禁煙後の体重増加と心臓病のリスク
こんにちは。船橋市の内科、循環器内科、心臓内科、糖尿病内科の『すぎおかクリニック』院長、杉岡です。
今日のテーマは『禁煙後の体重増加と心臓病』です。
禁煙してみたけれど
カラダによくないからと、一念発起して禁煙した。でも、気づいたら最近体重が増えてきたような・・・。
禁煙に成功された方の中で、食べ物がおいしくなってきたという言葉を言われる方がいらっしゃいます。
タバコをやめたことで味覚がよみがえったのでしょうか?それはそれでとても良いことなのですが、いかんせん食欲が増してしまい、結果的に体重オーバー。
また、タバコを我慢する代わりに何かを常に口にしているうちにそれが習慣になってしまうケースも。
「先生、逆にタバコ吸ってた方がよかったんじゃないでしょうか?」
というように不安を口にする方さえもいらっしゃいます。
では、タバコを吸い続けていることと、禁煙したけれども体重が増えてしまった場合と、どちらが良いのでしょうか?
禁煙後の体重増加と心臓病の関係
2018年8月のNew England Journal of Medicine誌に掲載された最新論文についてお話します。
『Smoking Cessation, Weight Change, Type 2 Diabetes, and Mortality』というタイトルで、
日本語では、『禁煙、体重変化、糖尿病、そして死亡率』となります。
この論文によると、最近禁煙に成功した人(禁煙後2年~6年)の糖尿病リスクは現在喫煙している人に比べて1.22倍高かったそうです。そしてそのリスクは禁煙後5~7年をピークに徐々に減少するとも書かれています。
一方で、禁煙者と喫煙者の心臓血管病による死亡リスクを比較した場合、禁煙後体重が増えていなければリスクは69%も減少、5キロまでの体重増加だと死亡リスクは47%減少、10キロまでの体重増加だと死亡リスクは25%減少、10キロ以上の体重増加でも死亡リスクは33%減少していました。
結論として、禁煙後の大幅な体重増加に伴って一時的に糖尿病にかかる人が増えたが、心臓血管死亡率を低下させるという禁煙の最大のメリットは、体重増加に関わらずしっかりと残っていたということでした。
太りだしたから、禁煙やめよう、というのは再喫煙の理由にはならない、ということですね。
喫煙そのものは、狭心症や心筋梗塞をはじめとする心臓病だけでなく、脳梗塞などの脳血管疾患、肺がんや肺気腫、COPDなどの呼吸器疾患など様々な病気の要因となります。
タバコ、やめましょうね。
当院では、タバコをやめたいと思ってはみたものの、現実なかなかやめられない方のために禁煙外来を行っています。
タバコを止めよう!と決断したもけど、どうしてもやめきれない、そんな人は、是非当院の禁煙外来までご相談ください
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