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心臓超音波(エコー)

こんにちは! 船橋市の内科、循環器内科、心臓内科、糖尿病内科のすぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日は当院で行われている検査についてのご紹介をしますね。

心臓超音波(心臓エコー)検査についてです。

心臓エコー検査って何?

皆さんも今まで、エコー検査を受けられた経験があるかもしれません。

よく人間ドッグなどで目にするのが腹部エコー検査です。これは、肝臓や腎臓、膵臓、胆のうなど、いわゆる腹部の臓器に異常がないか見る検査です。

心臓エコー検査とは、まさに心臓の動きに異常がないかを見る検査で、下記の写真のように心臓の動きが実に詳細にわかる検査です。

心臓エコーでわかること

心臓エコーでわかる情報は多岐にわたります。

その基本は、心臓の動きが正常かどうかということ。心臓の症状が何もない人でも、高血圧や糖尿など、動脈硬化を抱えている人は、知らないうちに心臓の機能が低下していることが決して珍しくありません。

また、心筋梗塞などで心臓の一部の血流が遮断されていないか、ということに対しても欠かせない検査です。

健康診断などで心雑音を指摘されたときに、弁膜症と言われる病気がないかどうかを確かめるのにも、この心臓エコー検査は大活躍します。

どんな人に心臓エコー検査が必要か?

まずは高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病を持っている方。これらの方々は高率に心臓病を合併します。

続いて、動悸、息切れ、胸痛などの胸部症状を持っているかた。狭心症や心筋梗塞、心不全などの診断には欠かせません。

大動脈弁狭窄症、僧房弁逆流症などの弁膜症においてもこの検査なしでは診断がつきません。

そして、心臓肥大などを指摘され、心不全の可能性が考えられる人にも必要な検査です。

そしてそして、何よりも必要な人。それは以前に心臓の病気を経験した方です。

往々にして、過去に心臓病の経験をした人は、その後に症状がなくなるともう心臓は絶対大丈夫、と思い込んで検査をしていないことがあります。そのようなことが決してないように注意が必要です。

当院での経験

当院でも、胸痛を訴えてクリニックに来院した患者さんで、心電図だけではなかなか診断がつかず、心エコーを緊急で行ったところ、直ちに心筋梗塞の疑いが強く出たため、救急病院に救急搬送、一命をとりとめたケースもあります。このように、心エコー検査は心臓疾患の重症度判断になくてはならない検査法なのです。

当院では日常的に心エコー検査を行っており、昨年だけでも心エコー検査を約2500人以上の患者さんに行っています。

誰が検査をやるか?

実は、この、誰にエコー検査をしてもらうか、ということが非常に大切です。もちろん、医師である僕も心臓エコー検査を行います。でも、エコーのプロにはその技術ははるかに及びません。

当院では検査技師である心臓エコーのスペシャリスト、専門技師が在籍しています。彼らは毎日毎日エコー検査を重ねることでの経験と研鑽と実績を持ち合わせています。何より本当に詳細に、そして正確に心臓の状況を見抜きます。

まさに、「餅は餅屋」です。

皆さんも、エコー検査を受ける際に、その病院にちゃんとしたスペシャリストがいるかどうか、確かめてみてくださいね。

糖尿病と心筋梗塞

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日は、糖尿病と心筋梗塞の関係についてのお話です。

糖尿病で血管が詰まる?

心筋梗塞や脳卒中、狭心症、閉塞性動脈硬化症など血管が詰まってしまう病気の原因のほとんどは動脈硬化と言われています。

動脈硬化、とは血管にプラークと呼ばれる塊がこびりついて血管が硬くなり、もろくなる現象です。

そして、動脈硬化が進み、プラークが酸化しやすい状態になると、ますますプラークは増加していき、そのうち血管の壁に傷がつきやすくなります。その傷を修復しようと血小板と呼ばれる細胞類が血栓という蓋をつくって傷を修復、その血栓が血管内にあふれると血管自体が詰まってしまう。これが動脈硬化に由来する心筋梗塞や脳梗塞、血栓症のメカニズムです。(めっちゃ簡単に話しています・・・)

そしてこの過程と糖尿病には深いかかわりがあるのです。

糖尿病になるだけで、心筋梗塞や脳卒中のリスクは2倍から4倍にまで跳ね上がるといわれています。

その理由は、動脈硬化のプラーク(正確にはリポ蛋白と呼びます)の酸化が糖尿病で進みやすいからなのです。

また、糖尿病のかたは、他の動脈硬化危険因子を合併していることも多いです。たとえば、肥満や脂質異常症、高コレステロール、高中性脂肪などがそうです。

そういった生活習慣の乱れがますます動脈硬化を加速させ、心筋梗塞の発症率を高めてしまいます。

心筋梗塞の予防に必要なことは?

お分かりのことと思いますが、やはり糖尿病や生活習慣病の原因となる、乱れた生活習慣を正すこと、がなによりも大切になってきます。

まだ私の糖尿は軽いから、と漫然に過ごさずに、早期からの血糖管理に気を付けることです。そして、血圧や脂質のコントロールにも目を配り、食事療法、運動療法も必要です。療法というといかにも難しそうですが、単に体に悪そうなものを食べすぎない、面倒だからと言って体を動かさないことを避ける。

これだけで糖尿病や生活習慣病を避け、心筋梗塞や脳卒中のリスクを激減できるのです。

血管のつまりが突然やってくる

心筋梗塞や脳卒中は突然やってきます。それは何の前触れもなしに。

そのためには普段からの動脈硬化管理、血管管理もとても大切です。

糖尿病の数字だけに一喜一憂するのではなく、自分の動脈硬化の状態、血管の硬さの状態、プラーク量の状況、心臓機能の状況、これらのきめ細かい管理を忘れてはいけません。

糖尿病のかたの動脈硬化管理

やるべきことは、糖尿病の数字管理(ヘモグロビンエーワンシー HBA1c)、合併症管理(腎臓の数字や目の状態)、心臓の状態(運動負荷心電図や心臓エコー)、動脈硬化の状態(頸動脈エコーやCAVI検査)。

そして、食事指導と運動指導。

当院では循環器専門医や糖尿病療養指導ナースの指導のもと、糖尿病の動脈硬化合併症に関して徹底的な管理を行っています。船橋市をはじめとして習志野市、鎌ヶ谷市、市川市、千葉市、また県外からも多くの方に御来院頂いています。

自分の動脈硬化の状況を把握したい、心配だ、などあれば、是非一度ご相談くださいね。

運動と記憶力の関係

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマは『運動と記憶力』についてです。

記憶力、落ちていませんか?

最近、先ほど言われていたことをふと忘れてしまったり、あれ?今何やろうとしてたんだっけ?などどいう経験が増えている方はいませんか?

脳の中で、つい短時間まえに起きたことを記憶しておく場所があります。この場所は『海馬』と呼ばれています。年齢や乱れた食生活、睡眠不足、ストレス、それに伴う脳血流低下、脳血管の動脈硬化などによって海馬は萎縮することが考えられます。そして脳細胞が変性し、βアミロイドというたんぱくが多量に沈着してしまうと、アルツハイマー病を引き起こします。

この記憶力、簡単な運動でアップすることがもしできたとしたら素晴らしいと思いませんか?

短時間の運動で記憶力が上がる

2017年、筑波大学からこんな研究発表がありました。

Hippocampus誌に、『Acute Moderate Exercise Improves Mnemonic Discrimination in Young Adults』というタイトルで論文が掲載されたのです。

これによると、中等度の運動を10分行ったあとで記憶力テストを行ったところ、運動しなかった群に比べ、記憶力の向上が見られたというものです。

この場合の運動とはいわゆる有酸素運動というものです。

たがが10分ほどの運動で記憶力が上がるなら、今日から是非とも始めてみたくなりますよね!!

有酸素運動の大切さ

有酸素運動は、記憶力を上げるだけでなく、循環器の領域でもとても大切です。生活習慣病と呼ばれる高血圧や糖尿病、コレステロールや中性脂肪の改善、ダイエットなどによる体重コントロール。それだけではありません。有酸素運動は心臓発作の可能性をも大幅に減少させてくれます。それは心筋梗塞や狭心症などの発作予防はもちろんのこと、すでに発作を起こした経験がある方の再発予防にも非常に大事なのです。

ただ、一つ大切なことがあります。それは有意義な運動は『有酸素運動』である、という点です。運動を始めると、往々にして楽しくなって、または頑張りすぎて有酸素運動以上の運動をしてしまうケースがあるのです。いわゆる『無酸素運動』です。無酸素運動は、カラダの中に活性酸素を多くつくることで、運動が逆に仇になってしまいかねませんので、注意が必要です。

当院でも、心臓発作を起こした人を対象に定期的な有酸素運動を院内で行える、心臓リハビリテーションを行っています。自分の心臓はどの程度の運動をすることがちょうどよいのか?一人で運動をするのが心配、1人だとサボってしまって運動しない。ここのスタッフと一緒に楽しく運動したい(笑)などあれば、お気軽のご相談くださいね

 

糖尿病の合併症 糖尿病性腎症

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマは、『糖尿病の合併症 糖尿病性腎症』についてです。

糖尿病は合併症が怖い

糖尿病には気をつけましょう、というような言葉を耳にする機会が大変増えてきています。

糖尿病になるといったい何が怖いのでしょうか?それは合併症です。

糖尿病に、どんな合併症があるかご存知ですか?

実は、糖尿病の3大合併症と呼ばれているものがあります。

糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症がそうです。

腎臓の機能

腎臓はそら豆のような形をした臓器で、左右対称にあります。

腎臓の機能はたくさんありますが、特に体内の老廃物を体の外に排出する機能や、体内の水分量を調節する働きなどその働きは多岐にわたります。

そして、この腎臓の機能が糖尿病のせいで低下してしまうのです。

高血糖状態が長く続くと、血液をろ過する腎臓の中の糸球体という成分が硬くなってしまいます。

その結果、正常に老廃物を排出できなくなるのです。それが進むと、腎臓の機能低下、さらには透析という状態に移行してしまいます。

腎症を防ぐために

まず最初に大切なことは、自分の腎臓病のステージがどの程度なのか?ということです。

それを知るのに非常に役に立つのが微量アルブミン尿と呼ばれるものです。

この表は、日本腎臓学会が、CKD(慢性腎臓病)のステージ分類を掲げた表です。

この表では、糖尿病性腎症の重症度を調べる項目が、GFRとよばれる腎臓の濾過機能と、微量アルブミン尿なのです。

あなたは、ご自分の微量アルブミン尿の量計測してもらっていますか?

腎症は早期に手を打つことが何より大切です。この、微量アルブミン尿は、血液上の腎臓機能を示すクレアチニン(Cre)が異常値を示すはるか前から異常をきたすのです。

当院でも、多くの糖尿病の患者さんに、定期的にこの微量アルブミン尿を測定しています。

たんぱく質の摂取制限、塩分、糖質の取り方など、食事もとても大切です。

そして、血圧管理も極めて大切になります。目標は130/80mmHg以下と言われています。

糖尿病をしっかり診る

今回は糖尿病の合併症の中の腎臓病にフォーカスを当ててお話しました。しかし、糖尿病の合併症はもちろん腎臓だけではありません。心筋梗塞や脳梗塞、足の血管がつまる、目の血管が詰まる、など全身の動脈硬化、血管病を進行させます。

糖尿病をおもちのかたは、日頃から糖尿病の数字だけに気を付けるのではなく、自分の動脈硬化レベルを定期的に調べる必要があります。

 

 

心筋梗塞とオメガ3

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマは『心筋梗塞とオメガ3』です。

オメガ3とは?

オメガ3とはそもそも何なのでしょうか?オメガ3とは、簡単に言ってしまえば私たちが普段口にするいろいろな油、その中にはいろいろなグループがあるのですが、オメガ3はそのグループの中の一つです。

油(脂肪酸)は、大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分かれ、さらに不飽和脂肪酸が一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分かれます。オメガ3は、多価不飽和脂肪酸に分類されます。

オメガ3はとても体に良い、というのは耳にしますが、いったい何がよいのでしょうか?

今日は特にオメガ3の心筋梗塞における効果について少しお伝えします

心筋梗塞とオメガ3

アメリカ心臓病学会誌というとてもとても有名な雑誌があります。ここでは世界中の心臓血管病に関する先進データ、論文が掲載されています。

その中で2015年には発表された論文を一つご紹介します。

『EFFECT OF PURIFIED OMEGA-3 FATTY ACIDS ON REDUCING LEFT VENTRICULAR REMODELING AFTER ACUTE MYOCARDIAL INFARCTION』という論文です。

心筋梗塞の後遺症

心筋梗塞を起こすと、ある後遺症が残ることがあります。その一つが心臓りモデリングと呼ばれるものです。これは、心筋梗塞の影響で壊死してしまった心臓の筋肉が線維化、そして変性していく過程で必要以上に心臓が広がってしまうというものです。広がりすぎた心臓は、自分でコントロールすることが難しくなり、容易に心筋梗塞後の心不全は不整脈を起こしやすくなります。

この論文では、358人の心筋梗塞患者さんに対し、オメガ3を服用したグループと服用しないグループで分けて追跡調査をしたところ、なんと6か月後にオメガ3を服用していたグループの心筋りモデリング(心臓の不必要な拡大)を抑えていたというのです。

オメガ3と言えば、血液サラサラというイメージがありましたがこんな効果もあったとは驚きです。

心筋梗塞を起こしたかたも、幸いまだ心臓発作を起こしてない方も、ぜひオメガ3、良質な油を普段から摂取することに心掛けましょう

動脈硬化の検査 CAVI検査

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマは、動脈硬化を調べる検査『CAVI検査』についてです。

動脈硬化とは

動脈硬化とは、長年の生活習慣の乱れ、高血圧、糖尿病、高コレステロール、肥満、そして加齢などによってまさに血管が硬化してしまうものです。血管が硬化すると、血管の内側にはプラークと呼ばれる塊が膨らんでいきます。その結果、血管の通り道が狭くなり、いずれ詰まってしまうというもの。

頭に詰まれば脳卒中、心臓が詰まれば心筋梗塞、そしてこの動脈硬化は手足の血管に及ぶことがあります。

足の血管が詰まったことに気付かないと、最悪足の壊疽、切断にまで至ってしまうケースも・・・

日頃から自分の動脈硬化の状態を知っておくことはとても大切なことです。

四肢(手足)の動脈硬化を見る

手足の血管につまりがないかを知る、簡単な検査があります。これはCAVI検査と呼ばれています。この検査では、あお向けに寝た状態で両腕・両足首の血圧と脈波を同時に測定します。時間は5分程度で終わるとても簡単な検査でです。例えば、もし右足の血管が詰まっていたらこの検査はどんな結果になるでしょう?

この方の普段の血圧が130ほどだったとすると、両手の血圧と左足の血圧は130程度でしょう。しかし、右足の血圧が80-90しかない。などという結果がでたら、右足の血管が狭窄しているか、閉塞しているかが強く強く疑われるのです。

CAVI検査をうけましょう

足の血管にまで動脈硬化が起きる、ということをまずはしっかり知っておく必要があります。そのうえで定期的なCAVI検査を受け、動脈硬化の進行がないかどうか定期チェックを欠かさないようにしましょう

心臓の検査 ホルター心電図(24時間心電図)

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日はいろいろある心臓の検査の中でも、『ホルター心電図』についてお話しします。

ホルター心電図とは

ホルター心電図と通常行われる心電図は大きく違います。通常は、病院やクリニックで数分間横になっていただき、その間に心電図をとります。ですから数分間で終わる手軽さがある一方で、数分間の情報しか得られないという欠点があります。

特に、発作性の不整脈や発作性の胸痛の場合、普段の心電図では何の問題もなく、発作時のみに異常が出てくる場合があります。そういう方を対象に、24時間心電図を装着したままで帰宅していただき、翌日外しに来院していただく。24時間の心電図波形が機械に記録されているので、それを解析し、心臓発作の原因を探るというものです。

どんな時にホルター心電図が有効か?

では、どんな病気が疑われた時に、この検査を行うべきなのでしょうか?

一つ目は発作性の不整脈が疑われる場合です。発作性の心房細動や、期外収縮、心室頻拍、頻拍発作、洞不全症候群と呼ばれる徐脈発作などです。また、動悸を感じても全く不整脈が出ないこともあり、心臓神経症(心臓の神経が過敏になっている状態)やほかの病気が隠されていることもあります。

二つ目は狭心症などの虚血発作です。通常の狭心症は動脈硬化に由来するもので、この場合はほるたー心電図だけでなく、運動負荷心電図も有効な検査です。しかし、冠攣縮性狭心症と言って、発作的に心臓の血管(冠動脈)がけいれんするタイプの狭心症があり、これは運動負荷心電図で判断することが極めて困難となるため、ホルター心電図がとても役に立ちます。

ホルター心電図検査にあたり

ホルター心電図は、24時間機械をつけっぱなしで生活していただくのでが、よく聞かれる質問があります。

それは、通序通り動いていいのか?という質問です。この答えはイエスです。ホルター心電図は通常の生活における異常を検査したいので、逆にいつも通り生活していただいた方が、情報がたくさん記録されます。

ただし、機種によっては防水加工がされていないものが多く、入浴だけは遠慮していただく場合があります。

病院で検査をするタイミング

 

時々胸がドキドキすることがある、ドドドという胸の鼓動が気になることがある、動悸を感じる、胸が重い、胸の違和感が取れない、など感じる場合、また健康診断などで不整脈を指摘され、細かい検査をするように指示された場合など、こんなケースに当てはまると思ったら是非循環器専門医のいる病院やクリニックを受診されてください。

当院でもホルター心電図機械を多数ご用意しています。先ほどの症状がある方はもちろん、心配で相談してみたい、などお気軽にご来院してください。

 

心臓の検査 運動負荷心電図は大事です

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

心臓の病気や動脈硬化を見極めるにはいろいろな検査があります。今回は、その中でも『運動負荷心電図』についてお話したいと思います。

運動負荷心電図とは?

運動負荷心電図と心電図の違いとは?これは文字通り、運動した状態の心電図を調べるか、安静の状態での心電図を調べるか、の差です。

たいていの健康診断などでお行われている心電図は安静時心電図でしょう。ところが、心臓病や生活習慣病などに伴う動脈硬化などは、安静時心電図のみでは見逃してしまうケースが多々あります。

ではなぜ、運動負荷心電図が必要なのでしょうか?

運動負荷の必要性

心臓はどんな時に負荷がかかると思いますか?それはまさに心臓を使っているとき、言い換えれば運動をしているときですよね。逆に安静時はもっとも心臓が休んでいるときとも言えます。心臓に再重症な病気がおきた時、たとえば心筋梗塞などがおきると安静にしていようが運動していようが心臓には過大な負荷がかかっています。そんな時は、安静時心電図でも以上が出るでしょう。

ところが、狭心症のように一定の負荷がかかったときにのみ異常が出てくる病気があるのです。多くの心筋梗塞(心臓の血管が詰まった状態)は狭心症という心臓に栄養を送る血管が狭くなった状態を経過して初めて心筋梗塞というケースに移行します。(もちろん突然に発症する方もいますが・・・)

心筋梗塞は命に関わる病気です。ですから、心臓の状態が狭心症という状況の時に発見してあげることが心筋梗塞の予防、と突然死の予防に役立つということなのです。

特に、高血圧、高コレステロール、高中性脂肪、糖尿病、肥満、など生活習慣病を持っている方は動脈硬化が進みやすいです。つまり、心臓の血管が狭くなりやすいということです。

どんな人が運動負荷心電図をうけるべき?

まずは心筋梗塞や狭心症の既往がある人。以前、心臓にステントを入れたことがある方などは絶対に定期的な運動負荷心電図を受けるべきです。そして、生活習慣病を持っている方。その中でも糖尿病を持っている方は心臓発作時の痛み、いわゆる胸痛を感じないことが多いのです。そして知らないうちに狭心症が進行することになります。もし、あなたが生活習慣病や糖尿病を持病としてもっているならば、運動負荷心電図を受けてみることが必要です。

運動負荷心電図は不整脈にも役に立つ

運動負荷心電図は不整脈の精密検査としても役立ちます。そのひとが持っている不整脈が運動によって増えるのか?それとも減るのか?それを見ることで、その方の日常生活の範囲を制限しなければいけないか、などを決めることに役立ちます。

運動負荷心電図を受けましょう

運動負荷心電図にもいくつかの種類があります。一つ目がマスター運動負荷。これは表彰台のような階段を何往復も運動していただく検査です。二つ目がエルゴメーター。これは自転車をこいでいただく検査で、検査中常に心電図や血圧計を装着しながらできる検査なので、より精密に経過がわかります。これはトレッドミル検査というものでも代用できます。

すぎおかクリニックでは、マスター運動負荷心電図装置2台と、エルゴメーター装置を用意しています。

心臓病や動脈硬化が心配であれば、是非一度検査を受けられてください。

御遠慮なくご相談くださいね。

心臓発作

こんにちは! 船橋市の内科、循環器内科、心臓内科、糖尿病内科のすぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマは「心臓発作」です。

心臓発作とは

心臓発作という言葉は、テレビなどでよく使われる言葉ですので、多くの方は聞いたことがあることと思います。しかし、私たち循環器専門医の立場から考えると、この言葉は非常にあいまいな言葉です。

というのも、心臓発作の中には本当にたくさんの種類があるからです。

例えば、心筋梗塞や狭心症による心臓発作。心房細動や期外収縮などの不整脈に伴う心臓発作。弁膜症や高血圧、心筋症などの心機能低下を原因とする心臓発作など、数え上げるときりがありません。

心臓発作かも、といわれたら

もし、あなたがどこかの病院やクリニックで恐らく心臓発作でしょう、と診断されたとしたら? 残念ながらその診断は極めて不正確と言わざるを言えません。それは、先ほどお話したように心臓発作の種類がたくさんあるので、その病態、病状、原因、検査、治療法などに結びつかないからです。

もし、あなたが心臓発作があるから薬を飲んでるとおもっているなら、一度その原因の検査、またその薬が本当に正しいかをチェックする必要があります。

心臓の病気は、もし軽く見過ごされていたら大変なことになります。自分の心臓は軽い病気だから大丈夫、と思い込んでいたら、ある日突然に大きな本物の心臓発作が来る可能性があるのです。

心臓発作を検査する

心臓発作の検査にはいろいろあります。一つはまさに発作を起こしている最中の検査。この場合は迅速に検査、診察、そして治療の判断をしないと取り返しのつかないことになりかねません。当院でも、重症の心臓発作を起こしている方が来院されることがあります。その場合、クリニックでできる最善、最速の検査治療をしたうえで、必要があれば船橋市立医療センターや東京ベイ浦安市川医療センター、千葉西病院、船橋総合病院、船橋中央病院、徳洲会病院など、患者さんと相談のうえ、紹介、搬送をしています。

もうひとつは、発作を起こしていない場合。この場合は心臓発作の予防のために考えられる検査や治療を個々に応じて行っています。心臓エコー(心臓超音波検査)や心電図、運動負荷心電図、CAVI、専門的な血液検査などなど。

心臓発作を起こしたことのある方、その予防法を知らない方、ご家族のかたで大丈夫か不安なかた、一度循環器専門医のいるクリニックでの精査をお勧めします。もちろん当院では万全の態勢で皆様をお待ちしています。