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心臓肥大(心肥大)とは

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマは『心臓肥大』です。

心臓肥大

健康診断などで、心臓肥大または心肥大があるといわれたかたもいらっしゃるかもしれません。

健康診断でいわれる心臓肥大は、たいてい心電図か胸のレントゲン写真で指摘されたものです。

ところで心臓肥大とは何でしょうか?

心臓が大きいこと?

これは、ある意味正解でもありますが、不正解でもあります。

心臓肥大とは、心臓の筋肉が人よりも分厚くなっている状態を示します。

高血圧などで、心臓の働きがたくさん必要とされる場合など、心臓が力強く血液を送り出すために、

心臓が筋肉質になるような状態です。

つまり、心臓が大きくても大きくなくても、心臓の筋肉が厚くなっていれば、「心臓肥大」なのです。

心臓肥大の正しい診断

例えば、体の大きな人でも筋肉質の人と、そうでない人がいます。

身体の小さな人でも筋肉質の人もいます。

ですから心臓もその大きさだけでは心臓肥大は判断できません。

特に、胸のレントゲン写真は、心臓全体をぼんやりと映すだけですので、心臓の筋肉の状態まではわかりかねるのです。

では、心臓の筋肉の厚みを知る一番知る良い検査方法は何でしょうか?

それは、『心臓エコー(心臓超音波)検査』です。

心エコー検査

心臓エコー(心エコー)検査では、そのひとの心臓の厚みが正確にわかります。

心臓肥大は、ただ厚いことが問題なのではありません。

大切なことは、なぜ心臓の筋肉が厚くなっているのか? それに伴って心臓の機能はどうなのか?

不整脈は出ていないのか?などなど考えなければいけないことがたくさん出てきます。

心臓肥大を起こす病気はたくさんあります。代表的なものは、『高血圧』や『肥大型心筋症』です。

特に、肥大型心筋症という病気は突然死を起こすこともあります。

健康診断などで、心臓肥大を指摘された場合、是非一度、循環器専門医のもと、心臓エコー検査を受けることが必要です。

<院長プロフィール>

地元船橋の大穴北小学校第一回卒業生です

大穴中学校、県立千葉高校卒業

平成3年千葉大学医学部卒業

平成6年より2年間船橋市立医療センター勤務

平成8年 倉敷中央病院で循環器の専門トレーニング

平成9年より平成26年3月まで船橋市立医療センター心血管センター循環器内科副部長として勤務

平成26年5月すぎおかクリニック開院

<取得資格>

医学博士、日本内科学会認定医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定健康スポーツ医など

頸動脈狭窄と脳梗塞の関係

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマは『頸動脈狭窄と脳梗塞の関係』についてです。

脳梗塞の原因

脳梗塞の原因は大きく分けて2つ。一つは脳の血管の動脈硬化によって血管が詰まってしまう場合。もう一つは、不整脈などが原因で、心臓などでつくられてしまった血栓やプラークが、心臓から剥離して脳の血管に飛んで行ってしまう場合。これを脳塞栓症と呼びます。

今日は、脳梗塞の中でも、塞栓症ではなく、脳の動脈硬化による脳卒中の話、その中でも頸動脈が原因として脳卒中を起こすケースについてお話ししますね。

頸動脈

頸動脈は、左右の頸(首)にそれぞれ1本ずつ走行している血管です。我々の頸部には左右の頸動脈と、左右後方を流れる左右の椎骨動脈と、計4本の血管で脳に栄養を送っています。そのなかで、頸動脈が脳に血液を送る領域は非常に広く、めっちゃ簡単に言うと、脳の約半分に栄養を送っています。

ですから、頸動脈が動脈硬化をおこし、狭窄や閉塞を起こすと、とても大きな脳梗塞をおこし、時には命に係わるケースも少なくありません。

ですから、自分の頸動脈がどうなっているかを知っておくのはとても大切なこととなってきます。

頸動脈狭窄症の検査

頸動脈狭窄症の検査のなかで、最も簡便で第一に行うべき検査、それは頸動脈エコー検査です。

頸動脈エコー検査は、体への負担、侵襲が全くなく、何度行っても人体に影響はありません。

ですから動脈硬化のリスクをもっているかた、具体的には高血圧症、糖尿病、脂質異常、心筋梗塞や狭心症の既往のある方、肥満、喫煙者、など当てはまる方は積極的な検査が必要となります。

頸動脈エコー検査で、強度の狭窄が見つかった場合は、カテーテル検査などで血管造影を行い、手術などの治療が必要か判断します。

頸動脈狭窄症の治療

狭窄が軽度(具体的には狭窄50%以下)の場合、薬物療法がメインとなります。血液をサラサラにする抗血小板剤、コレステロール値を下げるスタチン製剤、降圧剤、糖尿があれば糖尿病薬、などです。

狭窄が高度の場合、治療は大きく分けて2つ。一つはCEA(血管内膜剥離術)、もう一つはCAS(頸動脈ステント留置術)。どちらの治療法が適応されるかは、その方の狭窄の形態などで変わってきます。

頸動脈狭窄を見逃さないために

頸動脈狭窄症は、往々にして症状がありません。症状が出た時には頸動脈が完全に閉塞していて脳卒中を発症して初めて狭窄に気付くケースもたくさんあります。

頸動脈狭窄をはじめとする動脈硬化の狭窄はなかなか症状が出づらいという現実があります。脳卒中を起こさないように頸動脈エコー検査を定期的に受けてくださいね。

同様に、心筋梗塞や狭心症を起こさないように、定期的な心臓エコー検査や運動負荷心電図、足の血管が狭窄してないか調べるためのCAVI検査。動脈硬化は症状が出る前の早め早めの検査が必要です。

 

<院長プロフィール>

地元船橋の大穴北小学校第一回卒業生です

大穴中学校、県立千葉高校卒業

平成3年千葉大学医学部卒業

平成6年より2年間船橋市立医療センター勤務

平成8年 倉敷中央病院で循環器の専門トレーニング

平成9年より平成26年3月まで船橋市立医療センター心血管センター循環器内科副部長として勤務

平成26年5月すぎおかクリニック開院

<取得資格>

医学博士、日本内科学会認定医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定健康スポーツ医など

期外収縮という不整脈だと言われたら・・

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマは『不整脈といわれたら』です。

 

そもそも不整脈とは?

不整脈とは、読んで字の如し、まさに脈が不整になることです。

自覚症状としては、「脈が抜けた」「脈がずれた」「胸がドキドキする」「胸が違和感を感じる」「胸苦しい」、時々「胸が痛い」「動悸がする」という表現をされる方もいらっしゃいます。

また、自覚症状が全くなく、健康診断でいわれた、とか、血圧計を測ったら不整脈と表示された、というかたもいらっしゃいます。

不整脈といっても、実はとても多くの種類があります。そして不整脈のすべてに治療が必要というわけでもなく、逆に治療を必要としない不整脈のほうが多いという印象を持っています。

不整脈の種類 期外収縮

一番見かけることが多い不整脈は、期外収縮と呼ばれるものです。「上室性不整脈」と「心室性期外収縮」がありますが、どちらも規則正しく脈を打っている中で、一瞬脈のリズムがずれ、「一瞬脈が飛んだ」「脈が抜けた」「ドキン!とした」など感じます。

でも、安心してください。この不整脈の場合はほとんどが問題ありません。そもそもこういうタイプの不整脈はカラダの緊張、普段のストレスや疲れ、いわゆる自律神経の一つである交感神経の緊張から引き起こされるパターンが多いです。従って、その緊張の原因、ストレスのもとがとれると自然と消失される方も大勢いらっしゃいます。

ただ、基本的な心臓の動き、つまり収縮力や拡張力が落ちている場合、たとえば狭心症や心筋梗塞、心臓手術などの心臓病の治療後や高血圧や糖尿病などの基礎疾患を抱えている場合は、この期外収縮が心臓発作の予兆であることもあり得ます。

また、期外収縮がどんなタイミングで起きるのかも重要です。一般的に期外収縮は運動でその数が減少したり消失したりしますが、逆に運動によって期外収縮が増える方がいます。また、検査してみる期外収縮以外の不整脈が見つかることもあります。

ですから期外収縮を感じた場合、全面的に無視して良いということではないのです。

心臓超音波(エコー)検査や24時間心電図(ホルター心電図)検査、運動負荷心電図などを循環器専門医のいる施設のもと、一度うけて問題ないことを確認する必要があります。

期外収縮以外にも様々な不整脈がありますので、順次ご説明していきたいと思います。

当院には循環器専門医が2名在籍していますので、こんな症状がありましたらお気軽にご相談ください。

 

心臓超音波(エコー)

こんにちは! 船橋市の内科、循環器内科、心臓内科、糖尿病内科のすぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日は当院で行われている検査についてのご紹介をしますね。

心臓超音波(心臓エコー)検査についてです。

心臓エコー検査って何?

皆さんも今まで、エコー検査を受けられた経験があるかもしれません。

よく人間ドッグなどで目にするのが腹部エコー検査です。これは、肝臓や腎臓、膵臓、胆のうなど、いわゆる腹部の臓器に異常がないか見る検査です。

心臓エコー検査とは、まさに心臓の動きに異常がないかを見る検査で、下記の写真のように心臓の動きが実に詳細にわかる検査です。

心臓エコーでわかること

心臓エコーでわかる情報は多岐にわたります。

その基本は、心臓の動きが正常かどうかということ。心臓の症状が何もない人でも、高血圧や糖尿など、動脈硬化を抱えている人は、知らないうちに心臓の機能が低下していることが決して珍しくありません。

また、心筋梗塞などで心臓の一部の血流が遮断されていないか、ということに対しても欠かせない検査です。

健康診断などで心雑音を指摘されたときに、弁膜症と言われる病気がないかどうかを確かめるのにも、この心臓エコー検査は大活躍します。

どんな人に心臓エコー検査が必要か?

まずは高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病を持っている方。これらの方々は高率に心臓病を合併します。

続いて、動悸、息切れ、胸痛などの胸部症状を持っているかた。狭心症や心筋梗塞、心不全などの診断には欠かせません。

大動脈弁狭窄症、僧房弁逆流症などの弁膜症においてもこの検査なしでは診断がつきません。

そして、心臓肥大などを指摘され、心不全の可能性が考えられる人にも必要な検査です。

そしてそして、何よりも必要な人。それは以前に心臓の病気を経験した方です。

往々にして、過去に心臓病の経験をした人は、その後に症状がなくなるともう心臓は絶対大丈夫、と思い込んで検査をしていないことがあります。そのようなことが決してないように注意が必要です。

当院での経験

当院でも、胸痛を訴えてクリニックに来院した患者さんで、心電図だけではなかなか診断がつかず、心エコーを緊急で行ったところ、直ちに心筋梗塞の疑いが強く出たため、救急病院に救急搬送、一命をとりとめたケースもあります。このように、心エコー検査は心臓疾患の重症度判断になくてはならない検査法なのです。

当院では日常的に心エコー検査を行っており、昨年だけでも心エコー検査を約2500人以上の患者さんに行っています。

誰が検査をやるか?

実は、この、誰にエコー検査をしてもらうか、ということが非常に大切です。もちろん、医師である僕も心臓エコー検査を行います。でも、エコーのプロにはその技術ははるかに及びません。

当院では検査技師である心臓エコーのスペシャリスト、専門技師が在籍しています。彼らは毎日毎日エコー検査を重ねることでの経験と研鑽と実績を持ち合わせています。何より本当に詳細に、そして正確に心臓の状況を見抜きます。

まさに、「餅は餅屋」です。

皆さんも、エコー検査を受ける際に、その病院にちゃんとしたスペシャリストがいるかどうか、確かめてみてくださいね。

期外収縮 一瞬胸がドキっとする

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマは、『動悸 期外収縮』です。

期外収縮とは

期外収縮とは、不整脈の一つです。あらゆる不整脈の中で、おそらく最も頻度の高いものではないでしょうか?期外収縮には大きく二つ種類があります。上室性期外収縮といわれるものと、心室性期外収縮です。

心臓のどの部分がきっかけになって期外収縮が出るかによってこの名前が変わってきます。

期外収縮を起こした時にはどんな症状が出るのでしょうか?

「一瞬ドキっとする」「脈が抜ける」「脈が一瞬弱くなった」「胸が一瞬締め付けられた」「なんだか胸が重い感じがする」「胸の違和感がある」・・・・。

症状は極めて多彩ですが、どの症状であってもその症状の持続時間が極めて短いのがこの期外収縮の特徴です。

期外収縮を確かめる検査

期外収縮の場合、その不整脈が出現している瞬間に心電図で確かめる以外に方法はありません。期外収縮は、いわゆる発作性の症状なので、症状がない時にはその方が感じている動悸感や違和感が期外収縮に由来するものかどうかの判別ができないのです。

12誘導心電図と呼ばれる通常の心電図では期外収縮が判別できなかった場合、24時間心電図(ホルター心電図)と呼ばれる検査を行うことが多いです。

期外収縮は安心か?

期外収縮は、たいていの場合、問題ないと考えて大丈夫です。しかし、自分の症状が期外収縮だと思っていた違うタイプの不整脈だったというケースも多々あります。いずれにしても内科、循環器専門医のいる病院、クリニックへの外来受診をお勧めします。

甲状腺と心臓病

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマ『甲状腺と心臓』です。

甲状腺って何だろう?

甲状腺とは、喉仏の下にある数センチほどの臓器で、ちょうど蝶が羽を広げたような形をしています。

ここから、甲状腺ホルモンと言われるホルモンが分泌され、全身の代謝、成長などを調節する働きがあります。

甲状腺ホルモンが分泌しすぎてしまう病気を甲状腺機能亢進症、分泌が足りない状態を甲状腺機能低下症と呼びます。

甲状腺ホルモンが乱れるとどうなるの?

甲状腺ホルモンがたくさん出てしまう、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の場合、新陳代謝が亢進し、心臓には心悸亢進と言われる症状が出現します。ドキドキする、息が切れる、脈が速い、脈が乱れる、動悸がする、胸が重い、などが典型的な症状です。心房細動などの不整脈も起こりやすくなります。そしてイライラしたり、汗を多くかいていたりします。

一方、甲状腺ホルモンの分泌が少ない甲状腺機能低下症の場合、代謝が落ちるために先ほどとは逆の症状が出現します。脈が遅くなる、ぼーっとする、カラダがむくむ、皮膚が乾燥する、便秘がち、気力がなくなる、時には心臓の機能が低下して息切のような心不全の徴候が出てくることもあります。そして心臓の周りに水が溜まってしまうこともあります。重症化した心不全の場合は外来では処置しきれず、入院になってしまうこともあります。

心臓が悪い原因は甲状腺かも

もし、あなたが原因不明で動悸や息切などが出ている場合、甲状腺のホルモンが乱れている可能性があり得ます。甲状腺機能が亢進しすぎると、心臓の機能が過大に収縮したり、心房細動などの不整脈で脈拍が速くなります。そこに気付いていないと、甲状腺機能亢進症が原因で心不全を起こすことがあります。

逆に、甲状腺機能が低下することによって脈拍が低下したり、心臓の収縮力が落ちたり、また甲状腺機能低下症は動脈硬化の原因にもなるので、そこから狭心症や心筋梗塞をおこしたり。

もし、あなたが心臓の病気を抱えていたり、また心臓が心配だったら、状況次第で甲状腺の検査を受けることが必要です。甲状腺と心臓の関係性については循環器専門医や内分泌専門の医師に相談されることをお勧めします。

当院でも、もちろん甲状腺の血液検査や甲状腺エコー検査で、甲状腺の状態を検査することが可能です。

 

 

動脈硬化の検査 CAVI検査

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマは、動脈硬化を調べる検査『CAVI検査』についてです。

動脈硬化とは

動脈硬化とは、長年の生活習慣の乱れ、高血圧、糖尿病、高コレステロール、肥満、そして加齢などによってまさに血管が硬化してしまうものです。血管が硬化すると、血管の内側にはプラークと呼ばれる塊が膨らんでいきます。その結果、血管の通り道が狭くなり、いずれ詰まってしまうというもの。

頭に詰まれば脳卒中、心臓が詰まれば心筋梗塞、そしてこの動脈硬化は手足の血管に及ぶことがあります。

足の血管が詰まったことに気付かないと、最悪足の壊疽、切断にまで至ってしまうケースも・・・

日頃から自分の動脈硬化の状態を知っておくことはとても大切なことです。

四肢(手足)の動脈硬化を見る

手足の血管につまりがないかを知る、簡単な検査があります。これはCAVI検査と呼ばれています。この検査では、あお向けに寝た状態で両腕・両足首の血圧と脈波を同時に測定します。時間は5分程度で終わるとても簡単な検査でです。例えば、もし右足の血管が詰まっていたらこの検査はどんな結果になるでしょう?

この方の普段の血圧が130ほどだったとすると、両手の血圧と左足の血圧は130程度でしょう。しかし、右足の血圧が80-90しかない。などという結果がでたら、右足の血管が狭窄しているか、閉塞しているかが強く強く疑われるのです。

CAVI検査をうけましょう

足の血管にまで動脈硬化が起きる、ということをまずはしっかり知っておく必要があります。そのうえで定期的なCAVI検査を受け、動脈硬化の進行がないかどうか定期チェックを欠かさないようにしましょう

糖尿病と動脈硬化

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマは『糖尿病と動脈硬化』です。

日本の糖尿病人口

糖尿病の患者数って日本にどれくらいいるかご存知ですか?厚生労働省の平成28年のデータによると、「糖尿病が強く疑われるもの」は日本人の12%、「糖尿病の可能性を否定できないもの」が12%。それぞれ約1000万人いるといわれています。

そして、糖尿病が強く疑われるもののなかで、治療を行っている人は76%ということです。

糖尿病の合併症

糖尿病は様々な合併症を引き起こします。その中で、特に心配なものの一つが動脈硬化の進行です。

糖尿病に伴う動脈硬化は全身にやってきます。動脈硬化によってどんな病気を起こすのでしょうか?

糖尿病による動脈硬化で病気になりやすい、血管が詰まって重大なことになりやすい個所はたくさんあります。大血管と微小血管の病気にわかれるのですが、今日は大血管の病気の話をしますね。

大血管が糖尿による動脈硬化で詰まりやすい個所は大きく3つあります。

一つ目は頭、頭頸部です。ココが詰まってしまうと脳梗塞になってしまいます。

二つ目は心臓です。ココが詰まってしまうと心筋梗塞を起こしてしまいます。

そして見落としがちなのが、3つ目、足の血管です。閉塞性動脈硬化症と呼ばれますが、ココが詰まってしまうと足の壊疽を引き起こし、最悪の場合下肢の切断を余儀なくされる方もいらっしゃいます。

大血管が詰まってないかを知る検査

頭頸部の血管が動脈硬化を起こしていないかを知る一番手軽な方法は頸動脈エコーです。頭の中(頭蓋内)を検査しようとするとCTやMRI検査など大病院で行う必要がありますが、頸動脈に関しては超音波検査で行うので、手軽にみることができます。検査は手軽に、そして定期的に行うこともとても大事な要素となります。

心臓に関しては心臓エコー検査は運動負荷心電図検査がとても役立ちます。

足の血管の検査としては両手両足の血圧を同時に調べるABI検査が有用です。

今日取り上げた検査はいずれもとても簡単にできる検査で、体の負担もありません。

糖尿病や、生活習慣病など、動脈硬化を起こしやすい因子を持っているかたは、是非定期的な検査を循環器専門医のもと、しっかり受けてくださいね

すぎおかクリニックでは、今お示しした頸動脈エコーや心臓エコー、運動負荷心電図、そしてABI検査を毎日多くの方に行っています。なにご心配があればお気軽にお越しください。

心不全と血液検査(BNP検査)

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマは、『心不全と血液検査(BNP またはNTProBNP)』です。

心不全って何?

心臓は、全身に血液や酸素、栄養を送るポンプとしての機能があります。そのポンプが様々な原因で動きが悪くなった状態を心不全、と呼びます。急激に心不全の状態が悪化したものを急性心不全。慢性的に心臓の機能が低下している場合を慢性心不全と呼びます。

心不全の症状

心不全をおこすと、軽く動いた際の息切れや動悸が主な症状となります。心臓は、体内の過剰な水分を体外に排出する腎臓の機能を手助けします。ですから、心不全になると十分な水分が体外に出せず、むくみが生じることもあります。

心不全が重症化してしまうと、心臓の周りの肺に水が溜まり始めます。少量であれば動いたときの息切程度ですが、ここで油断して放置してしまうとどんどん肺の水分が溜まり始め、夜中に息苦しくて目が覚めたり、そこでも適切な治療を怠ると、肺全体が水浸しになってしまうような状態、肺水腫を引き起こします。

ここまでいくと、救急車で病院に担ぎ込まれたり、最悪の場合命を落としかねない病気なのです。

心不全の原因

心不全は実に様々な原因で起こります。虚血性心疾患と呼ばれる心筋梗塞や狭心症、不整脈である心房細動や心房粗動、洞不全症候群など。また、高血圧や糖尿病が原因で心臓の機能が低下することも珍しくありません。

心臓以外が原因で心不全を起こすこともあります。たとえば貧血、甲状腺機能亢進症などです。

息切や動悸を感じた場合、心不全があるかどうか、自分では判断しにくいものです。遠慮なく、循環器専門医のいる病院を受診してください

心不全の検査

心不全の状態は、心電図やレントゲン写真、心臓エコーなどでわかります。しかし、心不全の程度を判断する意味で、ある血液検査が注目されています。それは、『BNP』または『NTProBNP』と呼ばれる検査です。BNPは心臓から分泌されるホルモンで、血管拡張作用や利尿作用などの作用で心臓を保護する方向で働きます。

BNPやNTProBNPは心臓に負荷がかかると増加します。ですから、心不全が疑われるときは積極的にこの検査を行う必必要があります。BNPは自覚症状が出る前から、つまり心不全の症状が出る前から上昇していきます。そこで、慢性心不全のかたなどには、そのかたの経過を診るうえで、とても役に立つ検査です。

当院でも『NTProBNP』を測定できます。患者さんが苦しい、息が切れる、などの症状があったときに心不全がないか、この検査を有効活用しています。しかも、当院ではこのNTProBNPをその日のうちに、わずか10分から15分ほどで測定し、結果を知ることが可能です。

もし、自分が心不全だといわれているのなら自分のNTProBNPがいくつなのか、計測してもらってくださいね。