしたかたが、運動を行うことで腎臓機能がどうなるか、をしらべた研究です。
対象患者さんは41人の心筋梗塞の既往がある方。1日の歩数を計測して、3か月後の腎臓機能にどんな変化があるか調べたところ、低歩数の方に比べて高歩数の方は、腎臓機能が改善していたのです。
多くの研究で、心筋梗塞をおこしたかたの運動の有用性が示されています。
この研究の高歩数群のかたは1日約7000歩歩いていました。
心筋梗塞を起こした方に限らず、狭心症やほかの心臓病、脳梗塞など動脈硬化が考えられる人は、腎臓を守るためにも1日7000歩の運動を意識するのが大事ですね
心筋梗塞を起こした多くの方は、運動しても大丈夫か心配されています。
自分に適切な運動量はどれくらいなのか?
それを知り、正確に運動をするには医療機関の中で安全に運動することが勧められます。
それを心臓リハビリ、と言います。
当院でも心臓リハビリを積極的に取り入れていますので、気になる方はご相談くださいね。
地元船橋の大穴北小学校第一回卒業生です
大穴中学校、県立千葉高校卒業
平成3年千葉大学医学部卒業
平成6年より2年間船橋市立医療センター勤務
平成8年 倉敷中央病院で循環器の専門トレーニング
平成9年より平成26年3月まで船橋市立医療センター心血管センター循環器内科副部長として勤務
平成26年5月すぎおかクリニック開院
<取得資格>
医学博士、日本内科学会認定医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定健康スポーツ医など
こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日のテーマは、『糖尿病の合併症 糖尿病性腎症』についてです。
糖尿病には気をつけましょう、というような言葉を耳にする機会が大変増えてきています。
糖尿病になるといったい何が怖いのでしょうか?それは合併症です。
糖尿病に、どんな合併症があるかご存知ですか?
実は、糖尿病の3大合併症と呼ばれているものがあります。
糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症がそうです。
腎臓はそら豆のような形をした臓器で、左右対称にあります。
腎臓の機能はたくさんありますが、特に体内の老廃物を体の外に排出する機能や、体内の水分量を調節する働きなどその働きは多岐にわたります。
そして、この腎臓の機能が糖尿病のせいで低下してしまうのです。
高血糖状態が長く続くと、血液をろ過する腎臓の中の糸球体という成分が硬くなってしまいます。
その結果、正常に老廃物を排出できなくなるのです。それが進むと、腎臓の機能低下、さらには透析という状態に移行してしまいます。
まず最初に大切なことは、自分の腎臓病のステージがどの程度なのか?ということです。
それを知るのに非常に役に立つのが微量アルブミン尿と呼ばれるものです。
この表は、日本腎臓学会が、CKD(慢性腎臓病)のステージ分類を掲げた表です。
この表では、糖尿病性腎症の重症度を調べる項目が、GFRとよばれる腎臓の濾過機能と、微量アルブミン尿なのです。
あなたは、ご自分の微量アルブミン尿の量計測してもらっていますか?
腎症は早期に手を打つことが何より大切です。この、微量アルブミン尿は、血液上の腎臓機能を示すクレアチニン(Cre)が異常値を示すはるか前から異常をきたすのです。
当院でも、多くの糖尿病の患者さんに、定期的にこの微量アルブミン尿を測定しています。
たんぱく質の摂取制限、塩分、糖質の取り方など、食事もとても大切です。
そして、血圧管理も極めて大切になります。目標は130/80mmHg以下と言われています。
今回は糖尿病の合併症の中の腎臓病にフォーカスを当ててお話しました。しかし、糖尿病の合併症はもちろん腎臓だけではありません。心筋梗塞や脳梗塞、足の血管がつまる、目の血管が詰まる、など全身の動脈硬化、血管病を進行させます。
糖尿病をおもちのかたは、日頃から糖尿病の数字だけに気を付けるのではなく、自分の動脈硬化レベルを定期的に調べる必要があります。