こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日は、「座り過ぎは血管の機能にどんな影響を及ぼすのか?」についてお話します。
血管はもちろん年齢を重ねるに連れ、機能が落ちていきます。いわゆる老化です。
血管の老化、機能低下といえばまずは動脈硬化が思いつきます。
動脈硬化とは、血管の壁にプラークと呼ばれる塊が増えている状態で血管は硬化し、狭窄し、プラークが増大するとやがて閉塞に至ります。
血管が閉塞すると、心筋梗塞や脳梗塞、閉塞性動脈硬化症など様々な疾患を合併していきます。
それぞれの疾患に関するお話は別のブログでもかいていますので、参考にして下さい。
動脈硬化による血管壁プラークは、頸動脈エコーという検査を行うと、一目瞭然でわかりますし、血管の硬さはABIという検査で簡単にわかります。
高血圧や脂質異常症、糖尿病、肥満、喫煙などのかたは動脈硬化を起こしやすいので、こういった検査を定期的に行う必要があります。
このように、動脈硬化を起こしているとある程度の検査で血管の状態を把握できますが、実は血管は動脈硬化で実際に血管が固くなる前からじわじわと血管の機能が低下していきます。
血管の機能とは、血管が正しく収縮し正しく拡張する能力のことです。
そして、正しく血管が収縮拡張を繰り返すために、血管の壁の内側にある血管内皮細胞が重要な役割を果たしています。詳しく言うと、この細胞からNOという物質が分泌されて血管が拡張しています。
ですから、私達は普段から血管の機能を落とさないためにNOを出しやすくする生活に心がける必要があるわけです。
そんな中、血管機能に関するある論文が報告されました。
座り過ぎと血管機能に関する研究論文です。
これは、オーストラリアン・カトリック大学のFrances Taylor氏らが、糖尿病患者を対象に行った研究で、詳細は「American Journal of Physiology. Heart and Circulatory Physiology」に掲載されています。
対象は、35~70歳の肥満2型糖尿病患者24人。対象者全員に、7時間にわたって座位を維持する試験を行いました。
3つのグループにわけ、1グループ目では7時間中断なく座位を保つ。2グループでは30分ごとに3分間の簡単な筋力運動を行い、3グループでは1時間ごとに6分間という2グループよりも長めのの筋力運動を行いました。
血管機能は、血流依存性血管拡張反応(flow-mediated dilation;FMD)とよばれる血管内皮細胞の機能を評価する検査を行っています。
その結果、30分ごとに座位を中断し、簡単な筋力運動を行うと、座位持続グループと比較して、血管機能が改善されることが判明しました。そして、1時間毎に座位を中断し筋力運動を行っっても、座位持続グループと比較しても血管機能の改善は見られなかったのです。
ということは、座位による血管機能の低下を防ぐためには、座位を中断する頻度のほうが、中断中に行う運動の時間の長さよりも重要だといえるのかもしれないのです。
長い時間をとってまとめて運動しなくても、短時間の運動をちょこちょこ行うと、逆に血管には良いのかもしれませんね。
普段、運動に多くの時間を割けないという理由で全く運動をしない人もいます。今回の論文では、短い運動の効果を示してくれました。時間がなくてもこまめに身体を動かして行きましょう。
そういったことが動脈硬化を防ぎ、心臓病・脳卒中を防ぐことにつながっていくと思います。
当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。
動脈硬化を予防したい方、または心臓病を発症したあとの再発予防のかたなどが船橋市、鎌ケ谷市、習志野市,、市川市、千葉市を始め多くの方に来院頂いています。
在籍医師は、院長はじめ循環器専門医資格を多くの医師が有しております。
医師、専門スキルを持った看護師(糖尿病療養指導士、抗加齢学会指導士、心臓リハビリテーション指導士)、専門エコー技師、管理栄養士、経験豊富な医療事務の全員で、チームで患者さんを診療させていただいております。
どうぞ安心してご来院ください