院長ブログ

超低カロリー食の心臓機能への影響

こんにちは。船橋市の内科、循環器内科、心臓内科、糖尿病内科の『すぎおかクリニック』院長、杉岡です。

今日のテーマは『超低カロリー食と心臓機能の関連について』です。

超低カロリー食

カロリー制限をすることは、肥満や糖尿病などのリスクを抱えている人にとってとても有効な方法です。

その中でも、特に超低カロリー食(VLCD)を一時的に行うことで、早期からの体重減少、インスリン抵抗性の改善、血圧低下、糖尿病改善、脂肪肝の改善など、さまざまな効果があるといわれています。

超低カロリー食とは、1日当たり600~800キロカロリーのみの栄養分しかとらないちょっと大変なダイエットですが、こういうダイエットって本当に問題はないのでしょうか?

そして、このタイプのダイエットは、心臓機能に関する影響は、実はほとんどわかっていないのです。

Crash Dietの功罪

ある研究論文があります。

『Crash diets can cause transient deterioration in heart function

Heart disease patients should seek medical advice before adopting a very low calorie diet』

この研究では、21名の肥満患者を集め、1日600~800キロカロリーの超低カロリーダイエットを行い、8週間の追跡調査を行いました。

その結果、体脂肪量、内臓脂肪量、肝臓脂肪は劇的に低下、インスリン抵抗性や血中コレステロール値、血中中性脂肪値が改善。もちろん心臓周囲の脂肪も減りました。

しかし、ダイエット開始1週間後に、一時的に心臓脂肪がダイエット前に比べなんと44%も増加していたのです。そして、心臓機能の低下ともつながっていました。

ところが、8週間後には心臓脂肪も減り、心臓機能はダイエット前より改善していることが見込まれていました。

この研究からいえること

簡単に言うと、忘れてはいけないこと、それは過激なダイエット中に一時心臓機能が低下する時期が来る可能性があるということです。

超低カロリーダイエットは、内臓脂肪などは順調に低下するものの、脂肪が一時的に心臓に集まるということ、そして一時的に心臓に悪影響を及ぼす。

しかし、8週間後には心臓機能も改善していたので、その悪影響はあくまでも一時的である。

心臓の機能に問題がある方や、クラッシュダイエット中に心臓の症状が出てこないか、注意を払う必要があると言えるでしょう。

超低カロリーダイエット(クラッシュダイエット)はダイエットに効果があるのはもちろんですが、どんな方法にも善し悪しがあるということです。

過激なダイエットはカラダを壊しかねません。何事もやり過ぎは禁物ですね・・

<院長プロフィール>

地元船橋の大穴北小学校第一回卒業生です

大穴中学校、県立千葉高校卒業

平成3年千葉大学医学部卒業

平成6年より2年間船橋市立医療センター勤務

平成8年 倉敷中央病院で循環器の専門トレーニング

平成9年より平成26年3月まで船橋市立医療センター心血管センター循環器内科副部長として勤務

平成26年5月すぎおかクリニック開院

<取得資格>

医学博士、日本内科学会認定医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定健康スポーツ医など

 

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