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糖尿病の合併症 糖尿病性腎症

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマは、『糖尿病の合併症 糖尿病性腎症』についてです。

糖尿病は合併症が怖い

糖尿病には気をつけましょう、というような言葉を耳にする機会が大変増えてきています。

糖尿病になるといったい何が怖いのでしょうか?それは合併症です。

糖尿病に、どんな合併症があるかご存知ですか?

実は、糖尿病の3大合併症と呼ばれているものがあります。

糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症がそうです。

腎臓の機能

腎臓はそら豆のような形をした臓器で、左右対称にあります。

腎臓の機能はたくさんありますが、特に体内の老廃物を体の外に排出する機能や、体内の水分量を調節する働きなどその働きは多岐にわたります。

そして、この腎臓の機能が糖尿病のせいで低下してしまうのです。

高血糖状態が長く続くと、血液をろ過する腎臓の中の糸球体という成分が硬くなってしまいます。

その結果、正常に老廃物を排出できなくなるのです。それが進むと、腎臓の機能低下、さらには透析という状態に移行してしまいます。

腎症を防ぐために

まず最初に大切なことは、自分の腎臓病のステージがどの程度なのか?ということです。

それを知るのに非常に役に立つのが微量アルブミン尿と呼ばれるものです。

この表は、日本腎臓学会が、CKD(慢性腎臓病)のステージ分類を掲げた表です。

この表では、糖尿病性腎症の重症度を調べる項目が、GFRとよばれる腎臓の濾過機能と、微量アルブミン尿なのです。

あなたは、ご自分の微量アルブミン尿の量計測してもらっていますか?

腎症は早期に手を打つことが何より大切です。この、微量アルブミン尿は、血液上の腎臓機能を示すクレアチニン(Cre)が異常値を示すはるか前から異常をきたすのです。

当院でも、多くの糖尿病の患者さんに、定期的にこの微量アルブミン尿を測定しています。

たんぱく質の摂取制限、塩分、糖質の取り方など、食事もとても大切です。

そして、血圧管理も極めて大切になります。目標は130/80mmHg以下と言われています。

糖尿病をしっかり診る

今回は糖尿病の合併症の中の腎臓病にフォーカスを当ててお話しました。しかし、糖尿病の合併症はもちろん腎臓だけではありません。心筋梗塞や脳梗塞、足の血管がつまる、目の血管が詰まる、など全身の動脈硬化、血管病を進行させます。

糖尿病をおもちのかたは、日頃から糖尿病の数字だけに気を付けるのではなく、自分の動脈硬化レベルを定期的に調べる必要があります。

 

 

糖尿病と動脈硬化

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマは『糖尿病と動脈硬化』です。

日本の糖尿病人口

糖尿病の患者数って日本にどれくらいいるかご存知ですか?厚生労働省の平成28年のデータによると、「糖尿病が強く疑われるもの」は日本人の12%、「糖尿病の可能性を否定できないもの」が12%。それぞれ約1000万人いるといわれています。

そして、糖尿病が強く疑われるもののなかで、治療を行っている人は76%ということです。

糖尿病の合併症

糖尿病は様々な合併症を引き起こします。その中で、特に心配なものの一つが動脈硬化の進行です。

糖尿病に伴う動脈硬化は全身にやってきます。動脈硬化によってどんな病気を起こすのでしょうか?

糖尿病による動脈硬化で病気になりやすい、血管が詰まって重大なことになりやすい個所はたくさんあります。大血管と微小血管の病気にわかれるのですが、今日は大血管の病気の話をしますね。

大血管が糖尿による動脈硬化で詰まりやすい個所は大きく3つあります。

一つ目は頭、頭頸部です。ココが詰まってしまうと脳梗塞になってしまいます。

二つ目は心臓です。ココが詰まってしまうと心筋梗塞を起こしてしまいます。

そして見落としがちなのが、3つ目、足の血管です。閉塞性動脈硬化症と呼ばれますが、ココが詰まってしまうと足の壊疽を引き起こし、最悪の場合下肢の切断を余儀なくされる方もいらっしゃいます。

大血管が詰まってないかを知る検査

頭頸部の血管が動脈硬化を起こしていないかを知る一番手軽な方法は頸動脈エコーです。頭の中(頭蓋内)を検査しようとするとCTやMRI検査など大病院で行う必要がありますが、頸動脈に関しては超音波検査で行うので、手軽にみることができます。検査は手軽に、そして定期的に行うこともとても大事な要素となります。

心臓に関しては心臓エコー検査は運動負荷心電図検査がとても役立ちます。

足の血管の検査としては両手両足の血圧を同時に調べるABI検査が有用です。

今日取り上げた検査はいずれもとても簡単にできる検査で、体の負担もありません。

糖尿病や、生活習慣病など、動脈硬化を起こしやすい因子を持っているかたは、是非定期的な検査を循環器専門医のもと、しっかり受けてくださいね

すぎおかクリニックでは、今お示しした頸動脈エコーや心臓エコー、運動負荷心電図、そしてABI検査を毎日多くの方に行っています。なにご心配があればお気軽にお越しください。

糖尿病は治らない?

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマは、『糖尿病は治らない?』です。

糖尿病とは・・・

糖尿病とは、血液中の糖の数字(血糖値)が正常以上に上昇してしまい、その結果さまざまな合併症をおこす病気です。ただ血糖値が高いというだけで、意識がなくなったり命を落とす方もいますし、合併症で亡くなられる方も大勢いらっしゃいます。

狭心症や心筋梗塞をはじめ、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症などを患っている方の多くが今や糖尿病を持病として抱えている方が多いと言われています。

糖尿病にかかってしまうと、その合併症を起こさないために様々な治療が行われます。

もちろん基本となるのは食事療法と運動療法。それではコントロールがつかない場合は薬物療法と呼ばれる薬での治療となります。そして飲み薬では十分ではない場合、インスリンという血糖を下げる注射薬を使っていきます。

糖尿病は蔓延しています

糖尿病はいまや世界的な病気と言われています。もちろん、日本も例外ではありません。今、日本人で糖尿病と言われている人がどれくらいいるかご存知ですか?

予備軍を合わせるとなんと約2,000万人超、日本人の約16%にもなります。つまり、日本人の6人に1人が糖尿病という恐ろしい時代なのです。

糖尿病は治らない??

ここで、最も誤解しがちな点をお伝えします。一度糖尿病にかかったら治らないのか?という点です。

実は、答えはイエスでもあり、ノーでもあります。詳しく説明していきますね。

1 一度糖尿の薬を飲んだら一生やめられない、インスリンをうったらもうおしまいだ

これは完全な間違いと言えます。ほとんどの糖尿病のかたは、生活習慣の中になんらかの問題点があります。たとえば、甘いものについつい手を伸ばしてしまう、おやつにせんべいが欠かせない、寝る前につい食べてしまう、運動は嫌いだから体は動かさない・・・。

こんな生活習慣は非常に高い確率で糖尿病をひきおこし、悪化させます。つまり、こんな生活からうまく脱却できれば、たとえ薬やインスリン注射の治療を受けたとしても一時的で済むわけです。

最高の主治医はあなた自身なのです。

ただ、インスリン依存型といって、膵臓からインスリンが出なくなってしまっている方の場合は、インスリン注射を手放すことができないので、インスリン注射との上手な付き合い方が大事になってきます。

2 糖尿病は完治する?

糖尿病は治るのか?これは生活習慣の乱れで糖尿病になってしまった方は十分治る可能性があります。たとえ現在糖尿の数字が思わしくなくても、しっかり糖分摂取を抑え、定期的に体を動かし、というような生活習慣の改善がうまくいけば治るのです。

ただ、完治したわけではありません。つまり、一回よくなっても再度糖分に依存した生活を始めると簡単に糖尿病の状態に戻ってしまいます。

ですから、糖尿にならない生活を続けることは毎日毎日持続させる必要があります。

そもそも、糖尿病が原因で様々な病気が起こります。心筋梗塞や、がんも糖尿病によって起こる確率が高くなります。つまり、糖尿病を防ぐ体つくりをすることこそがあらゆる病気を防ぐことになるわけです。

糖尿病を防ぐ生活

言うまでもありませんよね。糖質をとりすぎないこと、バランスの取れた食生活をおくること、定期的な運動や体を動かすことに努めること、十分な睡眠をとること、ストレスをためすぎない・引きずらないこと。

当たり前と言えば当たり前ですが、とてもとても大切なことです。

あなたの生活習慣は糖尿病に向かっていっていませんか?

糖尿病の治療目標

こんにちは! 船橋市の内科、循環器内科、心臓内科、糖尿病内科のすぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマは『糖尿病の治療目標』についてです。

糖尿病をどこまで頑張るか?

糖尿病の治療の経過をみるうえで、HBA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という指標が一般的に使われています。HBA1cとは過去1か月から2か月の糖の平均値を表します。

ですから、病院にかかる際に数字を下げようとおもって前日に甘いものを控えておこう、という方がよくいますが、残念ながらこれは無意味なのです・・・

そして、糖尿病のHBA1cの目標値は下記の図のようになっています。

つまり、どこを目標に置くかにおいて目標値が変わってくるということです。そしてこれは年齢でも変わってくると思います。

(日本糖尿病学会より)

 

 

糖尿病合併症予防という観点から

糖尿病にかかると、実に様々な合併症を併発します。

糖尿病性の動脈硬化から心筋梗塞や脳卒中、閉塞性動脈硬化症を起こす場合。

糖尿病性神経障害で下肢のしびれがとれない場合。

糖尿病性腎症で腎臓の機能が低下してしまい、将来透析を余儀なくされる場合。

糖尿病性網膜症で網膜の血管が出血などしてしまい、最悪の場合失明する場合。

これらは、糖尿病の合併症としては一部です。しかも、これらの合併症は何の症状もないまま、ひたひたと忍び寄ってきます。症状が出た時には合併症が相当進んでいる場合も少なくありません。

そういう意味ではまずHBA1cの目標値を7.0%にしておく必要があります。

そして、その目標が達成できたら、糖尿病の正常化を目指していきましょう。

糖尿病予備軍

こんにちは! 船橋市の内科、循環器内科、心臓内科、糖尿病内科のすぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマは糖尿病です。その中でも、『糖尿病予備軍』についてお話させていただきます。

糖尿病予備軍とはどんな状態なの?

糖尿の程度は大きく3つに分かれています。一つは完全に正常で、全く糖尿の気がない状態。一つはまさに糖尿病と言われる状態。そしてもう一つが血糖が正常ではないけど、まだ糖尿病と言うほどでもない状態。

この状態を糖尿病予備軍、または境界型糖尿病を呼びます。

そしてこの3つのグループは正確に血糖値などで分類分けされています。

あなたは正常か?糖尿病か?境界型か?

まず空腹時の血糖値で分類する方法があります。空腹時の血糖値が110~125mg/dlだったら・・・、あなたは境界型糖尿病の可能性があります。

同様にヘモグロビンエーワンシー(HBA1c)という指標があります。これは過去1~2か月の血糖の平均を表しています。この数字が6.0%~6.4%だと糖尿病の疑いが否定できない、ということになります。

糖尿病予備軍の方への検査

75gOGTT検査という検査が推奨されます。これは、医療用のサイダーを飲んでいただき、その前後で血糖を計測することで、隠れた糖尿病を見つけ出すというものです。

血糖値が境界型の方は、正常な人に比べ、なんと6~20倍も多く糖尿病を発症すると言われており、将来糖尿病を発症する確率が高い状態なのです。

もし、健診などで糖尿病予備軍と言われていたら、是非75gOGTT検査を受けることをお勧めします。

当院でも、この75gOGTTは検査可能ですので御心配な方は是非一度ご来院くださいね。

 

糖尿病の合併症 壊疽

こんにちは! 船橋市の内科、循環器内科、心臓内科、糖尿病内科のすぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマは糖尿病、その合併症についてお話ししますね。

糖尿病は合併症が怖い

糖尿病にかかるといったいどんなことが起きるのでしょうか?そのうちの命に関わるほとんどは動脈硬化、血管のつまりなどが原因の病気です。たとえば、心筋梗塞や狭心症、脳卒中や網膜症などがありますが、今日はその中でも糖尿病性壊疽についてお話ししますね。

糖尿病性壊疽とは

糖尿病のかたは往々にして強い動脈硬化を合併します。それが下肢にくるとどうなるでしょうか?だんだんと下肢の動脈は狭くなっていき、やがて閉塞していきます。

すると、下肢への栄養が足りなくなるために数分あるくと、血流不足による下肢の痛みが出てきます。これを間欠性跛行と呼びます。本来であれば、血液が足りない虚血症状により、足の痛みが出ます。

しかし、糖尿病の合併症で怖いものの一つに神経障害があります。これは神経が鈍くなること、簡単に言うと痛みに鈍くなる、傷ができても痛くないのです。

下肢の虚血症状により、血流が不足している状態で下肢にばい菌が感染するとどうなると思いますか?

赤くなり、腫れあがり、容易に潰瘍を起こします。普通ならとんでもない痛みを伴う状態です。

しかし、神経障害と血行障害を伴っている糖尿病の人はそこに気付かない。

そして、ある日自分の足を見てみるとひどい潰瘍ができていた、場合によっては壊死している状態まで気づかない。そこまですすむと、もはや下肢の切断も考えなければいけない、のです。

糖尿病性の動脈硬化を早く見つける

大事なことは、早期の診断、治療です。つまり、何の症状も無くても下肢に血流障害がないか?を定期的に調べなければいけません。それを発見するとても有用な検査がCAVIと言われる検査です。

これは、閉塞性動脈硬化症と言われる病気を探し出すとても簡単な検査で、容易に糖尿病の血行障害を検出します。

あなたやご家族の方がもし糖尿などの動脈硬化を合併しているなら、このCAVI検査を必ず定期的に受けることを強くお勧めします。

当院でも、多くの来院患者さんにこのCAVI検査を定期的に行っています。

病気は出てくる前に、早期に見つけ、早期に治療する。それが大事ですよね。

 

 

血糖値スパイク

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今日のテーマは「血糖値スパイク」です。

最近、テレビなどでよく聞くこの言葉、いったいどういう意味なのでしょうか?

血糖値スパイクとは?

血糖値スパイクとは、文字通り血糖がスパイク状に急上昇する現象です。なぜ、血糖値スパイクがこんなに騒がれているのか?それは、血糖の急激な上昇が病気の原因になることが多いからです。

特に、動脈硬化、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの心臓血管病のおおきなリスクになるといわれています。

ですから、普段からこのスパイクを起こさないための生活習慣を身につける必要があります。

血糖値スパイクを防ぐには?

血糖値は食事に大きく影響されます。糖分や炭水化物ばかりの食事をしていると、食後の血糖値は急上昇し、まさに血糖値スパイクが起こります。

ですから、糖分や炭水化物ばかりの食生活を避ける、空腹時に糖分だけをとる事を避ける。そして、食べるスピードを遅くする、などの工夫をし、同時にタンパク質や野菜、脂質、食物繊維をしっかりとって、バランスのとれた食生活を送る必要があります。

みなさんも、糖分、炭水化物に頼った食生活に偏っていませんか?今一度自分の食習慣を見直してみてくださいね。

 

糖が高い

こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。

今回のテーマは、「糖が高い」です。

現代社会の問題

 

実は、現代の多くのかたがこの「血糖が高い」状態に陥っていると言われています。外食中心の生活、簡単に食事を済ませられるコンビニやファミレスの台頭などで我々は知らず知らずうちに糖質(糖分と炭水化物)過剰の食生活に傾きがちです。その結果として高血糖の人、糖尿病と呼ばれる人たちが急激に増えてきているのです。

そして健康診断などで、あなたは糖が高い、病院で診てもらうように、と言われてしまう・・・。まさか自分が糖尿病になっているなんて、そもそも糖尿病になるとなにが問題なんでしょう?

それすら多くの人は知らないので、糖尿、糖が高いと言われてもこのあと起こる恐ろしい合併症を起こしてしまうのです。

糖尿病になるとどうなるの?

糖尿病になったらすぐに倒れてしまう、仕事ができなくなってしまう、死んでしまう、などどいうことはありません。逆に糖尿になったとしてもなんの不自由もなく今まで通りの生活ができてしまいます。

しかし、ここが糖尿病の一番怖いところです。糖尿、高血糖という状態は常に血液中をたくさんの糖分が流れている状況です。糖が沢山血液中を流れると、全身の血管には微小な傷がついていきます。(正確には糖とタンパク質が結合したAGEという物質が悪さをするのですが・・・)この傷が動脈硬化を引き起こします。

動脈硬化ができても、あなたはやはり痛くもかゆくもありません。しかし、動脈硬化は数年という単位で進行していきます。そしてあなたの全身の血管は詰まっていきます。

そして最後には・・・・

突然の半身不随の脳梗塞、突然の心筋梗塞、突然の失明、突然の腎不全、突然の足の壊疽・・・

糖が高いと言われたら

では、糖が高いと言われたあなたはどんな行動をとるべきでしょうか?

それはいうまでもありません。糖尿病の専門家、循環器の専門家の外来を受診することです。

多くの人は、まだ大丈夫だろう、体調悪くないし、今仕事忙しいし、など、自分が行かなくてもいい理由をつけ、病院へ行かない自分を正当化しようとします。

しかし、糖尿病による動脈硬化は早く治療を開始しなければ、早く生活習慣を改めなければ取り返しのつかないことになるのです。

どうか、糖が高い、という状況を甘く見ずにおはやめにお近くのかかりつけ医、信頼できる内科、循環器、糖尿病の専門医師に相談ください。