こんにちは。すぎおかクリニック院長、杉岡です。
今日は、「腹部肥満」についてお話します
腹部肥満といういいかたよりも、メタボリック症候群という言葉のほうが、
多くのかたにとって馴染みのあるものかもしれません。
腹部肥満は、かんたんに言えばウエスト周囲長のことです。
これは、いわゆる肥満とどう違うのでしょうか?
肥満の指標としてよく計測されるものにBMIがあります。
BMIはボディマス指標と呼ばれ、体重÷(身長m)÷(身長m)で計算されるものです。
日本肥満学会では、BMIが25を超えると肥満として定義されています。
BMIは体全体の肥満度を示し、腹部肥満は腹部に限定した肥満を表していると言えます。
BMIと腹部肥満、どちらのほうが将来の病気のリスクをより正確に予測してくれるのでしょうか?
実は、ウエスト周囲長が増えると、多くのリスクが高くなる、という大規模研究のデータが今回明らかにされました。
『Central fatness and risk of all cause mortality:systematic review and dose-response meta-analysis of 72 prospective cohort studies』
トロント大学(カナダ)のTauseef Ahmad Khan氏らによる大規模研究データです。
腹部肥満と死亡率の関係を検討した英語論文を検索し、適格基準を満たした72件の前向きコホート研究が抽出されました。
参加者は、アメリカを始めとする欧米、アジア、そして勿論日本からの参加者も含まれており、
合計252万8,297人、追跡期間は3~24年です。
研究の結果、ウエスト周囲長が10cm増えるごとに、早期死亡のリスクが11%も増大することがはんめいしました。
一方、大腿周囲長は5cm増えるごとに、早期死亡のリスクは18%減少することもわかりました。
BMIでは筋肉と脂肪を区別がはっきりとできないこと、そして脂肪がからだのどの部位に蓄積しているかも不明確です。一方、今回の研究から、腹部に蓄積した過剰な脂肪は、体脂肪を全身的に評価したBMIよりも死亡リスクと強く関連していることが明らかになったのです。
腹部肥満は、ある程度内臓脂肪を反映していると考えられます。
内臓脂肪を形成している脂肪細胞には様々な役割があります。
肥満の方の脂肪細胞からは多くの炎症性物質が分泌され、インスリン抵抗性をも引き起こします。
ここで、かんたんにインスリン抵抗性についての説明をさせていただきます。
インスリンとは膵臓から分泌される血糖値を低下させるホルモンです。具体的には肝臓や脂肪組織、骨格筋などの糖代謝を高める働きがあります。
ところが、インスリン抵抗性の状態になると、組織でのインスリンに対する反応が鈍くなり、インスリンの効きが悪い状態が続きます。これが持続していくと、血糖値がなかなかさがらない状況、つまり血液中の糖がどんどん増えていく病気、糖尿病を引き起こしていしまいます。
そして、これらの炎症やインスリン抵抗性が動脈硬化などを進行させ、心筋梗塞や脳卒中へと陥ってしまいます。
今回の研究チームらは、「BMIばかりを気にするのではなく、腹まわりをもっと気にするべきだ」と主張しています。
内臓脂肪を減らしたほうが良い、大腿部(太もも)の筋肉を増やしたほうがいい、ということはわかりましたね。
では、どうやったら内臓脂肪は減らせるのでしょうか?
当たり前過ぎるアドバイスかもしれませんが、やっぱり運動と食事、之しかありません。
運動するにしてもどんな運動が良いのでしょうか?
これは筋トレと有酸素運動の組み合わせが一番です。
膝が悪くなければスクワットなどの大腿部を鍛える筋トレを行い、それとは別に30分ほどの有酸素運動を行ってほしいのです。
有酸素運動とは、散歩や軽いジョギングで構いません。
週5回できれば理想ですが、まずは週1回でもいい、5分の散歩でもいい、大事なことは始めることです。
食事に関するアドバイスもさせていただきます。
肥満を起こす食事、これは消費するエネルギーより摂取するエネルギーが多すぎるからです。
特に砂糖は大幅に肥満を引き起こしますので注意が必要です。
腹8分目で食べすぎないこと、甘いものや単純炭水化物(白米や白いパン)をたべすぎないこと、が大事です。
そして、できるなら生活習慣の他の分野も改善できると良いです。
それは、睡眠時間の確保、禁煙、控えめなアルコール、などです。
難しいと思わずに、できることから何でも良いのではじめてみてください。
今日から変わってやる!という決断ですよ~
当院は心臓血管病などの循環器疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病に力を入れています。
動脈硬化を予防したい方、または心臓病を発症したあとの再発予防のかたなどが船橋市、鎌ケ谷市、習志野市,、市川市、千葉市を始め多くの方に来院頂いています。
在籍医師は、院長はじめ全員が循環器専門医資格を有しております。
医師、専門スキルを持った看護師(糖尿病療養指導士、抗加齢学会指導士、心臓リハビリテーション指導士)、専門エコー技師、経験豊富な医療事務の全員で、チームで患者さんを診療させていただいております。
どうぞ安心してご来院ください