狭心症 血管が痙攣する
こんにちは。船橋市の内科、循環器内科、心臓内科、糖尿病内科の『すぎおかクリニック』院長、杉岡です。
今日のテーマは、『狭心症 血管が痙攣する』です。
狭心症とはどんな病気?
狭心症という病気は、心臓に栄養を送る血管(冠動脈)が動脈硬化などが原因で狭くなってしまい、心臓の筋肉に十分な栄養を送れない状態です。
狭心症は、心臓への栄養が不十分なので、心臓への負担が強くなった時に胸の痛みを感じます。
たとえば、ちょっとした運動や歩行、重いものを持った時など。
こういった軽い労作で起こる狭心症のことを労作性狭心症と呼びます。
労作性狭心症の原因が、動脈硬化で冠動脈(心臓の血管)にプラークが蓄積、その結果、血管の通り道が狭くなり、心臓の栄養状態が悪くなる。
一方で、こんなタイプの狭心症があります。
昼間はどんなに動き回っても胸は全く痛くないのに、あるとき安静にしていた時に急に胸の痛みが出現するタイプ。
特に、朝方就寝中に胸が痛くて目が覚めるパターンが多いのですが、こういった症状の中に、
『冠攣縮性狭心症』という病気が隠れていることがあります。
冠攣縮性狭心症
このタイプの狭心症は、冠動脈に物理的な狭窄が全くないにもかかわらず、突然冠動脈が痙攣し、心臓への血流が遮断され、胸が痛くなったり、圧迫感や違和感を感じます。
しかし、数分すると自然と冠動脈の痙攣がとれ、「あれ?さっきの痛みは何だったんだろう?」という風に感じる方が多いです。
冠攣縮性狭心症は、診断するのがなかなか厄介です。というのも、症状が出ていないときは心臓の血管に狭窄が全くない、すなわち正常なのでたいていの検査では異常とでてこないのです。この病気、発作時のみしか心電図などで異常ととらえられないのです。
ですから、運動負荷心電図や心エコーなどをおこなっても診断しきれないことが多いです。
その場合、24時間心電図(ホルター心電図)といって1日中携帯用心電図を装着しながら生活していただき、その間にもし痙攣発作が出れば、その証拠を記録できる、という検査を行います。しかし、この検査も24時間以内に発作が出なかったらやはり診断できません。
冠攣縮狭心症の診断で一番大切なこと
では、どうすればこの病気と診断がつくのでしょうか?実は、一番大事なのは医師と患者さんの間で行われる『問診』です。
問診は、病気をさぐるうえでとても大切なことです。患者さんの症状はいつ、どんなタイミングでどれくらいの時間おきるのか?症状はどんな感じ?場所は?など細かくお聞きすることでこの病気の予測がつきます。
この病気は心臓の血管の痙攣なので、治療は痙攣をとること。すなわち心臓の血管を広げる薬を使う、ということにつきます。
いわゆる『ニトログリセリン』という薬です。
この病気が疑われる場合、発作止め用のニトログリセリンを携帯していただき、この薬が効くか試す必要があります。
つまり、診断しながら同時に治療する、『診断的治療』ということを行います。
冠攣縮性狭心症をほおっておくと
この病気をほおっておくと、徐々に悪化し、症状の持続時間が長くなり、最後には全く痙攣が取れないほどの強い発作に見舞われることになります。そして、心筋梗塞に移行してしまうことも・・・。
冠攣縮性狭心症の多くは、実はタバコやストレスが大きな原因となります。動脈硬化の原因となる高血圧や脂質異常、糖尿病に気を付けるのはもちろんですが、普段の生活の中でストレスをためすぎていないか?タバコを吸い過ぎていないか?など自らの生活を振り返ってみてくださいね。
冠攣縮性狭心症は、ある意味診断が難しい病気の一つです。循環器専門医でのご相談をお勧めいたします。
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