糖尿病性腎症に対する新しいアプローチ
こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日は、糖尿病で起こりやすい病気、腎臓病とその対策法について話します。
アメリカ糖尿病学会の発表
「New England Journal of Medicine」に最近掲載されたCREDENCE試験からの結果にもとづき、米国糖尿病学会(ADA)は6月3日に2019年版「Standards of Medical Care in Diabetes」のなかで変更を加えました。
そのなかで、糖尿病性腎症のかたに対して、新たにSGLT2阻害薬という薬が推奨されることとなりました。
SGLT2阻害薬とは、血液中に余分に溜まっている糖分を腎臓から尿として排出させるという薬です。
この薬に対する最近の研究発表は著しく、心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化による病気の発症を減らしただけでなく、尿タンパクの減少や腎機能の悪化を防ぐなど、糖尿病性腎症の進行を予防する効果も認められています。
アメリカ糖尿病学会は、eGFRが30mL以上で、アルブミン尿が300mgを超える糖尿病腎症の患者では、SGLT2阻害薬を使用することを検討するように提唱しています。
糖尿病を悪化させない意味
糖尿病はあらゆる病気の原因となります。動脈硬化を進行させ、狭心症や脳卒中などの心臓病をひきおこすだけでなく、脳梗塞、失明、認知症、閉塞性動脈硬化症など数多くの病気を悪化させます。
日頃からの糖尿病に対する意識も必要になってきますね。
また、糖尿病に関してはより効果的な薬剤もつくられています。生活習慣をみなおし、必要な場合は薬に助けてもらう。薬だけに頼らず、薬をうまく使いこなす生活を心がけましょう。
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抗加齢医学会に参加してきました
先日、横浜で開催された日本抗加齢医学会総会にスタッフ数人とともに参加してきました。
まさに、アンチエイジングに関わるトピックスであふれた学会で、とても勉強になりました。
内科や循環器、糖尿病に関わる話題だけでなく、最新サプリメントの話なども盛りだくさん。
体全体を診る、体全体から予防する、そのために当院でできることを一層みんなで考えていきたいと思います。
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心臓病と食事の組み合わせの関連
こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日のテーマは「食事のくみあわせと心臓病の関連」についてです。
食事の組み合わせで循環器疾患リスクを判定する
今までの多くの研究では、野菜の摂取と心臓病の関連、魚の摂取と心臓病の関連、といったように単一因子での研究報告は数多く出ていましたが、食事因子と心臓病の関連に関しての報告はなかなか見当たりませんでした。
このたび、滋賀医科大学のグル―プが「NIPPON DATA」に基づいた食事因子と循環器疾患の死亡リスクに関する評価表を作成し、日本循環器学会誌に報告しました。
研究内容は・・・
研究グループは日本人の男女9115人を対象に、29年間の追跡データから分析。
野菜、果物、魚、食塩の1日摂取量を評価し、それぞれの推奨量に対する不足を比較し、複数のカテゴリーに分類。
野菜は1日350グラム以上食べているか?魚は80グラム以上食べているか?
果物は200グラム以上か?塩分は8グラム以下か?
以上の目安で、追跡期間中の循環器疾患(脳卒中および心臓病)による死亡リスクとの関連を分析しています。
そして、その関連を一つの表にまとめたのです。
この表によると、塩分摂りすぎと制限のグル―プで心臓病死亡リスクに差があり、野菜は野菜で多くとっていることが心臓病死亡リスクを減らしています。同様に魚を多く食べたり、果物を多く食べることもリスクを軽減しています。
そして、野菜、果物と魚の摂取量が少なく、塩分摂取量が多いという4つ全てのリスクを持っているグループは、そうでない標準グループと比べて循環器疾患死亡リスクは2.87倍にも上昇していました。
この表はとても優れものです。野菜や果物、魚をしっかり摂り、塩分を控えめにするという当たり前のことを当たり前に継続することが、何よりも健康維持に大切だということですね。
心臓病予防のために
心臓病を予防するために、様々な薬が開発されています。
でも、一番大切なことはやはり食事ですよね。
血管の動脈硬化は症状が非常に出づらいものです。血管はある日突然詰まるものではありません。
動脈硬化はある日突然始まるわけではありません。
正しい食事による日々の積み重ねこそが、心臓病つまり心不全や狭心症、心筋梗塞、そして脳梗塞などを防いでくれます。
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こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日のテーマは、『腹部大動脈瘤の治療』です。
腹部大動脈瘤とは
腹部大動脈瘤とは、腹部を流れる大動脈が瘤状化している状態で、簡単に言うと、腹部の血管に大きなこぶができたような感じです。
腹部大動脈瘤は、一般的に全く症状がなく、健康診断などでたまたま発見されるケースがほとんどです。
気づかないと、知らないうちにどんどん大きくなり、腹部大動脈瘤破裂という状態を引き起こし、運が悪いと突然死の原因にもなる怖い病気です。
腹部大動脈瘤の治療
腹部大動脈瘤の治療には大きく分けて二つあります。一つは開腹(お腹を切る)して、動脈瘤を切除し人工血管を新たにつなぐ方法。もう一つは、ステントグラフト術といって、ステントと呼ばれる土管を大動脈瘤の中に留置してくる方法です。
この方法は、開腹する必要がないので、体の侵襲(負担)も小さく手術の危険性が高い高齢者などによく行われる手術です。
今までは、開腹術のほうがステントグラフトにくらべ、長期的成績が良好でした。
しかし、最近、これら2つの治療群には長期成績に差がないことがニューイングランドジャーナル誌(NEJM)に報告されました。
Open versus Endovascular Repair of Abdominal Aortic Aneurysm
腹部大動脈瘤を発見するために
腹部大動脈瘤は、自覚症状がほとんどないので、検査で発見するしか方法がありません。
一番有効で、手軽な方法が腹部超音波検査(腹部エコー)検査です。
高齢の方、動脈硬化のリスクを持っている方、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、肥満のある方。
心臓病や脳卒中の既往のある方、またはそういう方が家族の中にいる方。
是非腹部大動脈瘤の検査を受けられることをお勧めします。
気になるかたは、お近くの循環器専門医のいる病院でチェックしてもらってくださいね
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こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日のテーマは『糖尿病と腸内環境』です。
腸内環境と健康
腸内環境をよくすることが、健康のためにとても大事なこと、というのはもはやだれもがご存知のことと思います。
腸内環境のカギをにぎるもの、それが腸内細菌であり、人間の腸にはなんと500~1000種類もの腸内細菌が住み着いているといわれています。
腸内細菌のかたまり、腸内フローラは様々な病気と関わっているといわれています。
たとえば、狭心症や心筋梗塞、脳卒中などの動脈硬化、肥満、メタボリックシンドローム、生活習慣病など。
腸内細菌の種類と糖尿病
腸内フローラは糖尿病、血糖値とも深く結びついているといわれています。
米国イリノイ大学の研究によると、血糖コントロールが良い人は腸内の善玉菌が多く、血糖コントロールが悪い人は腸内の悪玉菌が多かったということがわかっています。
また、順天堂大学の研究では、糖尿病のひとほど腸内フローラが乱れていると報告しています。
腸内フローラの乱れが原因で腸に炎症が出現し、血液内に悪玉菌が侵入し体内にまで炎症が波及している可能性まで指摘されています。
腸を良くして糖尿を防ごう
では、私たちが、糖尿を防ぐためにどんなことをして腸内環境を良くすればよいのでしょうか?
腸内環境を悪化させる原因はなによりも不規則な生活環境。
不規則な食生活や運動不足、ストレスを減らすことは必要ですし、
腸に良い食事法として発酵食品などで腸の善玉菌を増やす、などいろいろ試してみてくださいね。
また、糖尿に関する詳しい説明は、こちらも是非ご覧ください
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こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日のテーマは『胸痛』です。
胸痛と狭心症
胸痛、胸が痛い、などの症状でまず疑われる病気、それは狭心症です。
狭心症とは、心臓に栄養を送る冠動脈と呼ばれる血管が動脈硬化で狭くなってしまうものです。
この、狭心症という状態を見逃すと心筋梗塞をおこし、命を落としてしまう人もいます。
ですから、胸痛という狭心症のサインはとても大切です。
狭心症の典型的な胸痛
狭心症で典型的な胸痛は、労作時胸痛と呼ばれるもので、安静時には何も起こらないのに、運動時や労作時に限って胸が痛くなります。
その症状は、「胸が締め付けられる」、「胸が押される」、「みぞおちが痛い」、などです。
一方、「胸がちくちくする」、「胸がずきずきする」などの症状は狭心症としては典型的ではありません。
胸痛の症状のでかたで、心臓によるものなのか、違うのか?を知ることは大事ですね。
しかし、この症状はあくまでも一般論。もし、胸痛や胸の不快感で心配であれば、遠慮なく循環器専門医に相談してください。
もちろん当院にも、本当に多くの狭心症の方が通院されています。
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こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日のテーマは、『ペースメーカーの適応』についてです。
ペースメーカーの役割
そもそも、ペースメーカーとは何でしょうか?
ペースメーカーとは何らかの原因によって、自分の脈が異常に遅くなってしまった人に対して、
自分の脈に代わって心臓の脈をペースメーカーという機械で補ってあげるというものです。
よく誤解されるのが
『不整脈=ペースメーカー』
のように考える方が多いのですが、不整脈の方がすべてペースメーカーの適応になるわけではありません。
では、どんな不整脈のかたにペースメーカーが適応になるのでしょうか?
ペースメーカーの適応になる病気
先ほど、簡単にお話しした通り、ペースメーカーの適応は脈が遅い状態。
すなわち徐脈と言われる状態の時に初めて検討されます。
ですから、強い動悸を感じる、ドキドキドキっと速い脈を感じる、急に脈の乱れを感じる、
などの症状はすぐにペースメーカーの適応とはなりません。
また、健康診断で脈が遅い、と指摘されたからといって、こちらもすぐにペースメーカーの必要が出るわけではありません。
では、代表的なペースメーカーの病気をいくつかお伝えします。
1 完全房室ブロック
この病気は、心臓の電気の流れがうまく心臓全体に行き渡らない病気、電気の流れが途中で完全にブロックされてしまう病気です。
房室ブロックには1度から3度まであり、3度の状態を完全房室ブロックと呼びます。
しかも、ややこしいことに完全房室ブロックのかたの一部の方のみがペースメーカーの適応になります。
2 洞不全症候群
これは、心臓の中にそもそも備わっていた天然のペースメーカーの機能が落ちている状態です。
こちらも、機能が相当に落ち込んで、もはや自分の脈だけでは脈拍数を維持できない、となった場合に限り、ペースメーカーの適応になります。
3 その他
それ以外にもいくつか異常な徐脈を起こす病気に対してペースメーカーが適応になることがあります。
不整脈といわれたら?
では、自分が不整脈と言われたらどうすればよいでしょうか?
これは、まず自分の不整脈の種類がどの程度のものか、重症度を専門家に診てもらう必要があります。
徐脈やペースメーカーは、自分の脈だけではなく、心臓の基本的な動きや弁膜症などの合併症の有無、
色々な条件をしっかり調べる必要があります。
不整脈といわれても、闇雲に慌てず、まずはお近くの信頼できる専門家、循環器専門医にご相談くださいね。
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東京情報大学で講義をしてきました
今年、東京情報大学の非常勤講師に任命されました。
昨日、その一環として東京情報大学の看護学部の学生向けに講義を行ってきました。
講義のテーマは、循環器疾患の弁膜症と大動脈疾患です。
未来の看護師さん達の新鮮で、満ち溢れたパワーに逆にこちらが刺激を受けました。
みなさん、頑張ってくださいね
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心臓のエコー検査を受けましょう
こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
みなさんは、心臓のエコー検査(超音波)検査をうけたことはありますか?
健康診断などで心電図や胸のレントゲン、また人間ドッグで腹部の超音波検査を受けた方は多いかもしれません。
しかし、実際のところ、心臓エコー検査を受けたことがない方は非常に多いのが現状です。
心臓のエコー検査でわかること
心臓エコー検査では本当に多くのことがわかります。
心臓の動きが正常か?これによって心不全などを起こすリスクが予測できます。
弁膜症はないか? 心臓の血流を一定に保つ弁の動きに問題がないかわかります。
心筋梗塞を起こしていないか?心臓肥大はないか? 心臓内に血栓はないか?
心臓に穴が開いてないか?(先天的に心臓の隔壁に穴が開いている人がいます)
心臓に菌が付着していないか? などなど。
これらは、胸の症状の有無にかかわらずみられることが多いです。
もし自分に何の胸の症状がないとしても、定期的な心臓エコー検査を是非受けることをお勧めします。
検査を受けるべきの人
高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満など動脈硬化の因子を持っている人
家族に心臓病は脳卒中などの病気を持っている方がいる人
動悸、息切れ、胸部不快などの症状がある人
50歳以上の人
健康診断で病気を見つけ出す作業はとても大切です。自分の健康を省みる時間を是非とってくださいね。
当院に通院されている方は、もちろん定期的なエコー検査を専門のエコー検査技師の手で受けて頂いています。
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こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日のテーマは『受動喫煙で腎臓が悪くなる!?』についてです。
喫煙と受動喫煙
受動喫煙が様々な病気の原因になることは、今までに多くの報告がされています。
いわゆる、喫煙者が吸い込む主流煙に比べ、周りの人が吸ってしまう副流煙には、
より多くの有害物質が含まれているといわれています。
たとえば、タバコの3大有害物質を比較すると、主流煙を1とした場合、副流煙にはニコチンが2.8倍、タールが3.4倍、一酸化炭素が4.7倍も多くみられているのです。
例えばニコチンによって、血管が収縮し血圧が上がります。
タールには多くの発がん性物質が含まれているといわれています。
一酸化炭素は体内の酸素を低下させてしまいます。
その結果、タバコの影響で様々な病気のリスクが上がってしまいます。
気管支喘息、心筋梗塞、肺がん、糖尿病など・・・・・・。
受動喫煙と腎臓病
最近、受動喫煙が腎臓にも良くないという報告が出てきました。
『Secondhand smoke linked with higher kidney disease risk』
受動喫煙で上昇する腎臓病の危険性
という意味になります。
韓国からの研究になりますが、約13万人(平均年齢53歳)を対象に、受動喫煙と腎臓病の関連について調査。
その結果、受動喫煙を週に3回以上経験しているかたで腎臓病のリスクが1.72倍。
週に3回未満経験しているかたで、そのリスクは1.44倍でした。
つまり、受動喫煙しているだけで、腎臓病のリスクが40~70%以上も上昇したということなのです。
この論文からいえること
喫煙は、本人はもちろんのこと、周りの人へも多大な健康被害を及ぼします。
マナーのある喫煙、またはタバコをやめるなど考えなくてはいけませんね。
自分で禁煙することが難しいと考える方へは、禁煙外来がお勧めです。
約3か月間禁煙の薬を服用していただくもので、とても手軽です。
当院でももちろん禁煙外来を行い、禁煙されたい方のサポートをスタッフ全員で行っています。
<院長プロフィール>
地元船橋の大穴北小学校第一回卒業生です
大穴中学校、県立千葉高校卒業
平成3年千葉大学医学部卒業
平成6年より2年間船橋市立医療センター勤務
平成8年 倉敷中央病院で循環器の専門トレーニング
平成9年より平成26年3月まで船橋市立医療センター心血管センター循環器内科副部長として勤務
平成26年5月すぎおかクリニック開院
<取得資格>
医学博士、日本内科学会認定医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定健康スポーツ医など
タグ:動脈硬化 | 心筋梗塞 | 心臓病 | 生活習慣病 | 禁煙外来 | 腎臓病