こんにちは。船橋市の内科、循環器内科、心臓内科、糖尿病内科のすぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日は、『血圧はどこまで下げたら良いのか?』という話です。
先日、New England Journal of Medicine誌に、高血圧患者さんに対して血圧を厳格に下げたほうがいいのか?標準降圧でよいのか?に関する研究報告がなされましたので、シェアさせていただきます。
対象者は約9000人。収縮期血圧目標120mmHg未満の厳格降圧群(4,678例)と、140mmHg未満の標準降圧群(4,683例)に分けて調べています。
約3.3年の追跡期間で、心筋梗塞や脳卒中、心不全、心臓血管死としてんのイベント数を調べました。
結果は、イベントの発生は標準降圧群で2.40%/年、厳格降圧群で1.77%/年と20%以上心血管イベントが厳格降圧群で低く、同様に全死亡率も厳格降圧群で20%以上の低下が見られました。
ただ、厳格降圧群が全てにおいてよかったわけではありません。
低血圧、電解質異常、急性腎障害/腎不全、失神などの重篤な有害事象が、厳格降圧群で有意に高頻度だったのです。
確かに血圧を厳格に下げると、死亡率は減りそうです。しかしながら一定の割合で血圧が下がりすぎる人もいる、腎機能が悪くなる人もいるなど厳格降圧は決して完全なものではないということです。
また、血圧管理は基礎疾患によって大きく目標値も変わってきます。
糖尿病や腎臓病、大動脈解離後など、条件次第では厳格な降圧が必須という方もいらっしゃいます。
また年齢によっても目標血圧値を考慮する必要があるかもしれません。
降圧剤を飲んでいらっしゃる方はぜひ主治医の先生と相談し、適正血圧を目指してくださいね
当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。
動脈硬化を予防したい方、または心臓病を発症したあとの再発予防のかたなどが船橋市、鎌ケ谷市、習志野市,、市川市、千葉市を始め多くの方に来院頂いています。
在籍医師は、院長はじめ循環器専門医資格を多くの医師が有しております。
医師、専門スキルを持った看護師(糖尿病療養指導士、抗加齢学会指導士、心臓リハビリテーション指導士)、専門エコー技師、管理栄養士、経験豊富な医療事務の全員で、チームで患者さんを診療させていただいております。
どうぞ安心してご来院ください
こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日は、「座り過ぎは血管の機能にどんな影響を及ぼすのか?」についてお話します。
血管はもちろん年齢を重ねるに連れ、機能が落ちていきます。いわゆる老化です。
血管の老化、機能低下といえばまずは動脈硬化が思いつきます。
動脈硬化とは、血管の壁にプラークと呼ばれる塊が増えている状態で血管は硬化し、狭窄し、プラークが増大するとやがて閉塞に至ります。
血管が閉塞すると、心筋梗塞や脳梗塞、閉塞性動脈硬化症など様々な疾患を合併していきます。
それぞれの疾患に関するお話は別のブログでもかいていますので、参考にして下さい。
動脈硬化による血管壁プラークは、頸動脈エコーという検査を行うと、一目瞭然でわかりますし、血管の硬さはABIという検査で簡単にわかります。
高血圧や脂質異常症、糖尿病、肥満、喫煙などのかたは動脈硬化を起こしやすいので、こういった検査を定期的に行う必要があります。
このように、動脈硬化を起こしているとある程度の検査で血管の状態を把握できますが、実は血管は動脈硬化で実際に血管が固くなる前からじわじわと血管の機能が低下していきます。
血管の機能とは、血管が正しく収縮し正しく拡張する能力のことです。
そして、正しく血管が収縮拡張を繰り返すために、血管の壁の内側にある血管内皮細胞が重要な役割を果たしています。詳しく言うと、この細胞からNOという物質が分泌されて血管が拡張しています。
ですから、私達は普段から血管の機能を落とさないためにNOを出しやすくする生活に心がける必要があるわけです。
そんな中、血管機能に関するある論文が報告されました。
座り過ぎと血管機能に関する研究論文です。
これは、オーストラリアン・カトリック大学のFrances Taylor氏らが、糖尿病患者を対象に行った研究で、詳細は「American Journal of Physiology. Heart and Circulatory Physiology」に掲載されています。
対象は、35~70歳の肥満2型糖尿病患者24人。対象者全員に、7時間にわたって座位を維持する試験を行いました。
3つのグループにわけ、1グループ目では7時間中断なく座位を保つ。2グループでは30分ごとに3分間の簡単な筋力運動を行い、3グループでは1時間ごとに6分間という2グループよりも長めのの筋力運動を行いました。
血管機能は、血流依存性血管拡張反応(flow-mediated dilation;FMD)とよばれる血管内皮細胞の機能を評価する検査を行っています。
その結果、30分ごとに座位を中断し、簡単な筋力運動を行うと、座位持続グループと比較して、血管機能が改善されることが判明しました。そして、1時間毎に座位を中断し筋力運動を行っっても、座位持続グループと比較しても血管機能の改善は見られなかったのです。
ということは、座位による血管機能の低下を防ぐためには、座位を中断する頻度のほうが、中断中に行う運動の時間の長さよりも重要だといえるのかもしれないのです。
長い時間をとってまとめて運動しなくても、短時間の運動をちょこちょこ行うと、逆に血管には良いのかもしれませんね。
普段、運動に多くの時間を割けないという理由で全く運動をしない人もいます。今回の論文では、短い運動の効果を示してくれました。時間がなくてもこまめに身体を動かして行きましょう。
そういったことが動脈硬化を防ぎ、心臓病・脳卒中を防ぐことにつながっていくと思います。
当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。
動脈硬化を予防したい方、または心臓病を発症したあとの再発予防のかたなどが船橋市、鎌ケ谷市、習志野市,、市川市、千葉市を始め多くの方に来院頂いています。
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こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日のテーマは『糖尿と腎臓、血圧の関係』です。
今、糖尿病は世界中で爆発的に増えており、今もまだ増加の一途をたどっています。
アメリカでは全人口の約10%を超える3400万人以上が糖尿病に罹患しているとさえ言われています。
糖尿病の恐ろしいところの一つ、それは糖尿病になっても、そして病気が進行してもほとんどの人がなんの症状もないところです。
糖尿病には様々な合併症があるにも関わらず、症状がまったくないのです。
糖尿病には3大合併症と呼ばれるものが存在します。
それは、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、そして糖尿病性腎症です。
神経障害が進むと、特に下肢のしびれが出現し、感覚が鈍くなり、そのうち怪我をしても痛みを感じなくなってきます。そんな状態でいると、足先に小さなキズを作っても気づかずに、感染が広がってしまうことがよくあります。そして運が悪いと、下肢の糖尿病性の壊疽になってしまうことも。
網膜症が進むと、目の奥の眼底にある血管が固くなり、出血してしまうことになります。
その結果、視力が落ちたりうんが悪いと失明してしまう人もいます。
そして、糖尿病性腎症です。腎症も全く症状がありません。かなり末期の状態になってむくみやだるさなどの症状がでてきますが、最終的には腎機能が崩壊し、透析に至ってしまいます。
アメリカでは糖尿病患者の37%が腎臓病を合併していると言われています。
実は糖尿病によって腎臓の血液濾過効率が減少していくと、高血圧を発症してしまいます。
そして高血圧になると、腎臓の動脈硬化が進み、さらに腎臓の機能が低下してしまいます。
そしてさらにその影響が心臓にまで及び、心不全や心筋梗塞などを発症することになるのです。
心臓と腎臓は密接なつながりがあり、『心腎連関』と呼ばれています。
糖尿病も腎臓病も、そして高血圧も、この3つに共通することがあります。
それは、症状が非常にでにくい、病状が進行するまで自覚症状がはっきりしないということ。いわゆる『サイレントキラー』になるということです。
そんな中、今はSGLT2阻害薬という薬が注目されています。
これは、糖尿病薬の一つですが、腎臓機能の保護効果にとどまらず、心不全の発症率を下げてくれるなど、多くの効果が期待されています。
つまり、糖尿病薬による新しい心腎保護というわけです。
そんな内容の声明が先日Circulationという一流の医学雑誌に載っていました。
『Cardiorenal Protection With the Newer Antidiabetic Agents in Patients With Diabetes and Chronic Kidney Disease: A Scientific Statement From the American Heart Association』
『糖尿病および慢性腎臓病の患者における新しい抗糖尿病薬による心腎保護:米国心臓協会からの科学的声明』
糖尿病に関する様々な薬がでています。今回のように心臓や腎臓に素晴らしい効果が期待できる可能性の高きものもでてきています。
しかしながら、私達がまず考えなくてはいけないものはおわかりですよね。
そうです、普段の生活習慣です。甘い物など偏った食事をしすぎない。しっかり野菜をとってビタミンやミネラルを補充する。塩分を控え血圧の上昇を抑える。そして定期的にカラダを動かす。
サイレントキラーである糖尿や高血圧、腎臓病を防ぐために、改めて自己の生活を見直してみてくださいね。
当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。
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こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日は、高血圧と大気汚染の関係についてお話します。
高血圧は、御存知の通り、生活習慣病の一つです。
多くの人は、高血圧に対して注意をしているものの、そもそも高血圧が続くことでどんなことが起こり得るのか?本当の高血圧の怖さについてご存知ありません。
高血圧がおこるとどんな事が起こるのでしょうか?
高血圧は、血管の中の圧力が高い状態です。血管はホースのようなものなので、その中を高圧で水が流れ続けている状況を想像していただくと良いかもしれません。
パンパンに張った水道ホース、この状態が長く続くとホーズはどうなると思いますか?
ホースに亀裂が入ってきたり、ガタが来ますよね?
血管でいうと、固くなると同時にもろくなってきます。
この状態を動脈硬化と呼びます。
動脈硬化の血管は固くて脆いのです。そして詰まりやすく、切れやすく、破裂しやすくなるのです。
固くなり、動脈硬化を起こした血管には、内側の壁にプラークと呼ばれるコレステロールを始めとした物資圧が沈着していきます。沈着量が多くなると、血管の中が狭くなってしまい、最終的に詰まってしまうわけです。
血管が細くなっても症状がまったくないことが殆どで、そのために突然心臓の血管がつまる心筋梗塞や頭頸部の血管が詰まる脳梗塞を発症し、話を聞いてみると高血圧をしっかり治療していなかったケースがあります。
つまり、高血圧をコントロールするということは、その先の動脈硬化を予防する、更に先の血管のつまりなどの命に関わる病気を予防することにつながるのです。
高血圧が原因でおこる病気はたくさんあります。今日はそのうちの一つをお話します。
それは、大動脈解離という病気です。
大動脈とは、心臓から全身に血液を送る幹のような血管で、背骨の脇を走行しています。
大動脈から多くの枝が分岐して、脳血管や肝臓・腎臓などの腹部臓器、手足へと血液が運ばれます。
そのおおもとの血管を考えてください。
高血圧があると、このおおもとの血管。大動脈が常に高圧にさらされた状態になります。
大動脈は固くなり、もろくなっていきます。
その状態が長く続くいても実は全く症状がありません。ですから血圧が高くても調子が良いから大丈夫、などとたかをくくる人が大勢います。
しかし、その浦では着々と大動脈の動脈硬化がすすんでいるのです。
そしてある日・・・・
突然大動脈が『ビリビリ!!』と裂けてしまうのです。
大動脈が裂けると、脳への血管が裂けて脳卒中、心臓への血管が裂けて心筋梗塞、脊髄への血管が裂けて下半身麻痺、腸への血管が裂けて腸管壊死、足の血管が裂けて下肢の壊疽・・・など大変多くの合併症が起こり、運が悪いと病院にたどり着くことさえできず、いわば突然死を起こしてしまうわけです。
こんな病気をおこしてから、『ああ、高血圧にもっと気をつけていれば。。。』といったところで後の祭りなわけです。
では、どうすれは高血圧を予防できるのか?
これは生活習慣をみなおすことにつきます。
塩分を控える、カロリー過多の食事を控える、有酸素運動のような運動を定期的に取り入れる、睡眠を十分にとり、ストレスを溜めない生活をおくる。
大変かもしれませんが、やればやるだけあなたの健康度はどんどん上がっていき、結果的に病気に負けない強い体をつくれます。
そんな中、最近高血圧と大気汚染の関係についての論文が発表されました。
これまで、黄砂と喘息発作や急性心筋梗塞の発症との間に関係があることは知られていたものの、黄砂飛来の血圧への影響は不明でした。
最近、京都大学を中心としたチームが約10年追跡調査をし、血圧上昇と黄砂についての関係を調査した研究が報告されました。対象はおよそ30万人にものぼります。
『Association of short term exposure to Asian dust with increased blood pressure』
その結果、黄砂飛来日には血圧が上昇するという結果が得られたのです。
また、非喫煙者に比べて喫煙者において黄砂飛来日での血圧上昇幅が多かったとのことでした。
著者らは、黄砂への曝露を避けることは、健康な成人の高血圧発症の予防に有用な可能性がある、と考察されています。
高血圧を患っている方は、ただ血圧を管理するだけで満足していてはいけません。
大切なことは、動脈硬化が進行していないか?血管が詰まりかけいるところはないか?
そういった観点からの定期チェックが欠かせないのです。
頸の血管エコー検査をすれば、血管の壁に動脈硬化のプラークが形成されていないか、すぐわかります。
運動負荷心電図で、心臓の虚血状態が簡便に予測できます。
ABI検査で下肢の血流が把握できます。
ぜひ、定期チェックに目を向けてみてくださいね
当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。
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こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日は高血圧に関する話です。
高血圧は、生活習慣病を代表するものの一つです。高血圧が続くと、動脈硬化が進みます。
動脈硬化が起きると血管の中にプラークと呼ばれる塊が増殖し、血管の内腔を狭くしてしまいます。
また、血管の壁を脆弱にしてしまい、破れてしまうこともあります。
血管の内腔が狭くなり、閉塞すると心筋梗塞や脳梗塞の原因となります。
血管がもろくなり、破れてしまうと脳出血や大動脈解離などを起こします。
高血圧は症状が出ないまま全身の血管にダメージを与えていくので、自分は血圧が高いけど全く症状がないから大丈夫だ!と思いこむのはとても危険です。
では、高血圧を予防するために一体どうすればよいのでしょうか?
皆さん、御存知と思いますが、何よりもまずは塩分制限が必要となります。
日本人の塩分摂取量はもともと多く、日本高血圧学会では、高血圧患者さんの塩分摂取量を1日6グラム以下とすることを推奨しています。
そもそも塩分を過剰に摂取するとなぜ血圧が上がるのでしょうか?
それは、浸透圧という概念が必要となってきます。
塩分に含まれるナトリウムを多く摂ると、血液の濃度が高くなるため、浸透圧を一定に保とうとする働きで血液中に水分が増える。そして水分だけが増えることはなく、水分と同時に血液量も増えるため、血管壁にかかる負担が大きくなり、血圧が上がるというものです。
では塩分さえ制限すれば血圧は上がらないのか?というとそうでもないところがややこしいところです。
そこには遺伝や腎血管性高血圧などの2次性高血圧、本態性高血圧、食事量の問題、薬の副作用などで血圧が上昇することもあります。
ですから闇雲に塩分さえ制限すれば大丈夫、ということではありません。
最近、減塩していても高血圧が持続するグループでは腸内細菌叢に違いがるのではないか?という研究発表が日本からなされました。
『Impact of Gut Microbiome on Hypertensive patients with Low-Salt Intake:Shika Study Rresults』
対象は239人の日本人です。この方たちを腸内細菌叢によって2つのグループに分け、更に食塩摂取量が多い人達と少ない人達に分け、それぞれ比較検討しています。
その結果、高血圧有病率は、食塩摂取量が多い群のグループ1では49.4%、グループ2では46.7%であり、有意差は見られませんでした。一方、食塩摂取量が少ない群では、グループ1が47.0%、グループ2では27.0%であり、群間に差が認められたのです。
つまり、グループ2の腸内細菌叢を持っている人たちは塩分制限による血圧低下の効果が期待され、グループ1の腸内細菌叢を持っている人たちは、塩分制限による血圧低下の効果があまり期待できないということだったのです。
ちなみに、かなり専門的ではありますが、グループ1の腸内細菌はグループ2に比べ、Blautia、Bifidobacterium、Escherichia-Shigella、Lachnoclostridium、Clostridium sensuという種類の微生物の割合が低いという結果が得られたということも記載しておきますね。
今までは高血圧というと塩分制限というところにばかり目がいっていましたが、今後は高血圧患者さんに対しての腸内細菌叢へのアプローチ、腸内細菌を見据えた食事指導などが必要になってくるかもしれませんね。
当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。
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こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日は、『心不全』についてのお話をしようと思います。
心不全とは、心臓の機能が何らかの原因で低下してしまい、全身に十分な血液を送れなくなる状態です。
心臓の機能が低下する原因はたくさんあります。
例えば虚血性心疾患と呼ばれる病気。これは、冠動脈という心臓に栄養を送る血管が、動脈硬化などが原因で狭窄もしくは閉塞してしまい、心臓の筋肉が栄養不良(虚血)状態になっている病気です。
また、弁膜症も心不全の原因となります。
心臓には4つの弁がついており、心臓内の血流を潤滑にする役割があります。
しかし、弁が固くなったり、一部が断裂したり、などなどで弁の狭窄もしくは逆流が生じることがあります。
弁疾患が高度だと、心機能に影響を及ぼしてしまいます。
高血圧が原因で心不全を起こすこともあります。
肥大型心筋症や拡張型心筋症のような、心臓の筋肉に問題があって心臓機能が低下することもあります。
これ以外にも心不全の原因はたくさんあるのですが、専門的な話になってしまいますので、この話は別の機会に話したいと思います。
今は、心不全に対する治療法がどんどん進化しています。
薬剤の進化、心臓付近に埋め込む心臓補助の機械の進歩(デバイス)、これらはペースメーカー、ICD、CRTDがそれに当たります。心臓手術も格段に発展し、開胸しなくてもすむカテーテル治療もどんどん進んでいます。ステント留置にはじまり、TAVI、Mitral Clipなど・・・・。
言いたいことは、心不全の治療がどんどん進んだことにより、患者さんの高齢化が進んでいるということです。
年々、心不全の患者さんは増え続け、その状態はもはやパンデミックといわれ、『心不全パンデミック』という言葉さえ生まれています。
心不全パンデミックの状態になると、入院医療が必要な高齢心不全患者さんがどんどん増え、病院が患者さんを受け止めきれなくなる事態、つまり入院が必要でも入院できない状態が想定されること、また医療費が莫大にかかることなど、社会的な問題が起こる可能性も考えられます。
心不全パンデミックを防ぐ上で、いちばん大切なこと、それは心不全の兆候がでたらいかに早めに対処できるか?です。心不全はある日突然心不全を起こす人もいますが、徐々に徐々に心不全の状態にゆっくり悪化していく人も大勢います。この悪化の初期サインを見抜くことができれば心不全に伴う入院を回避することが可能となります。
心不全の初期サインにはどんなものがあるでしょうか?
典型的症状の一つに息切れ、があります。
しかし、息切れと言っても心不全の初期症状のみで出るわけではなく、肺疾患の場合、または高齢の場合、体力や筋力低下の場合、などプロの目からみた鑑別診断も必要となります。
また、むくみも心不全の初期症状の一つです。
心不全が悪化してくると、全身の水分を上手に腎臓から排出できなくなってくるため、体内に水分が蓄積してきます。その水分が下肢のたまったときに下肢のむくみとなります。そして、むくみと同時に体重も増加することが多く見られますので、むくみとともに体重増加があるか、をチェックする必要があります。
そして、むくみも同様に鑑別診断が必要です。
むくみを呈する疾患には、肝臓病、腎臓病、心臓病などの内臓障害以外に、貧血や甲状腺機能異常などでもでてくることがあります。
もう一つ、欠かせないこと、それは定期的に検査を行うことです。
心不全は、息切れなどの心不全症状が出現する前に、検査上で異常が見つかることがあります。
例えば心電図で不整脈が始まった、心臓エコー検査で心臓が以前より張ってきている、血液検査で心不全を示す数字(NTProBNP)が上昇してきている、などです。特に、心不全の既往がある方は定期的なこれらのチェックが絶対に必要となってきます。
最後に、心臓のリハビリ(心臓リハビリテーション)です。
狭心症や心筋梗塞、心臓手術、心不全などの心臓病を起こした方の多くが日常生活に不安を抱えています。
どれくらいの活動をしていいのか?どれくらいの活動をするべきなのか?心臓に無理をかけすぎて心不全がおきないか?などです。
心臓リハビリテーションは、心臓に一定の無理のない負荷、運動をして心臓を鍛えていくリハビリです。
特に、心不全の再発予防に心臓リハビリテーションは絶大な効果を発揮します。
心臓リハビリテーションとは、医療スタッフが付きそう監視型リハビリテーションです。個々人に合った運動量や心拍数を見ながら、その人の運動能力や心臓能力に最適な運動を病院内で行っていくタイプのもので、患者さんも医療者に見守られながら適切な運動ができるので、安心してリハビリが行なえます。
当院では、上述したエコー検査、心電図、心不全チェックの血液検査などがすべて揃っています。
ご希望のかたには心臓リハビリテーションも提供しています。
医師は循環器専門医が複数在籍していますので、心不全に限らず、循環器疾患でご相談事があればお気軽にご来院ください。
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今日は、『心筋梗塞と怒りの関係』についてお話します。
心筋梗塞とは、心臓に栄養を送る血管「冠動脈」が閉塞してしまい、心臓の筋肉が壊死してしまう病気です。
冠動脈が詰まってしまう原因には動脈硬化があります。
動脈硬化の原因には、高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満、運動不足、などとともにストレスも原因となります。
心筋梗塞を予防するためには、いわゆる生活習慣病を防ぐための食事管理とともにストレス管理も重要になってきます。
今回、ストレスの代表格、怒りの感情が心筋梗塞の再発にどんな影響を及ぼしているのか?についての研究報告がなされましたので、お知らせいたします。
「Hostility predicts mortality but not recurrent acute coronary syndrome」
対象者の総数は2,321人、平均年齢は67歳、68%が男性でした。
不安・抑うつ・敵意の3項目があるかないかを質問表で聞き取り、57%に攻撃性が有ると判断されています。
その後、24ヶ月を追跡調査し、心筋梗塞の再発率が攻撃性性格の有無と関連があるか?を調査したのです。
その結果、攻撃性は明らかに心筋梗塞の再発率を上げる!という結果が得られたのです。
この論文の筆頭論者であるTracey Vitori氏は、次のように語っています。
攻撃性は性格特性の一つであり、皮肉っぽい、偏屈である、怒りやすい、短気である、激昂しやすいなどがこれに当てはまる。そして、攻撃性は、ある人の他者との関わり方で出現するものである、と。
心筋梗塞を予防するために、塩分を控えて血圧をあげない。脂質を控えてコレステロールをあげない。糖分を控えて糖尿病を防ぐ。運動や睡眠など規則正しい生活に心がける、そんな当たり前のこと以外に、もし攻撃的な言動や行動があるとしたら、そこに対してどう取り組んで行くべきか?ということも非常に大切だということがこの研究からわかりますね。
心筋梗塞の予防のため、心筋梗塞の合併症予防のためにもう一つ大事なことがあります。
それは、定期的に動脈硬化が起こってないか?心臓の機能が悪くなっていないか?を検査することです。
心筋梗塞後の心臓機能については、一番効果的な検査が心臓超音波検査です。残念なことに、多くの心筋梗塞の既往の有る方が、定期的に心臓超音波検査を受けていません。何も胸部症状がなくても、この大事な検査は欠かさないように心がけてください。
心筋梗塞は、心臓の血管・冠動脈が詰まってしまうものだ、という話を前半にしました。
この冠動脈は実は3本の血管から成り立っています。心筋梗塞を起こしたときは、この3本のうちの1本がつまってしまったことになります。そして、1本が詰まったということは、残り2本も今後詰まってしまう可能性、動脈硬化が進行してしまう可能性が有るのです。
冠動脈の動脈硬化、すなわち冠動脈の狭窄が進行していないか?これを簡便に見極める定期検査を必要になります。
それが心電図です。
しかし、健康診断などで行っている安静時心電図ではありません。
運動をしていただき、心電図をとるという運動負荷心電図が必須となります。
安静時の心電図をとっただけで安心してしまうのは早計なのです。
心筋梗塞は、心臓の冠動脈が動脈硬化で詰まってしまった病気。
しかし、動脈硬化は心臓だけに来るわけではない、ということはみなさんもわかりますよね。
心筋梗塞を起こした人は、脳血管の動脈硬化も進んでいる可能性もあるし、手足の血管が詰まっていることもあります。
首の血管に詰まりがないか、頸動脈エコーをおこなったり、足の血管につまりがないかABIという検査を行ったり。本当にやることはたくさんあるのです。
動脈硬化は心臓だけの病気ではありません。動脈硬化は全身病です。
普段の生活習慣に注意し、定期的な検査をうけ、そして攻撃的な行動をひかえる。
心筋梗塞を起こしたあとだからこそ気づく健康の大切さ、がきっと有ると思います。
もう一度、今の自分の生活を見直してみてくださいね。
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どうぞ安心してご来院ください
こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日は、「生活習慣病」の話です。
夫婦は、同じような食習慣、同じ要な運動習慣を取ることが多い、と考えられます。
そこで、夫が高血圧だったらその妻は高血圧になりやすいのか?
妻が糖尿病だったら夫は糖尿病になりやすいのか?
そんな研究報告がなされました。
研究の結果、夫が高血圧だと妻が高血圧になるリスクは1.79倍。
夫が糖尿病だと妻が糖尿病になるリスクは1.45倍。
夫が脂質異常症だと妻が脂質異常症になるリスクは2.58倍、と生活習慣病のリスクが高いことが判明しました。
逆に妻が高血圧だと夫が高血圧になるリスクは1.82倍。
妻が糖尿病だと夫が糖尿病になるリスクは1.44倍。
妻が脂質異常症だと夫が脂質異常症になるリスクは2.49倍、と同様に生活習慣病のリスクが高かったのです。
生活習慣病改善のためには、夫婦で食事習慣や運動習慣を一緒に取り組む、という姿勢が大事なのかもしれません。
生活習慣病は高率に動脈硬化を引き起こし、狭心症や脳卒中などの心臓血管病を罹患しやすくなります。
まだ大丈夫、と決して思わないでくださいね。
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こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日は、むくみ(下腿浮腫)についてのお話です。
むくみを訴えて多くの患者さんが当院にも来院されます。
むくみはあらゆる原因で発症します。
例えば、肝臓や腎臓の内臓障害によるもの。
心臓の機能が低下して、心不全を起こすともちろんむくみが生じやすくなります。
下肢に血栓が生じて血管がつまってしまう深部静脈血栓症でもむくみが出現します。
それ以外に、タンパク質不足などの低栄養、貧血、甲状腺機能異常でもむくみは出現しますし、
運動不足や長時間の立位・座位でも生じます。
そして、このむくみ、薬の副作用によって生じることがあります。
一番典型的にむくみの副作用をおこしやすい薬が降圧剤です。
一般的に降圧剤は、手足の血管を拡張させることで血圧を低下させます。
そのさいに、下肢の血管も拡張するので、むくみが生じやすくなるのです。
代表的な降圧剤であるカルシウム拮抗剤というタイプの薬で時折むくみを見かけます。
ただ、これを聞いてすぐに降圧剤を中止するのは危険です。
というのも、薬を中止した途端に血圧が急上昇するケースが多いからです。
薬には副作用が出ることもありますが、薬によって生じるメリットもたくさんあるのです。
もし、むくみが出現したときに薬の副作用が心配な場合は、是非かかりつけの医師に相談するか、循環器の専門医に相談することをおすすめいたします。
当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。
動脈硬化を予防したい方、または心臓病を発症したあとの再発予防のかたなどが船橋市、鎌ケ谷市、習志野市,、市川市、千葉市を始め多くの方に来院頂いています。
在籍医師は、院長はじめ全員が循環器専門医資格を有しております。
医師、専門スキルを持った看護師(糖尿病療養指導士、抗加齢学会指導士、心臓リハビリテーション指導士)、専門エコー技師、経験豊富な医療事務の全員で、チームで患者さんを診療させていただいております。
どうぞ安心してご来院ください